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ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第96回)

by staff on 2021/3/10, 水曜日

大浦総合研究所 代表/大浦勇三

ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第96回)

遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ

- 梁塵秘抄 -

僧・良寛には “人間是非一夢中(じんかんのぜひ いちむのうち)” という一行書があります。世間での評判などは一睡の夢のうち、の意とか。良寛の書は、かな文字の柔らかさは有名ですが、漢字の書もその柔軟性・自在性に吃驚。 “一日作らざる者は一日食わず” との厳しさを自らに課しながらも、生き方はあくまで “柔らかさ” “優しさ” を踏まえた “弾力さ” 。逆に、とんち和尚の一休宗純の書は厳にして狂、激しく荒々しい中での勁さ。けれども、戒律や形式に囚われない奥深い人間性は共通するもの。良寛の後半生は、故郷の五合庵(農家から貰い受けた一日五合の米があれば良し)で書を学び遊びつつの暮らし。何事にもとらわれず・何者にも煩わせることもない、との生き様。格を習得した後は、自らそれを打ち破る “破格” の境地。スナップショットへの対応ではなく、プロセスや構造を大切にするというスタンス。梁塵秘抄では “奥山にしば引く音の聞こゆるは 天稚御子の召す音ぞよ 召す音ぞよ” とあります。山の奥深くに楽の音が流れる、音は幻。 “所有の消費からアクセスの消費へ” と実業家ベ・ドンチェル。

“遊びをせんとや生れけん” 「遊」

歴史を学ぶ意義は何か 過去に学び
現在を見極め 未来を展望すること
願はくは 花のもとにて 春死なむ
そのきさらぎの望月のころ、と西行

西行は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけての日本の武士であり、僧侶・歌人。佐藤義清という北面武士として活躍し、歌人としても高い評価を得ていたとか。更に、歌だけでなく仏道の道を歩んだ人間としての全人的な存在。敗北・無常に対する柔軟な複眼的思考。正常な臓器はすべて柔らかいものとも。歌風は率直・質実を旨としながら強い情感を表現。 “ど真ん中の価値” を探す意志を貫徹。磨き研ぎすました寂寥が中世的叙情を醸しだす感。あらためて歴史を学ぶ意義を実感。過去に学び現在を見極め、未来を透視する覚悟。 “百歳になっても、わからないことはわからない” と書家・篠田桃紅。

“仕事をせんとや生れけん” 「献」

東アジア諸国 様々な伝統がある一方
日本が 一〇〇年以上かけた近代思想
一〇年くらいで一挙に押し寄せてくる
未来は創造していくもの、と堀場雅夫

ベンチャービジネスは、今後もイノベーションを生むうえで不可欠な仕組み。それを学生時代から挑戦した先駆者が堀場製作所の創業者・堀場雅夫。ベンチャービジネス成功の秘訣は “おもしろい仕事をするか、おもしろく仕事をするか” の2つ。イヤならやめればいいけど、本当にイヤだと思うほどやってみたのか、との問いかけ。 “どうせできない” というリミッターをまず破壊。ケガ予防には転び方を身につける、どんな手段を使っても生き抜く覚悟。 “人間にはデザインへのすごい洞察力や身体能力がある。何でも自動化する便利さの中では能力が衰退する恐れ” とグラフィックデザイナー・佐藤卓。

“学びをせんとや生れけん” 「学」

攻撃的野球 ファスト・ストライクが一番甘い
ノー・プロブレムというのが一番のプロブレム
散らかろうと 自分にベストな形でやればいい
涙は人間にとり心の脱皮、と医師・日野原重明

105歳まで見事に生き抜いた日野原重明さんは最後まで現役の医師。 “生かされている最後の瞬間まで人は誰でも人生の現役” との考えを貫きました。血栓によってひき起こされる心臓病・脳卒中の予防につなげるため “生活習慣病” の視点を導入。医療行為を医師だけでなく、治療に精通する看護師を含めて、広く医療従事者に行わせるべきだと提唱。発想の自由さと柔軟さは21世紀の切り札。涙は人間にとり心の脱皮。一杯泣いて何回も脱皮しながら人間として成長。本当の肉体労働者はジムにはいかないもの。 “発展史観でなく生態史観。風土と環境因を重視する” と生物学者・ジャレド・ダイアモンド。

「遊びは仕事、仕事は遊び」
「仕事は学び、学びは仕事」
「学びは遊び、遊びは学び」

今回とりあげた「遊・献・学」それぞれの4行文は、拙書「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)及び「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)から抽出したものです。次回以降も「遊・献・学」から各々4行文を一つずつ抽出してご紹介していきたいと思います。

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(第96回了)

 

大浦勇三(おおうら ゆうぞう) プロフィール

大浦勇三(おおうら ゆうぞう)  

大浦総合研究所 代表 (http://www.ne.jp/asahi/oura/ohura-research-institute/

石川県七尾市出身。
早稲田大学卒業、筑波大学大学院修了。
米国経営コンサルティング会社 アーサー・D・リトル 主席コンサルタントを経て現職。
主担当領域は、経営改革/企業再生、経営戦略/情報通信技術戦略策定、業務改革/組織改革、研究開発/商品開発マネジメント、マーケティングマネジメント、ナレッジマネジメント、イノベーションマネジメント、サプライチェーンマネジメント、人材マネジメント、コーチング/メンタリング、プロジェクト/プログラムマネジメント、ベンチャービジネス支援等のコンサルティング。

筑波大学大学院講師、城西国際大学客員教授、名城大学講師、産業能率大学講師、中小企業大学校講師などを歴任。

主な著作物:

  • 「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「イノベーション・ノート」(PHP研究所)
  • 「ITプロジェクトマネジャーのためのコーチング入門」(ソフトリサーチセンター)
  • 「図解 日本版LLP/LLCまるわかり」(PHP研究所)
  • 「IT技術者キャリアアップのためのメンタリング技法」(ソフトリサーチセンター)
  • 「よいコンサルタントの見分け方、かかり方」(清話会)
  • 「日本のモノづくり - 52の論点」<共著>(日本メンテナンス協会)
  • 「現場主導型の組織運営とスピード戦略」(日本監督士協会)
  • 「eコミュニティがビジネスを変える」<訳>(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメントが見る見るわかる」(サンマーク出版)
  • 「図解 ナレッジ・カンパニー」(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメント革命」(東洋経済新報社 )
  • 「図解 グローバル・スタンダード革命」(東洋経済新報社)
  • 「業務改革成功への情報技術活用」(東洋経済新報社)
  • 「情報化戦略と投資評価・システム運用管理の実際」<編著>(企業研究会)
  • 「会社改革実務辞典」<共著>(産業調査会)
  • 「プロジェクトマネジャー(PM)の育成・スキルアップのためのメンタリングの進め方と実践法」 (ソフトリサーチセンター:CD-ROM版)   など

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