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ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第92回)

by staff on 2020/11/10, 火曜日

大浦総合研究所 代表/大浦勇三

ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第92回)

遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ

- 梁塵秘抄 -

横浜美術館をはじめ、都内の主要な美術館・博物館の多くで日時の事前予約制がスタート。ちょっと時間ができたから美術館にでもという気まぐれも許されないご時世に。一方、人気の企画展での2~3時間待ちがかなり解消されるメリットも。皇居・三の丸尚蔵館蔵の動植綵絵30幅が出展された伊藤若冲展では最長待ち時間が4時間を超えました。元々、アートとテクノロジーの語源を辿れば同根に行き着くとか。デジタル化への流れは不可避ですが、デジタル深化の最後の1センチはアナログ勝負。 “アートから文化・文化から技術・技術からアート” のサイクル。最後は、アナログを制する者がデジタルを制する可能性も。単なる予測でなく徹底した観察・洞察が不可欠な所以。社会の多元化と組織の巨大化・相互作用を通じた第五世代へ。梁塵秘抄では “尼はかくこそ候えど 大安寺の一万法師も伯父ぞかし 甥もあり 東大寺にも修学して子も持たり 雨気の候えば 物も着で参りけり” とあります。ボロは着てても心は錦。 “人生、面白がって生きないと。自分から一歩外に出て自分を見るということかな” と作家・なだ いなだ。

“遊びをせんとや生れけん” 「遊」

コラボレーションを実現 発明者は孤独なものだと言う神話を打破
他の成功を支えるスーパースターを特定 力なき者は認知されない
隠喩・類推・物語を利用したコーディネーション・トーテムを活用
チームとして概念化 和紙は初雪 光を中へ吸込む、と谷崎潤一郎

作家・谷崎潤一郎は、現在の東京・日本橋人形町に生まれました。今も人形町界隈を通ると “谷崎潤一郎生誕の地” の石碑に出会うことも。私にとっての谷崎潤一郎は何といっても “陰翳礼讃” が一番。まだ東京に電灯もなかった時代の日本の陰翳の美。生活と自然とが一体化していた時代。浮世絵も、今の明るすぎる照明では本当の素晴らしさはわからないとか。ものとモノの間にできる翳に生まれる静寂と艶。 “風雅” の真髄を貫く感性。一方で、漢語・雅語から俗語・方言までを使いこなす表現力。 “自分の技術を鍛え抜くと自由になり、表現豊かに踊れる” とロシアの伝説的バレリーナ・プリセツカヤ。

“仕事をせんとや生れけん” 「献」

仕事をプロジェクトに分ける 顧客経験に関わる部門からチームをつくる
顧客満足度 日々の仕事の成果自体が報酬となるような仕組みを構築する
コラボレーション・協働・部門間および部門内の自由な議論・協力・連携
日本及び世界の全員 最初の南極大陸に挑む心構えが必要、と西堀栄三郎

西堀栄三郎は、大学教授・学長を務めた学者出身ですが、何といっても記憶に強く残るのは第1次南極観測隊の副隊長兼越冬隊長。南極という未知の大陸でどう生きて仕事をするか。想像を絶する事態に遭遇した時の対応をどうするか。教科書やマニュアルが一切ない時代。未体験の環境という意味では、現在のパンデミックと似た状況。知識の蓄積でなく、絞り出す知恵だけが頼り。答えが見えない課題への論点分析。やると決めて、どうしたらできるのかを徹底的に探究。そのためにも仕事・生活の中に常に向上への道を残す意志が最後の砦。 “上手は下手の手本なり。下手は上手の手本なり” と世阿弥。

“学びをせんとや生れけん” 「学」

経験豊富な社員 独自のビジネスの知恵を活かしてビジネス上の成果をあげる
エキスパートが編み出した仕事上の知識・ノウハウを全社でいかに共有するか
社員の業務遂行能力 その平均値をいかに高めるか 具体的手法を明確にする
完璧な生活習慣 発がんリスクは1/3程度までしか下がらない、と中川恵一

現在、日本人の2人に1人が “がん” にかかり、3人に1人が “がん” で死亡しているとか。 “がんになることを前提にした人生設計が必要” と説くのは東大医学部附属病院の中川恵一先生。 “がん” についてわかりやすく発信する伝道師。日本人を世界有数の長寿にしてきた野菜や魚を食べる習慣が減り、外出を控える・遊ばない・運動しないことがストレスになり癌を誘発することも。完璧な生活習慣を徹底しても、発がんリスクは1/3程度までしか下がらないという人体の宿命。その上で、心の問題などを含め “不幸の積分値” が大きすぎるとの見立て。 “自由とは必然性の洞察である” と哲学者ヘーゲル。

「遊びは仕事、仕事は遊び」
「仕事は学び、学びは仕事」
「学びは遊び、遊びは学び」

今回とりあげた「遊・献・学」それぞれの4行文は、拙書「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)及び「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)から抽出したものです。次回以降も「遊・献・学」から各々4行文を一つずつ抽出してご紹介していきたいと思います。

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(第92回了)

 

大浦勇三(おおうら ゆうぞう) プロフィール

大浦勇三(おおうら ゆうぞう)  

大浦総合研究所 代表 (http://www.ne.jp/asahi/oura/ohura-research-institute/

石川県七尾市出身。
早稲田大学卒業、筑波大学大学院修了。
米国経営コンサルティング会社 アーサー・D・リトル 主席コンサルタントを経て現職。
主担当領域は、経営改革/企業再生、経営戦略/情報通信技術戦略策定、業務改革/組織改革、研究開発/商品開発マネジメント、マーケティングマネジメント、ナレッジマネジメント、イノベーションマネジメント、サプライチェーンマネジメント、人材マネジメント、コーチング/メンタリング、プロジェクト/プログラムマネジメント、ベンチャービジネス支援等のコンサルティング。

筑波大学大学院講師、城西国際大学客員教授、名城大学講師、産業能率大学講師、中小企業大学校講師などを歴任。

主な著作物:

  • 「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「イノベーション・ノート」(PHP研究所)
  • 「ITプロジェクトマネジャーのためのコーチング入門」(ソフトリサーチセンター)
  • 「図解 日本版LLP/LLCまるわかり」(PHP研究所)
  • 「IT技術者キャリアアップのためのメンタリング技法」(ソフトリサーチセンター)
  • 「よいコンサルタントの見分け方、かかり方」(清話会)
  • 「日本のモノづくり - 52の論点」<共著>(日本メンテナンス協会)
  • 「現場主導型の組織運営とスピード戦略」(日本監督士協会)
  • 「eコミュニティがビジネスを変える」<訳>(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメントが見る見るわかる」(サンマーク出版)
  • 「図解 ナレッジ・カンパニー」(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメント革命」(東洋経済新報社 )
  • 「図解 グローバル・スタンダード革命」(東洋経済新報社)
  • 「業務改革成功への情報技術活用」(東洋経済新報社)
  • 「情報化戦略と投資評価・システム運用管理の実際」<編著>(企業研究会)
  • 「会社改革実務辞典」<共著>(産業調査会)
  • 「プロジェクトマネジャー(PM)の育成・スキルアップのためのメンタリングの進め方と実践法」 (ソフトリサーチセンター:CD-ROM版)   など

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