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ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第103回)

by staff on 2021/10/10, 日曜日

大浦総合研究所 代表/大浦勇三

ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第103回)

遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ

- 梁塵秘抄 -

京都・高山寺に残されている800年前の絵巻物が国宝・鳥獣戯画。甲・乙・丙・丁の4巻からなり、特に “かえる・さる・うさぎ” が躍動する甲巻は有名。楽しむこと・遊ぶ時間を創ることこそ至上。新型コロナウィルスで一時中断されましたが、この春、上野・国立博物館で初めて全4巻・全画面が公開されました。人気の甲巻は動く歩道の形で公開。更に土佐光信筆の模本や狩野探幽の “探幽縮図” と呼ばれるものも。原本(オリジナル)と模本(コピー)を2度繰り返し見ることに。模本を見ることで原本の特徴が際立つことを実感。模本は原本を忠実に模写することが基本。光信のコピーの正確さ・丁寧さ・綺麗さ。一方で、原本が持つオリジナル独特の奔放な筆致、良い意味でのいい加減さ・粗っぽさ。ただ、そこから感じる力強さと破壊力。古いものは新しくつくることができないもの。息苦しい秩序ではなく、自由に呼吸している無秩序こそが人間世界。人間もまた一種のウィルス。“昨日から何を学ぶか” と映画俳優のジョン・ウェイン。

“遊びをせんとや生れけん” 「遊」

一定レベルまでの急成長は高速道路 その後は一般道路で実力次第
コーチがあまり口を出すと 選手は自分でアイデアを出さなくなる
誰も創っていないものをつくる ダントツの強みだけが勝ちを生む
スタンダードを知り尽くした上でスタンダードを破壊する、と運慶

運慶は興福寺を拠点に活動した仏師・康慶の実子。また、快慶は康慶の直弟子。運慶は剛で、快慶は柔。共に規格を知り尽くした上で規格を破壊。完璧とは何も加えるものがなくなった時でなく何も削るものがなくなった時。運慶・快慶が活躍するちょっと前までの仏師はあくまで裏方の存在。そんな仏師の世界に革命を起こしたのが定朝(じょうちょう)。イノベーションの切り口は、貴族受けする寄木造というコスパ最強の仏像製作プロセス。“私にとって困難なことは私にとって幸運なこと” と詩人・ヴァレリー。

“仕事をせんとや生れけん” 「献」

同じことを言い、同じ行動を誰もがとる時は要注意
文化・思想・論理 良い仕事をしたら食っていける
信条・目標・手立て 仕事は熟考を通じて創られる
闇は光の副産物でなく 奥深い闇の中に光が生れる

“闇は光の副産物でなく奥深い闇の中に光が生れる” との視点が求められる時代に。谷崎潤一郎は “陰影礼賛” で、まだ電灯がない時代の日本の生活・風情・自然が一体化し、清貧を旨とする日本人の芸術的感性を見事に表現しました。海外の知識人・映画人にも大きな影響を与え、建築・照明・食器などの陰翳への考察にまで及ぶことに。プロのカメラマンにとってはまさにバイブル。すべてを詩化して不純・不潔な風景をも風雅な場に変貌させるデッサン。“複雑性の思考には詩的に生きることだ” と作家・モラン。

“学びをせんとや生れけん” 「学」

生きるか死ぬかの決断 複数の選択肢から選ぶのではなくこれしかない一本道
失敗するかもしれない 問題は、本当に飢えているのか、何を表現したいのか
点ではなくて面のマネジメントが肝腎 大きすぎる債務はインフレを誘発する
強国は過去のW杯で何度も敗戦の屈辱を経験 伝統とは屈辱の堆積が厚いこと

伝統とは、制度・思想・芸術などにおいて、様式・傾向などの有形無形の流れを継承すること。一方で、伝統とは屈辱・誤謬の堆積とも。破壊する道を破壊しきることで再建する選択肢もありそう。また、伝統でないものを伝統として広めることで、新たな伝統を創造する道も。氷山の巨大部分を海の底から引きずり出すという挑戦。デジタル化による伝統の流動化も一段と加速。本質を方向感覚としてグリップ。“エブリシングについてサムシングを知る。サムシングについてエブリシングを知る” と思想家・徳富蘇峰。

「遊びは仕事、仕事は遊び」
「仕事は学び、学びは仕事」
「学びは遊び、遊びは学び」

今回とりあげた「遊・献・学」それぞれの4行文は、拙書「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)及び「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)から抽出したものです。次回以降も「遊・献・学」から各々4行文を一つずつ抽出してご紹介していきたいと思います。

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(第103回了)

 

大浦勇三(おおうら ゆうぞう) プロフィール

大浦勇三(おおうら ゆうぞう)  

大浦総合研究所 代表 (http://www.ne.jp/asahi/oura/ohura-research-institute/

石川県七尾市出身。
早稲田大学卒業、筑波大学大学院修了。
米国経営コンサルティング会社 アーサー・D・リトル 主席コンサルタントを経て現職。
主担当領域は、経営改革/企業再生、経営戦略/情報通信技術戦略策定、業務改革/組織改革、研究開発/商品開発マネジメント、マーケティングマネジメント、ナレッジマネジメント、イノベーションマネジメント、サプライチェーンマネジメント、人材マネジメント、コーチング/メンタリング、プロジェクト/プログラムマネジメント、ベンチャービジネス支援等のコンサルティング。

筑波大学大学院講師、城西国際大学客員教授、名城大学講師、産業能率大学講師、中小企業大学校講師などを歴任。

主な著作物:

  • 「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「イノベーション・ノート」(PHP研究所)
  • 「ITプロジェクトマネジャーのためのコーチング入門」(ソフトリサーチセンター)
  • 「図解 日本版LLP/LLCまるわかり」(PHP研究所)
  • 「IT技術者キャリアアップのためのメンタリング技法」(ソフトリサーチセンター)
  • 「よいコンサルタントの見分け方、かかり方」(清話会)
  • 「日本のモノづくり - 52の論点」<共著>(日本メンテナンス協会)
  • 「現場主導型の組織運営とスピード戦略」(日本監督士協会)
  • 「eコミュニティがビジネスを変える」<訳>(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメントが見る見るわかる」(サンマーク出版)
  • 「図解 ナレッジ・カンパニー」(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメント革命」(東洋経済新報社 )
  • 「図解 グローバル・スタンダード革命」(東洋経済新報社)
  • 「業務改革成功への情報技術活用」(東洋経済新報社)
  • 「情報化戦略と投資評価・システム運用管理の実際」<編著>(企業研究会)
  • 「会社改革実務辞典」<共著>(産業調査会)
  • 「プロジェクトマネジャー(PM)の育成・スキルアップのためのメンタリングの進め方と実践法」 (ソフトリサーチセンター:CD-ROM版)   など

 

 

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