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ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第100回)

by staff on 2021/7/10, 土曜日

大浦総合研究所 代表/大浦勇三

ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第100回)

遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ

- 梁塵秘抄 -

福沢諭吉は英語の翻訳では立役者の一人。“競争(Competition)” “経済(Economy)” などが有名です。東京・六本木の “21_21 DESIGN SIGHT” では “トランスレーションズ展-わかりあえなさ-をわかりあおう” が開催されました。翻訳とは、ある言葉を別の言葉に変換すること。ここでは、トランスレーション(翻訳)を広義に捉えて、言語・非言語や文化的背景を超えて意思疎通を図るプロセスと位置付けています。テクノロジーで翻訳機能が進化、言語の垣根を超えて何時・何処でも繋がること。トランスレーションを介したコミュニケーションが文字による言語だけでなく、視覚・聴覚といった感覚や身体表現などを用いて送り手と受け手をつなぐ架け橋に。解釈・変換・表現は、デザインやアートにも反映。 “トランスレーションとはコミュニケーションのデザイン”。人間同士だけでなく人間と機械やネットワークにも。梁塵秘抄では “此の巫女は様がる巫女よ かたびらに後をだに編かわで 忌々しう憑き語る 此を見給え” とあります。巫女は神と交流。“新しい情報や知識が民主主義を更新する” と経済学者・ピケティ。

“遊びをせんとや生れけん” 「遊」

面白いからやるという姿勢が命 そこには、限界は存在しない
難しいことをどう易しく表現するか あえて難しく表現しない
みた通りに描くのではなく想像し考えた通りに描く、とピカソ
具象だけでなく抽象を重視する 存在としての人間を自覚する

鮮烈な個性で人々に衝撃を与え続けてきた画家のパブロ・ピカソ。生涯で14万点を超える作品を残すと同時に、現代美術に通じる新たな様式を生み出しました。時代ごとに変化する作風は、新しい表現への貪欲なまでの探求心。みた通りに描くのでなく想像し考えた通りに描く。具象だけでなく抽象を重視。見えないものが見える一瞬手前での勝負。ひたすら面白いからやるという姿勢を貫く意志。21世紀の人間の生き方に示唆を与えるものかも。“明確な目的があればどんなに険しい道でも進むことができる。その一方で、目的がなければ平坦な道でさえ進むことはできない” と思想家・カーライル。

“仕事をせんとや生れけん” 「献」

中国は弱者切り捨てだけど国として強くなる 油断すると付け込まれる
一定の犠牲は仕方がない 失敗は、誰にとっても成功のポートフォリオ
相手にあって自らにないもの 学び・構築・実践への執拗極まる貪欲さ
消費は美徳だけでは続かない モノづくりの中にこそ人間の自由と喜び

“ポートフォリオ” とは書類を挟むファイルフォルダー(書類入れ)。証券の世界で投資有価証券を一括りに捉えたものを指すようになり、ポートフォリオを通じてリスクとリターンを判断する目的で利用されるようになりました。一定の犠牲は仕方ないこと、失敗は誰にとっても成功のポートフォリオの一部と理解する必要があること。自分に欠けているものはポートフォリオの中身を吟味して差替え。学び・構築・実践への執拗極まる好奇心が命。常に自身のスキル・ポートフォリオの棚卸しが欠かせない時代に。“先進国は消費社会の先に目標を定める必要がある” と人口学者のエマニュエル・トッド。

“学びをせんとや生れけん” 「学」

危機の時代 何が変わるのか、何が変わらないかを見抜く
均衡が崩れた世界 不確実性・リスクをきちんと認識する
サービス産業の経済発展は 工業のように一直線ではない
広大深遠にも狼狽えない 本気になれるものに本気になる

システム障害がビジネスに影響を及ぼす事案が増大。最近の米国では、“カオスエンジニアリング” という考え方に関心が集中。カオスエンジニアリングとは、意図的に障害を盛り込む手法。100%完璧ということに固執して対応が遅れてしまうことや、何年間も設定変更を先延ばしするケース。本番稼働するシステムに対して故意に障害を起こし、すぐに自動復旧させる取組みを実現する仕組み。サーバー停止などを本番環境に起こすことで、実際の障害の発生に備えるもの。試験環境でなく敢えて本番で実施。そのための冗長性を内包。“最高の斬れ味を知ったら人間は一気に変わる” と宮大工・小川三夫。

「遊びは仕事、仕事は遊び」
「仕事は学び、学びは仕事」
「学びは遊び、遊びは学び」

今回とりあげた「遊・献・学」それぞれの4行文は、拙書「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)及び「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)から抽出したものです。次回以降も「遊・献・学」から各々4行文を一つずつ抽出してご紹介していきたいと思います。

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http://www.syplus.jp/ooura/

(第100回了)

 

大浦勇三(おおうら ゆうぞう) プロフィール

大浦勇三(おおうら ゆうぞう)  

大浦総合研究所 代表 (http://www.ne.jp/asahi/oura/ohura-research-institute/

石川県七尾市出身。
早稲田大学卒業、筑波大学大学院修了。
米国経営コンサルティング会社 アーサー・D・リトル 主席コンサルタントを経て現職。
主担当領域は、経営改革/企業再生、経営戦略/情報通信技術戦略策定、業務改革/組織改革、研究開発/商品開発マネジメント、マーケティングマネジメント、ナレッジマネジメント、イノベーションマネジメント、サプライチェーンマネジメント、人材マネジメント、コーチング/メンタリング、プロジェクト/プログラムマネジメント、ベンチャービジネス支援等のコンサルティング。

筑波大学大学院講師、城西国際大学客員教授、名城大学講師、産業能率大学講師、中小企業大学校講師などを歴任。

主な著作物:

  • 「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「イノベーション・ノート」(PHP研究所)
  • 「ITプロジェクトマネジャーのためのコーチング入門」(ソフトリサーチセンター)
  • 「図解 日本版LLP/LLCまるわかり」(PHP研究所)
  • 「IT技術者キャリアアップのためのメンタリング技法」(ソフトリサーチセンター)
  • 「よいコンサルタントの見分け方、かかり方」(清話会)
  • 「日本のモノづくり - 52の論点」<共著>(日本メンテナンス協会)
  • 「現場主導型の組織運営とスピード戦略」(日本監督士協会)
  • 「eコミュニティがビジネスを変える」<訳>(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメントが見る見るわかる」(サンマーク出版)
  • 「図解 ナレッジ・カンパニー」(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメント革命」(東洋経済新報社 )
  • 「図解 グローバル・スタンダード革命」(東洋経済新報社)
  • 「業務改革成功への情報技術活用」(東洋経済新報社)
  • 「情報化戦略と投資評価・システム運用管理の実際」<編著>(企業研究会)
  • 「会社改革実務辞典」<共著>(産業調査会)
  • 「プロジェクトマネジャー(PM)の育成・スキルアップのためのメンタリングの進め方と実践法」 (ソフトリサーチセンター:CD-ROM版)   など

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