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ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第93回)

by staff on 2020/12/10, 木曜日

大浦総合研究所 代表/大浦勇三

ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第93回)

遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ

- 梁塵秘抄 -

“好きなことをやっていれば草臥れないし時間を忘れる”と語ったのはソニーの創業者・井深大。要は一人ひとりが自己の潜在能力を発揮できる機会を手にすること。答を出せない問いを、答を出せる問いにすり替えないこと。課題は“単線的価値観”への固執。歴史は複線的で、未来は一つでなく複数。様々な要素が関連・影響しあい、直結しなくとも、緩く繋がる影響もあるはず。デジタル・トランスフォーメーション(DX)は共に生きるスキルが基盤。DXは必ずしもデジタル・エフィシエンシー(DE)とはイコールでないこと。デジタル化することと、デジタル化による成果を出すこととは大きく異なること。新しい世界は“ゲームの世界”に近づき、現実とゲームの世界に継ぎ目がなくなる様相。新たな生き方が問われ、適応能力が生存の必須条件に。“ゲームのセンス”は、今後は一般教養となり“文化:美的経験”の厚みにも比例。梁塵秘抄では“東より昨日来れば妻も持たず この着たる紺の狩アオに女換えたべ”とあります。田舎者の意地と踏ん張り。“舟は多少揺れても沈まなければいい。多少の揺れは表面的な安定より優れている”と随筆家のナシーム・タレブ。

“遊びをせんとや生れけん” 「遊」

芸術が寄って立つ基盤 伝統や文化の古層を探求する
芸の核になる原初の身ぶり・息の詰め方 自信をもつ
人に自信を持たせることが私にできる最も重要なこと
すぐ役立つ人間はすぐ役立たなくなる、と藤原銀次郎

藤原銀次郎は、慶應義塾で福沢諭吉に直接薫陶を受けた実業家の一人。いくつもの企業を育てましたが、その代表格の一つが王子製紙。“人に自信を持たせることが私にできる最も重要なこと。すぐ役立つ人間はすぐ役立たなくなる”と人材育成を最重視しました。戦前、当時の私財800万円を投じて横浜に藤原工業大学(現在の慶應義塾大学理工学部)を設立。仕事では、愉快に働く法を説き“仕事を必ず自分のものにする”“仕事を自分の学問・趣味にする”“仕事に使われても人には使われない”を自ら実践しました。“つくるのに時間がかかるものは長持ちする”と人間国宝の漆芸家・室瀬和美。

“仕事をせんとや生れけん” 「献」

経験知やノウハウ・知識・知恵 組織の知の引き出しを開示しないと
何の得にもならない プロは 他のメンバーの知の引き出しを通じて
仕事の成果実現やスキルアップ 知に貢献した本人も次のステップへ
挑戦意欲が次なる成長へ 満足は衰退の第一歩、と実業家・渋沢栄一

2024年に新一万円札の肖像画に使われるのが、明治から昭和にかけて産業界をリードした近代日本経済の父・渋沢栄一。“論語と算盤”を著し、道徳経済合一説の理念を打ち出しました。東京・飛鳥山の旧邸には、重要文化財の“晩香廬(ばんこうろ)”と“青淵文庫”が当時のままの姿で残っています。応接間は和洋折衷で味わいがあり、独特の火鉢もそのまま。“全て形式に流れると精神が乏しくなる。日々新たにという心がけが大事”と成長の重要さを強調。“人は全て自主独立すべきもの。自立の精神は人生の根本を成す”との想いを大切にしました。“納期はない、完璧な仕事をするだけ”と建築家・ガウディ。

“学びをせんとや生れけん” 「学」

誰かとおいしいを分かち合う 心の繋がりを深める
相手の心を動かすこと 自律性・マスタリー・目的
長続きには自分のできることをやる 無理をしない
やる気があれば正しい教育で人は育つ、と広岡達朗

プロ野球を代表する選手の一人が広岡達朗。現役時代は巨人で活躍、監督としては
ヤクルトと西武をリーグ優勝・日本一に導いた名将。選手管理を徹底、“麻雀・ゴルフの禁止”“炭酸飲料の禁止”などを打ち出し、選手の生活態度に厳しい規制を課したのは有名。“管理をしたんじゃない、ルールを教えたんだ。正しい理論は、膨大な練習量が伴って初めて実証される”との哲学。米国から来た強打者・マニエルは広岡と激しく対立しましたが、大リーグでの監督経験を通じて“広岡の言ったことは正しかった”と述懐したとか。“勉強した90%は捨てる。残り10%が本当の材料になる”と作家・新堂冬樹。

「遊びは仕事、仕事は遊び」
「仕事は学び、学びは仕事」
「学びは遊び、遊びは学び」

今回とりあげた「遊・献・学」それぞれの4行文は、拙書「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)及び「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)から抽出したものです。次回以降も「遊・献・学」から各々4行文を一つずつ抽出してご紹介していきたいと思います。

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(第93回了)

 

大浦勇三(おおうら ゆうぞう) プロフィール

大浦勇三(おおうら ゆうぞう)  

大浦総合研究所 代表 (http://www.ne.jp/asahi/oura/ohura-research-institute/

石川県七尾市出身。
早稲田大学卒業、筑波大学大学院修了。
米国経営コンサルティング会社 アーサー・D・リトル 主席コンサルタントを経て現職。
主担当領域は、経営改革/企業再生、経営戦略/情報通信技術戦略策定、業務改革/組織改革、研究開発/商品開発マネジメント、マーケティングマネジメント、ナレッジマネジメント、イノベーションマネジメント、サプライチェーンマネジメント、人材マネジメント、コーチング/メンタリング、プロジェクト/プログラムマネジメント、ベンチャービジネス支援等のコンサルティング。

筑波大学大学院講師、城西国際大学客員教授、名城大学講師、産業能率大学講師、中小企業大学校講師などを歴任。

主な著作物:

  • 「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「イノベーション・ノート」(PHP研究所)
  • 「ITプロジェクトマネジャーのためのコーチング入門」(ソフトリサーチセンター)
  • 「図解 日本版LLP/LLCまるわかり」(PHP研究所)
  • 「IT技術者キャリアアップのためのメンタリング技法」(ソフトリサーチセンター)
  • 「よいコンサルタントの見分け方、かかり方」(清話会)
  • 「日本のモノづくり - 52の論点」<共著>(日本メンテナンス協会)
  • 「現場主導型の組織運営とスピード戦略」(日本監督士協会)
  • 「eコミュニティがビジネスを変える」<訳>(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメントが見る見るわかる」(サンマーク出版)
  • 「図解 ナレッジ・カンパニー」(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメント革命」(東洋経済新報社 )
  • 「図解 グローバル・スタンダード革命」(東洋経済新報社)
  • 「業務改革成功への情報技術活用」(東洋経済新報社)
  • 「情報化戦略と投資評価・システム運用管理の実際」<編著>(企業研究会)
  • 「会社改革実務辞典」<共著>(産業調査会)
  • 「プロジェクトマネジャー(PM)の育成・スキルアップのためのメンタリングの進め方と実践法」 (ソフトリサーチセンター:CD-ROM版)   など

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