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書評 「フルライフ 今日の仕事と10年先の目標と100年の人生をつなぐ時間戦略 」 NewsPicksパブリッシング 石川善樹(著)

by staff on 2020/12/10, 木曜日
 
タイトル フルライフ 今日の仕事と10年先の目標と100年の人生をつなぐ時間戦略
単行本 184ページ
出版社 NewsPicksパブリッシング
ISBN-10 4910063064
ISBN-13 978-4910063065
発売日 2020/4/17
購入 フルライフ 今日の仕事と10年先の目標と100年の人生をつなぐ時間戦略 (NewsPicksパブリッシング)

「そもそも“フルライフ”とはなにか? フル(充実)の真逆にある、エンプティ(空っぽ)な人生とは何か? 後悔が生れる原因は? あなたはどのような戦略に基づいて、限られた時間を使っていますか? 戦略の先に、自分は何をしたいのか? ところで“戦略”とは何か? 限りある時間のなかで、Doing(する)とBeing(いる)のバランスをとるには?」表表紙の導入にドギマギしてしまった。それでも表紙に書かれた「ハードな仕事と長い人生の“重心”はどこにあるのか?」に興味を持った。

「はじめに」で「時間の使い方に戦略を持つ事で、フルライフ(充実した人生)を実現する」とある。時間戦略の背景には、次のような信念がありますとして、つぎのようなQ&Aがあります。

Q 時間戦略の背景となる信念は何か?
A 1日あれば、視点が変わる
A 1週間あれば、人生が変わる
A 1年あれば、事業が変わる
A 3年あれば、企業が変わる
A 10年あれば、産業が変わる
A 30年あれば、時代が変わる
A 100年あれば、文明が変わる

著者は次のように述べています。「この本が読者のみなさんにとって、フルライフの“重心”をつかむ一助となれば、とても嬉しいです。」

「仕事人生の重心は、すべて“信頼にある」という章があります。フルライフとは、Well-DoingとWell-Beingの重心をみつけること、職場におけるWell-Beingの重心は何かと問いかけます。職場に信頼の文化があるかと問いかけます。「縁の下の力持ちこそ、みんなの前でしっかり認めるべし」とのことです。サッカーのマンチェスター・ユナイテッドのファーガソン監督は「ゴールという結果が出た時、スパイク磨きやユニフォームの洗濯をしてくれる、チームを蔭で支えてくれている用具係のおじさんにまず最初に感謝を示す。その姿を周囲に見せることで、チームが末端の構成員を含めた全員の信頼からなりたっているという意識を、チーム全体に浸透させていた」というのです。

「生産性の重心をとらえる3つの”時間軸“」という章があります。重心とは言い換えると、自由と規律のバランスを取るということです。一日の重心は、仕事の始まりと終わりにある、と言われます。一日を終えるときは、今日印象に残ったことを振り返ることだと言われます。「そうすることで、今日という日は人生において、特別ではなかったかもしれないけれど、かけがえのない一日であることを実感できるようになる。その結果、人生の評価を高めることが出来ます。」一週間の「終わり」はいつですか?と次に問いかけられます。「睡眠にも仕事にも効く”土曜スタート“」そして土曜の朝も平日と同じくらいの時間に起きることを提案されています。土曜日の朝から1週間が始まるんだと、という強い決意のもと、スケジュールを土曜始まりに変えてしまうんです、と言われます。

次は10年先の目標です。1年目の重心は誰とするか?であり、2年目の重心は何をするか?であり、3年目の重心はどのようにするか?です。

「3年後のプランニングができれば、その先の3年、されにその先の3年もプランニングできる」この3段階のプランニングが出来るようになれば、10年後の未来にかなり近づけると言われます。スタートとゴールの間を埋めるために、「事業と企業と産業」というまったくレベル感の違うものを同時に視野に入れて考えていくようです。宇宙ロケットのスペースXや電気自動車のテスラの開発をてがける、アメリカの実業家、イーロン・マスクの思考法を例に説明しています。「彼が2002年に設立した宇宙ベンチャー企業“スペースX“をサンプルにしましょう。ゴールは”人類を火星に居住させること“です。このまま地球にいると資源不足や環境問題などが悪化して危険だから、火星という選択肢を持つことで”人類がよりよい未来を迎える確率を上げる“。ゴールは火星であり、スタートは地球です。ではここから、イーロン・マスクはどのようなプランニングするでしょう。」

「創造性の重心は大局観にある」という章があります。創造性とは何でしょうか?と問いかけます。ここでは、よい情報を手に入れることが大事です。経営者になると企業や産業という視点から物事を見る必要があります。「このようにして視点が上がれば、当然視野が広がり、得られる情報が広くなっていきます。とくに産業の視点から物事を見る人は、自然と”産業の構造”にも関心を持つようになる。“他の産業はどうなっているのかな?”と気になり出して、それまで自分の事業には関係ないと思っていた情報が、関係あるものとしてどんどん入ってくるようになります。」

「コンセプトとは“A→Bに行く際の障害を一気に乗り越えるもの」という項があります。「具体と抽象を往復しながら思考すれば、どんなに離れた業界の話であっても、他人事でなく自分事として生かすことが出来そうです。実際、昔から本当にすごい人は、まったく違う業界の知見をもってくることで、とんでもないイノベーションを起こしています。そしてイノベーティブな人は「直観」「論理」「大局観」の3つのモードの切り替えが上手と言われます。

今「大局観」のゾーンにいる時間が、現在の働き方改革のなかでどんどん失われています。「限られた時間内での生産性が叫ばれるようになり、職場での雑談の時間がどんどん削られています。企業によっては社員旅行や忘新年会、部の飲み会なんて無駄だ、と全面的に廃止する動きもあるようです。」「でも、そういった“みんなでBeing”の時間は、“みんなでDoing”の時間には得られないものがたくさんある。」と提案されています。「面倒くさいなぁと感じるとしても、あえて業界の異なる友人・知人と飲みに行ってみましょう。他愛もないバカ話をしながら、普段の職場ではしないような方向に話題を大きく膨らませてみましょう。飲み会がいいのは、お酒が入ることによって“論理”の機能が鈍ります。そうすると、自然と大局観ゾーンに入って行けます。」

「人生100年時代の重心は“実りの秋”にある」という章があります。最終第3のフェーズは「アチーブメント期」になります。実はここからが本番なのだと言われます。「先に私自身の結論を述べておくと、アチーブメント期は“50歳から始まる”と考えています。人生100年というスケールで考えると50歳がちょうどいい重心になると考えました。」「いまや私達現代人の多くは、なんとびっくり90歳まで生きます。もっというと、100歳まで生きる可能性が高いのです。」「別の数字を挙げましょう。寿命90歳と定年の差を15年とすると、いまや定年は75歳と言うことになります。」「結論から言うと、人生は4ステージあるというこころづもりでいれば、人生100年時代に備えられるとかんがえました。季節になぞらえれば、春夏秋冬のステージです。おそらく、学ぶ春、働く夏、そして休む冬、というのはこれまでと同じですが、“実りの秋”をどう過ごすのか、というのが人生100年時代における最重要ポイント、つまり重心になってくると思います。」著者は語られます。大局観を持って眺めれば、つまり100年というロングスパンでの充実と、目先の人生の充実という視点を行き来しながら考えてみるならば、実はいろいろな領域を経験しておくことこそがリスク分散になり、本当の意味での安全な道になります、と。「気楽に転職していろいろな経験を積むことが大事だといいましたが、そうするには前提があります。いくつかの職を転々としながらも、どこか自分の得意な領域を見つけて、ハードワークを行い、圧倒的な成果を残すことです。自分が得意な分野や自分にあった環境は必ずあります。そこで自分の型と呼べるようなものを確立した人だけが、周囲の信頼を得て、分かりやすく大きな成果を残し、他へ移ることが出来ます。」

「真のWell-Beingとは“自分らしさ”の先にある」という章があります。フルライフとは、Well-DoingとWell-Beingの重心を見つけることだ、という処があります。「宇宙ステーションにいる宇宙飛行士は、暇さえあれば地球を眺めて過ごしています。最初は自分が生れた場所を探すのですが、だんだん引いていって、自分の国や大陸、さらには広大な宇宙にぽつんと存在する地球そのものを眺めていると、自分という存在が消えて宇宙そのものと一体化していくようです。おそらくオーバービュー効果が消えて宇宙そのものと一体化していくようです。おそらくオーバービュー効果とは、そのような体験なのでしょう。」著者は「最高のWell-Being体験=宇宙から地球を見ること。人生100年時代。いつかそのような体験ができることを期待しても、夢物語でないと思うのはわたしだけでしょうか。」と語られます。新しい目標の再構築を急ぐことになりますね。

(文:横須賀 健治)

 

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