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ゆるマナー講座(第64回) 音にもマナー

by staff on 2021/2/10, 水曜日

マナーアドバイザー/フレアLLP 岡田 承子

騒音は、人に迷惑になるから誰もが気をつけようとします。乗り物でのマナーが声高に言われ始めたのはだいぶ前のようですが、最近やっと電車の中で、電話で話す人がほとんどいなくなった気がします。また、音楽のシャカシャカ音がしているのもほとんど聞かなくなりました。音漏れがしないように、以前は大きなヘッドフォンをしている人がいましたが、この頃は耳に小さなワイヤレスイヤフォンを差し込んでいる人が多くいます。それでも音漏れがほとんどないというのは、技術の進化とともに音量自体を下げるなど配慮しているのかもしれません。公共の場で、特に乗り物での音のマナーが浸透してきている証ではないでしょうか。

足音も騒音?

公共の場での音で案外気がつかないものの一つに足音があります。

ハイヒールをコツコツと音を立てて颯爽と歩く女性、素敵ですね。憧れて自分もそのようにできるかしらと歩いてみると、静かな空間では音が響きすぎて恥ずかしくなることがあります。周りの方は迷惑だろうなと考えると、いかに音を立てずに歩けるかと四苦八苦します。靴によってはやたらと音がしてしまうものもあるのです。勝手にかっこいいと思っても、向き不向きもあること、時と場によっては足音さえ気を使うべきものになることを理解しておかなくてはいけませんね。
男女を問わず、歩く時にバタバタと(コツコツではなく)音が立たないようにすること、また足を引きずらないようにすることは、音という側面だけでなく、スマートに見えるかどうかというポイントからも気をつけたい点です。いくらおめかししても、その歩き方で全てが台無し。何となくだらしない感じがしてしまいます。ぜひ、ご自身の歩き方を今一度確認してみてください。
大人だけでなく子どもたちにも、公共の場ではバタバタと音を出して歩くのは他の人に迷惑がかかるということ、足を引きずるように歩くのはみっともないことだと日頃から伝えておくとよいでしょう。

階段を上る時にも、足音に大小があることにお気づきでしょうか。足を全てステップに乗せるとドンドンと音が立ちやすいのです。それを避けるには、足の前の方だけを乗せると音がしません。その時にかかと部分を少し上げ気味にすると脚の後ろにある筋肉が鍛えられる気がします。ただし、こちらに関しては、足をすべてステップに乗せないとバランスを崩してしまいそうで危ないと思われる方は、なさらない方がよいでしょう。まずは安全第一!

暮らしの中での音

さて、毎日過ごす中で気になるのは、家庭で立てる生活音です。掃除機をかける音、洗濯機の音、干したお布団を叩く音、子どもたちが走り回ったり飛び跳ねたりする音、時には大音量の音楽。特に集合住宅では、階下の方、隣の方などに気を遣わなくてはなりません。ドアをバタンと大きく閉める音も響きます。生活音ですから、生活している以上避けられませんが、ほんの少し気にかけるだけでトラブルの元にはなりません。使う時間に配慮したり、ドアの開け閉めを少しだけゆっくりしたり、バタバタと歩かないように気をつけるとよいですね。小さな子どもたちが楽しくて駆けまわるのを止めるのは至難の業ですが、できるだけ外でエネルギーを発散させて、家の中では静かに過ごせる工夫も必要かもしれません。

日々いただく食事。ここにも音が伴います。日本では、麺をすする音は問題ありません。むしろお蕎麦は口の中に広がる香りを楽しむために強くすすって音を出すと言います。最近は、麺をすする時は音を立てるのが日本人の習慣だと思い、音を出して召し上がる外国の方も増えているようです。お抹茶をいただく際も、最後に「スッ」と音を立てます。これはお茶を飲み終えたと亭主(お点前をしてくださった方)に伝えるサイン。しかし、いくら音を立てて良いと言っても、お蕎麦もお抹茶も静かな空間で大きな音を立てるのは少々無粋な感じがします。場所によっては、できれば音は抑え気味にいただきましょう。
海外では、食事の時に噛んだり飲んだりする音、食器のカチャカチャいう音などは不作法だと嫌われます。ゲップもNG。ただしグズグズさせるよりは良いという理由で、鼻をかむのはOKです。日本でも、くちゃくちゃと音を立てて食事をいただくのは嫌われますし、大きなゲップも人前では出さないように気をつけますよね。
また大きな声もマナー違反。「すみませ~ん」とお店の方を呼ぶのはスマートではありません。

手を軽くあげるか、目で合図をして呼ぶようにしましょう。

毎日の生活のあらゆる場面で自分たちが立てている音が、周りを不快にさせることもあるということを、少し振り返って考えてみるのも時には大切なことです。

自然の音

私たちは日々多くの音に囲まれていますが、しばし都会の喧騒から離れて田舎道を歩いてみると、自然にも音があるということに気づきます。
水の流れる音、風にそよぐ草や枝の音・・・。時々「バキッ」という音がして、他に誰かいるのだろうかと見回してもいないとちょっとドキドキ。そんな時「鹿に注意」「イノシシ出没」などという看板を見つけると、思わずその場から駆けて逃げ出したくなります。でもきっと何かの拍子に出る木々の音なのだろうとは思います。もしかしたら、木たちのおしゃべりなのかもしれませんね。

足を延ばして郊外にでもお出かけして自然の音にじっと耳を傾ける、そんなことができる日が早く来ることを、今はひたすら願いましょう。

 

筆者プロフィール

岡田 承子(おかだ しょうこ)  

岡田 承子(おかだ しょうこ)
マナーアドバイザー/フレアLLP
日本航空国際線客室乗務員を経て、国際交流協会での仕事、また社会福祉法人では障がい者国際スポーツ大会事務局の運営業務やマナー研修に

携わる。現在は、自治体、企業での接遇研修や、NPO法人日本マナー・プロトコール協会認定講師として大学で指導をしている。

柳田 圭恵子(やなぎだ けえこ)  

柳田 圭恵子(やなぎだ けえこ)
マナーアドバイザー/フレアLLP
日本航空株式会社国際客室乗務員を経て、2009年よりマナー講師に。企業や自治体、大学、専門学校で接遇研修や マナー・プロトコール講

座を行っている。NPO法人日本マナー・プロトコール協会認定講師。

本の紹介です

ゆるマナー 始めましょ

 

 

 

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(岡田 承子・柳田 圭恵子 著 / ほんの木)
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