ゆるマナー講座(第68回) 言葉選び ~物は言いよう~
マナーアドバイザー/フレアLLP 岡田 承子
日々使う言葉なのに、母国語なのに日本語は難しい。
(注:外国語はちんぷんかんぷんで難しいと感じる域にまでも達しませんby 筆者)
口に出して気づく間違い。誰かと話した後で、あの表現ではなくて違う言葉のほうが良かったんじゃないかしら? と何度も考えてしまう、そんな繰り返しの連続です。
短所は長所?
自分の長所と短所を挙げてと言われると、なぜか短所ばかり出てきます。
「優柔不断」な私は何かを決めるのにとても時間がかかります。例えばスカート一枚を買うというだけでも「長いかしら? 合う上着はあったかなぁ? そもそも似合う?…」と、ああでもないこうでもないという考えが頭を巡り、すぐに決められません。ところが、この優柔不断さを違う見方でみて言い換えると、「慎重に物事を考えられる」となるのです。ある時「優柔不断だから何を決めるにも時間がかかるのぉ」と嘆く私に友人がかけてくれた言葉です。「じっくり慎重に考えてるってことだから、いいのよ気にしなくて」と。なるほどそんな考え方もできるのだと気持ちが楽になった経験があります。優柔不断さを実は私は、かなり気にしていたのだということも改めてその時にわかりました。
学生にこの言い換えをやってもらうと、こんな短所が出てくることがあります。
「朝起きられず寝坊して遅刻する」。
いやいや、それは生活習慣を変える努力をすべきでしょう!と私は思うのですが、心優しい別の学生は「たくさん寝られていいね。健康な体になれるってことだよ」と、あくまでもポジティブに言い換え。懐が深いのでしょうね。ちっぽけな心の持ち主の私とは大違い。いかに相手を想って言葉を選ぶかは、人それぞれなのだなと実感します。
物は言いよう
あるコピーライターの方が「超言葉術」という本の中で、言い方を変えるだけでずるいくらいに印象が変わると書いています。その一例が、「人の少ない街」→「閑静な住宅街」と言い換えてみるというものです。
もし私が住まい探しをしている時に、不動産屋さんに「ここは人の少ない街でね」と言われたら、さびしくて活気のない街なのかなと考えるでしょう。でも「ここは閑静な住宅街でね」と言われたら、きっと住みやすくて素敵な街なのだろうなと勝手に想像してしまうでしょう。
意味は同じなのに言い方次第で印象ががらりと変わってしまう、まさに「物は言いよう」です。それによって相手の受け取り方が全く変わってしまうのです。
自分が言われたら嫌だな、失礼だなと感じるようなネガティブな言葉も、言い換えてみれば、相手にはポジティブに受け取ってもらえることも多くなりますし、当事者以外の第3者にとっても、耳にやさしい言葉として響くでしょう。
例えば、「ケチな人」と言うなら「倹約家」、「背が低い」は「小柄」、「派手」は「華やか」、「不愛想」は「寡黙」、「偉そうにしている」は「堂々としている」などと。
言葉選び
コミュニケーションにおいて、言葉は大切なツールです。相手とお互いに気持ちよく話を進めたり、気持ちを深めたりするためにどのような言葉を選ぶかということはとても重要になります。もちろん、伝えたいことが伝わらないようでは困りますから、時には核心を突いたストレートに届く言葉も必要でしょう。しかし、そんな中でもできるだけ相手が不快にならない言葉を選ぶ、相手の立場に立ってみて言葉を使う、そのような配慮は忘れないようにしたいものです。
でも時には言葉すらいらないこともあります。
悲しみの底にある時には、多くの言葉よりも、目だけで、手のぬくもりだけで伝わるものがあるのです。それはきっと「発しないという言葉選び」なのかもしれません。
毎日使う言葉。あなたの想いが相手にどう届くか考えながら、あらためて言葉選びをしてみてはいかがでしょうか。
筆者プロフィール
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岡田 承子(おかだ しょうこ) 携わる。現在は、自治体、企業での接遇研修や、NPO法人日本マナー・プロトコール協会認定講師として大学で指導をしている。 |
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柳田 圭恵子(やなぎだ けえこ) 座を行っている。NPO法人日本マナー・プロトコール協会認定講師。 |
本の紹介です |
「ゆるマナー 始めましょ」 |
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