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しあわせの「コツ」(第63回) 「親ガチャ」論が目をつぶる不都合な真実

by staff on 2022/3/10, 木曜日

第63回 「親ガチャ」論が目をつぶる不都合な真実

「子供は親を選べない」という考え方から「親ガチャ」という言葉が流行っています。最近は「子ガチャ」「上司ガチャ」「社会ガチャ」と、様々な「ガチャ」があるようです。

SNSの広がりとともに他人の生活や家庭環境が容易に可視化され、自分よりも恵まれた家庭に育った相手や、悲惨な環境で育った相手を知る機会が増えたことも、「○○ガチャ」という言葉が流行る一因でしょう。

こと「親ガチャ」に関する限り、我が子の体験と何人かのお母さんから聞いた話に基づいて、それは「嘘だ!」と私は断言します。「親ガチャ」どころか、子供は明確に「親を選んで生まれてくる」のです。自分の魂の進化を助けてくれるような親、あるいは親の進化を助けるために、「その親をめがけて生まれてくる」のです。

本コラムでも以前書いたことがありますが、三女が二歳の時、「本当はもっと早く生まれてきたかったけど、お兄ちゃんたちが先におすべりを降りて行ったから、私、遅く生まれてきたんだ」と言われたことがあります。

娘によると、私は「あちらの世界」(どちらの世界?)で人気があったらしく兄たちが先を争うようにどどどっと私めがけて降りて行ったそうです。そのせいか、我が家は6人の子供のうち5人が年子です。しかも3番目と5番目の年の差はなんと2歳8か月(笑)。まさに「どどどっと」降りてきた結果だといえます。5番目を出産後、無理がたたって体調を崩し、3年後に三女が生まれました。

一昨年、30代の若いお母さんと話す機会があり、この話をしたところ、「あーよくわかります。うちの子も似たようなことを言うんですよ」と、5歳になる息子さんのことを話してくれました。その息子さんは「ぼく、地球の土を良くするために、ママの子になって生まれてきたんだよ」と言うそうです。息子さんによると、地球の土がとても弱っているので元気にしてあげないと生き物がみんな死んでしまう、だから土を元気にするために環境を変えないといけないと言うのです。

驚いたことに、その息子さんが通う保育園の20名足らずの組に、何と5人も「お母さんを選んで生まれてきた」と明確に記憶している子供がいるというのです。

人は生まれる前の記憶は消されてから生まれるそうですが、まれに生まれる前の記憶をもったまま生まれてくる子供たちがいます。最近はそういう子供がふえており、その子たちの証言によれば、「親を選んで生まれて」くるのは明白な真実なのです。

人生が思い通りにいかなかったり、自分より恵まれた境遇にいる人を見て「ああ、親ガチャではずれを引いた」と思う人は、自分がその親を選んで生まれてきたことを忘れているだけなのです。無理解で欠点だらけの親、あるいは毒親と呼ばれる親もいます。もし自分の親がそういう人物だったら、こう考えてみてください。

「自分は何を学ぶためにこの人を親に選んだのか」

もしかしたら、忌み嫌う親の欠点は、あなたが克服すべき課題を教えてくれているのかもしれません。経済的に恵まれない家庭環境は、あなたが努力して成長するための舞台装置かもしれないのです。

「親ガチャ」という考えは、不本意な人生の原因を「親のせい」にしているわけですが、それは自分の人生の責任を放棄していることにほかなりません。もっとはっきり言えば、自分の人生なのに、自分から主役の座をはじめから降りているということなのです。

人は亡くなるとき、してきたことの後悔より、しなかったことの後悔の方が大きいと言います。してきたことの過ちは修正ができますが、してこなかったことはこの世のどこにも痕跡がないのですから、修正のしようがありません。もっと勇気を出してこうすればよかった、我がままと思われてもあれをやり通せばよかった・・・などなど、後悔の「念」だけが残り、魂の進化を妨げるのです。「誰かのせい」にして、しなかったこと・できなかったことを悔やんでも遅いのです。

もう「親ガチャ」や「上司ガチャ」という考えはやめませんか。自分の身に起きていることを人のせいにするのは楽かもしれませんが、決して人間的成長はありません。勇気をもって自分の人生の主役の座を取り戻しましょう。もちろん、困難を受けて立つばかりでなく、本当に危険な人物なら「逃げる」という選択肢もあるでしょう。何であれ、自分の人生に対して、主体的に関り、自分から行動を起こすことが大切なのです。

親子や夫婦、という親密な関係は、決して偶然に結ばれたのではなく、お互いが成長し進化の階梯を上げるために、魂レベルで自ら選び、互いに合意し合った関係です。ですから、その関係の中で起きることは、進化に向けて取り組み、解決すべき「課題」なのです。

その時に「親ガチャ」を持ち出して、「親のせい」にしてしまうことは、せっかくの成長の機会をみすみす逃してしまうことになります。どんな親であれ、自分が選んで生まれてきました。この視点に立ってこそ、自分の人生に責任を持ち、自分の人生の真の主人公となる、尊厳ある生き方が生まれてくるのです。

もしあなたがイケメンで、頭脳明晰、身体能力抜群、誠実で気高く、愛情豊かで、良き家族に恵まれ、望むものは何でも手に入る大富豪だったら、幸せでしょうか? ―きっと数日で飽きるでしょうね。なぜなら、そんな人生には難問をクリアして先に進む「進化」の楽しみがないのですから。ゲームでも、簡単な設定のものはすぐクリアできてつまらないものです。難しいゲームをクリアした時の充実感があるからこそ、「面白い」と思うのです。

興味深いことに、スピリチュアル界でおなじみの「引き寄せの法則」も、親子関係や夫婦関係に問題があると良い方向には発動しないそうです。「親ガチャ」などと言っているうちは、親への感謝もなく、他と比較して現状に不満をかこつ意識が底にあるので、ネガティブな事ばかりが引き寄せられてしまうのです。

自分の人生の主人公になるということは、前述しましたが、自分の人生に起きることを「誰かのせいにしない」ことです。人生に起こることは、無意識であれすべて「自分が選んでいる」、「自分が作り出している」のです。その意味でいえば「自分は創造主」といえるでしょう。

そうです、実は人間こそが創造主なのです。

そして、この事実こそ、有史以来「宗教」というものがひた隠しにしてきたことなのです。人間の外に神という存在を作り、それに膝まづかせる、という「仕組み」が、巡り巡って自分が選んだ親さえも受け入れられない無責任な意識を生んだのです。

宇宙的な時間軸で、今は宇宙全体が大きく進化する周期を迎えていると言われます。しかし、自分の人生への責任も持てず、(どんな親であれ)自分をこの世に誕生させてくれた親への感謝もない人間が、宇宙の進化の波に乗れるかどうかは、大いに疑わしいのではないか、と思うのですが。

★★★★★★★

いつもコラム「しあわせの『コツ』」をお読みいただき、ありがとうございます。本コラムは今回を持ちまして、定期投稿から不定期投稿に変更いたします。長い間のご愛読、心より感謝申し上げます。折を見て投稿させていただきますので、よろしくお願いいたします。

4月より、「開店休業」状態だったブログ From LIFE to life―いのちからくらしへ を再開しますので、今後はそちらにもお立ち寄りください。

筆者紹介

 
本 名 田尻 成美 (たじり しげみ)
略 歴 著述家・都市拡業株式会社取締役
著書 「しあわせのコツ」(幻冬舎)
主な訳書「都市革命」(H・ルフェーブル著 晶文社)、
「空間と政治」(H・ルフェーブル著 晶文社)、
「文体論序説」(M・リファテール著 朝日出版社)
比較文化的視点から、日常の出来事をユーモアを交えて考察していきます。
著 書 「しあわせのコツ」(幻冬舎)



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