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ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第98回)

by staff on 2021/5/10, 月曜日

大浦総合研究所 代表/大浦勇三

ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第98回)

遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ

- 梁塵秘抄 -

“魚ではなく魚の釣り方” という言葉があります。魚そのものを求めるのでなく、いかなる環境になろうとも、欲しい魚を釣れるスキルを身につけること。10代では劣等生でも70代には優等生になれる時代。ビジネス世界では、これまでも新しい発想や方法論が開発されてきました。近年でも “ロジカル思考” や “デザイン思考” が有名。ロジカル思考は論理や数字を重視した問題解決手法。デザイン思考はニーズや要望に応じて解決法を設計するやり方。いずれも問題解決を指向するアプローチ。しかし、環境変化は激しく、顧客も自らの求めるものが何かを明確に描き切れない時代。課題設定そのものから切り込む必要性が発生。自由な発想で自分が考える価値を創造することが求められる方向に。環境に適応する美的感性を重視。それが “アート思考”。 “リベラルアーツのハンター” への脱皮。梁塵秘抄では “恋しとよ 君恋しとよゆかしとよ 逢わばや見ばや 見ばや見えばや” とあります。情熱的に突き進むのみ。“解決できることを解決するのでなく、解決しなければいけないことを解決する”と思想家のジャック・アタリ。

“遊びをせんとや生れけん” 「遊」

怪我をすればするほど強くなる それは怪我の周囲を鍛えるからだ
多様性の価値を認識する 芸術は、相対化する力を学ばせてくれる
能は三歩歩いて三里を表現する 言葉や振舞いが、生を豊かにする
人生の有り様が少しわかると 苦くて甘くはないが、楽しみは倍加

“能” は日本の伝統芸能。江戸時代までは猿楽と呼ばれ、狂言と共に能楽と総称されるようになったのは明治維新以降。能は継承演劇としては世界最古といわれる日本独自の舞台芸術。2008年にはユネスコの無形文化遺産に登録されました。今や観世能楽堂はその舞台が銀座のド真ん中にある時代。能の大成者・世阿弥は、日本の演劇史上で最も重要な人物の一人。世阿弥独自の芸術論“風姿花伝”は、シェークスピアが登場する200年近くも前のこと。 “秘すれば花なり。よいものは常に千変万化” 。人生、甘くはないが生きる価値はタップリ。 “我儘して好きなように生きるのがいい” と作家・今東光。

“仕事をせんとや生れけん” 「献」

一つの世界では一つのモノの見方 多くの世界を知ることで多くのモノの見方を体得
みんなが多くの世界を知れば、多くのモノの見方が獲得でき、組織の厚みにつながる
組織の文化風土 組織がどれだけ多くのモノの見方を、蓄積して活かしきっているか
多面的な評価基準は、組織のもつ懐の深さ 選択できる自由と、選択できないリスク

デザイン可能な企業文化と、無意識に伝承される企業風土。今後のビジネス世界は、答えのない課題に向き合う力を身に着けることが不可欠。これまでの組織はあくまで一つのモノの見方。これからは多くの世界を知ることで、多くのモノの見方を体得する必要。みんなが多くの世界を知れば、多くのモノの見方が獲得でき、組織の厚みにつながるはず。多面的な評価基準は組織のもつ懐の深さ。選択できる自由と選択できないリスク。難度の高い問題の解決には、論理的・理性的なスキル+直感的・感性的なスキル。人が重要だというレベルでなく人がすべての世界へ。 “覚悟とユーモア” と坂本龍馬。

“学びをせんとや生れけん” 「学」

竹刀を振るのは、筋肉でなく身体全体の力 ムチをしならせる
イノベーション 突き詰めれば、多様なものを統合させること
予定調和を捨てる 周囲を見ず、面白くてやりたいことをやる
竹の種類は三五〇、釣竿になるのは一〇種類 そこに的を絞る

イノベーションでは、誰もが地べたを這いずり回ってきたのかも。しかし、その中で時に空を見上げて星を探し求める人間もいたはず。地べたを這いずり回る中での困難極まる状況で適用できるマニュアルは存在しません。シリコンバレーの企業家で共通する成功要因の一つは“どんなことがあっても絶対に投げ出さなかったこと”に尽きるのだとか。周囲に惑わされず、面白くてやりたいことに集中。自分の挑戦を評価する独自のモノサシを持つ。それには、いっぱい余計なことをしなきゃいけないかも。 “自分に必要な訓練と、そうでないものを区別して強弱をつける” と元・西鉄ライオンズの豊田泰光。

「遊びは仕事、仕事は遊び」
「仕事は学び、学びは仕事」
「学びは遊び、遊びは学び」

今回とりあげた「遊・献・学」それぞれの4行文は、拙書「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)及び「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)から抽出したものです。次回以降も「遊・献・学」から各々4行文を一つずつ抽出してご紹介していきたいと思います。

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http://www.syplus.jp/ooura/

(第98回了)

 

大浦勇三(おおうら ゆうぞう) プロフィール

大浦勇三(おおうら ゆうぞう)  

大浦総合研究所 代表 (http://www.ne.jp/asahi/oura/ohura-research-institute/

石川県七尾市出身。
早稲田大学卒業、筑波大学大学院修了。
米国経営コンサルティング会社 アーサー・D・リトル 主席コンサルタントを経て現職。
主担当領域は、経営改革/企業再生、経営戦略/情報通信技術戦略策定、業務改革/組織改革、研究開発/商品開発マネジメント、マーケティングマネジメント、ナレッジマネジメント、イノベーションマネジメント、サプライチェーンマネジメント、人材マネジメント、コーチング/メンタリング、プロジェクト/プログラムマネジメント、ベンチャービジネス支援等のコンサルティング。

筑波大学大学院講師、城西国際大学客員教授、名城大学講師、産業能率大学講師、中小企業大学校講師などを歴任。

主な著作物:

  • 「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「イノベーション・ノート」(PHP研究所)
  • 「ITプロジェクトマネジャーのためのコーチング入門」(ソフトリサーチセンター)
  • 「図解 日本版LLP/LLCまるわかり」(PHP研究所)
  • 「IT技術者キャリアアップのためのメンタリング技法」(ソフトリサーチセンター)
  • 「よいコンサルタントの見分け方、かかり方」(清話会)
  • 「日本のモノづくり - 52の論点」<共著>(日本メンテナンス協会)
  • 「現場主導型の組織運営とスピード戦略」(日本監督士協会)
  • 「eコミュニティがビジネスを変える」<訳>(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメントが見る見るわかる」(サンマーク出版)
  • 「図解 ナレッジ・カンパニー」(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメント革命」(東洋経済新報社 )
  • 「図解 グローバル・スタンダード革命」(東洋経済新報社)
  • 「業務改革成功への情報技術活用」(東洋経済新報社)
  • 「情報化戦略と投資評価・システム運用管理の実際」<編著>(企業研究会)
  • 「会社改革実務辞典」<共著>(産業調査会)
  • 「プロジェクトマネジャー(PM)の育成・スキルアップのためのメンタリングの進め方と実践法」 (ソフトリサーチセンター:CD-ROM版)   など

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