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記憶の中から (第一話)本牧での周五郎の足跡

by staff on 2022/6/10, 金曜日

記憶の中から
時代小説家山本周五郎と父装丁家 秋朱之介の交流より

第一話  本牧での周五郎の足跡

二年半くらい前のことです。コロナ禍で東京の事務所通いは休み、ただあちこちを歩いていた時の事、ふと気が付きましたが本牧には「文豪 山本周五郎」の足跡が全く残っていないのです。山手には大佛次郎記念館、MM地区には長谷川伸の記念碑があります。東京には樋口一葉をはじめとして池波正太郎文学館、芥川龍之介文学碑が本所の回向院傍になど沢山のものがあるのです。山本周五郎記念碑とネットで検索すると生まれ故郷の山梨県大月市には生誕の地の立派な石の記念碑が、「樅ノ木はのこった」の記念碑も舞台になった主人公原田甲斐の船岡城址公園の大きなもみの木の下にあるそうです。

何とかならないものか。地元の周五郎フアンの方々にお知恵を借りました。すると町内会長さんがコロナ禍で開催できなかったイベントの資金がある。年度末までに記念碑が完成するようなら援助できるとのありがたいお声を頂きました。資金のめどが立てば楽勝と思ってましたが甘い。デザインや業者への発注など専門知識が必要になります。幸い本牧の皆さんその方面の経験者ばかりです。
とんとん拍子に記念碑が出来上がりました。約一年半で形になったのです。

2022年3月14日、除幕式当日、昨日までの曇り空は嘘のような上天気です。
多くの方が集まってくださいました。設置場所は色々と案がありましたが、最寄りのバス停留所が沢山の人の目に留まるという案が通って市営バス下り線「本牧」停留所の脇の植え込みになりました。若木ですが桜の木も植わっています。
除幕式は中区長、連合町内会長そしてご親族の松野由紀子さん、私と4名で晴れやかな天気のもとで行われました。

私はきん夫人の形見の留袖をワンピースにしたものを着用しました。
晴れの日に着ることが出来て嬉しい。
おばちゃんありがとう。
いずれは八聖殿に記念館も作り、作品のビデオを流したり、朗読会を開いたり、江戸の庶民の研究会なんかも開きたいと構想も膨らみます。
それまでおじちゃん見守っていてくださいね。
また「うるさいー」と叱られるかしら。

こんな気持ちで除幕式に臨んでおりました。

記念碑と一緒に

山本周五郎は、戦後1946年に東京・馬込から横浜市中区本牧元町に移り住み、以来21年、横浜が終焉の地となりました。また、小学生時代の数年を横浜で過ごしおりましたので、山本周五郎にとって横浜は、第2の故郷ともいうべき地です。しかしながら、このことは横浜の人においてもあまり知られていないようです。

父 秋朱之介は装丁家をしておりましたので、私たち家族は山本周五郎一家と交流がありました。
この連載では、時代小説家として知られる文豪山本周五郎一家と過ごした時代を振りって戦後の本牧の思い出を綴ってみたいと思います。
今年は山本周五郎の没後55年にあたります。
私の回想に少しおつきあい下さい。

(第一話了)

 

大久保 文香さん プロフィール

記憶の中から 大久保文香さん   「関内を愛する会」事務局長を経て
「野毛大道芸」事務局に就任。
以降エンタメに興味を持ってイベント企画会社
桜蘭(株)を立ち上げ
現在、桜蘭(株)プロデューサー
 
<ヨコハマNOWの記事>
「大道芸の母」として慕われているイベントプロデューサー 大久保文香さん

 

 

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