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歴史・山城ナビゲーター 山城ガールむつみさん

by staff on 2022/6/10, 金曜日

「どこの地域にも素晴らしい歴史が眠っています。」山に入り、天守や建物のない手付かずの山城の遺構を見つけると、まるでタイムスリップしたかのように、その臨場感にワクワクドキドキします。歴史が織りなすロマンスをいっしょに楽しみませんか? 今回、ご紹介するのは歴史・山城ナビゲーターの「山城ガールむつみさん」です。

お名前 山城ガールむつみ(宇野睦)
お生まれ 横須賀市
お住まい 保土ヶ谷区権太坂
ご家族 お母様と同居。兄弟は妹と弟がいます
お仕事 歴史&山城ナビゲーター
趣味 仕事?!

 

横須賀生まれ

生まれ育ったのは横須賀市、家の裏山が三浦一族の「怒田城」であったことを大人になって知りました。現在放映中のNHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」でも三浦一族は重要な役割を果たし、鎌倉幕府開府の立役者となっております。今でこそ、三浦一族の「とりこ」となっている私ですが、幼い頃は知る由も無く、横須賀の歴史は全く興味ありませんでした。

子供の頃は本ばかり読んでいました。私の母は劇団に所属していた経験があり、幼い私に絵本を読み聞かせる時は、声色を変えて主人公たちを演じてくれました。夜、布団に入って聞く「おとぎばなし」は本当に面白くてワクワクしたものです。

私が本好きになったのはそんな母の影響だと思います。幼稚園生の時に「台本」を書いて母を驚かせたことを覚えています。登場人物が2~3人の短いお話でしたけど、母に見せたくて夢中で書きました。

小学生1~2年の時に山本周五郎を読む?

本を読むことで「読解力」が身に着いたようで、国語の授業は大好きでした。算数も好きでした。

小学1年か2年の時に、親子で観劇を楽しむ行事がありました。お芝居は山本周五郎の「さぶ」でした。少年二人が奉公先で友情を深めるも一人が濡れ衣を着せられて人間不信になっていく・・といったストーリーなのですが、小学校の低学年には「いきなりお芝居を観ても理解が難しいのではないか」と思った母が本を買って来てくれました。「読んでも読まなくてもいい」と思ったそうですが、期待(?)に応えて読み終えてしまって、母や担任の先生を驚かせたことを覚えています。

スポーツは、小学4年生の時に地域のミニバスケット部に入り6年生まで続けました。ピアノと水泳も習っていました。

国語の先生のおかげです

中学校もバスケット部に入りましたが、途中で「帰宅部」に・・・本が好きで本ばかり読んでいました。

中学の国語の先生は「主人公の考えていることを想像してみて」と、主人公の気持ちを創作して書くといったユニークな授業を取り入れていました。
「山城ガール」になって、当時の人々の想いを考えること、想像することをするようになったのは、この授業のおかげだと思います。

小説家になろうと思って

高校は公立高校で、再びバスケット部に入り、3年間頑張りました。当時、横須賀はバスケットが強い地域でした。バスケット界で有名な先生が指導してくれることになり、スポーツ根性物語的な展開となりました。辛く厳しい練習でしたが、あの達成感、充実感は人生の宝です。

高校でも得意だったのが国語。将来の夢は「小説家」になること。大学は文学部に行くつもりが、希望大学に受からず、「法学部」へ。

大学生から社会人に

父が難病に罹ったのは大学在学中のことでした。気落ちする母を支え、長女として妹や弟の面倒をみて、家計のことなども考え、学業よりもバイトや家族のことを優先したため、大学時代の記憶はほぼありません(笑)

就職してからはいくつかの仕事をしました。リゾート会社の営業では、余暇を楽しもうとしているお客様のニーズにお応えし、お客様を喜ばせることを学びました。土木建築の設計業務などもしました。数学が得意だったこともあり、設計業務は好きでした。

就職してからも、「小説家」「脚本家」になる夢は抱き続け、生活費を除いた給料の殆どが本代や映画や芝居のチケット代に消えました。「脚本」を書く学校に通い、寝る間を惜しんで「小説」や「脚本」を書き、寄稿したり、応募に出したりしていました。

山城ガールむつみの誕生

滋賀県長浜市にある小谷城跡を訪れた際、現地に残る石垣や手付かずの山城の遺構に、時間を超えた武者たちの息遣いを感じ、ものすごい衝撃を受けました。自刃を余儀なくされた最後の城主浅井長政の無念に想いを馳せました。あたかも、その思いが届いたかのように石垣に陽が差し込み、苔むした石垣が輝いたことを思い出します。その光景にロマンを感じ、全国の山城を巡るようになりました。

山城は南北朝時代から戦国時代に造られましたが、誰しもが抱く天守閣がそびえるお城ではなく、イメージでいうなら「砦」の方が近いと思います。ですから、各地にたくさんあります。みなさんの近所の寺社が実は城だということも多々あります。「昔話」で語り継がれた場所、畏れられたり、敬われている場所、地元に残る僅かな情報を基に、宝探しのように過去を掘り起こしていきます。

街道や河川などの交通を押さえるように、尾根伝いには見張り台があり、のろし台があり、山の中を歩くとタイムスリップしたかのように、当時の臨場感が伝わって来てワクワクします。

このワクワク感、トキめき、楽しさを誰かと共有したいと思って、「山城ガールむつみ」というペンネームで書き始めました。すると、たくさんの方が見てくれて、そこからタウン誌のコラム連載や山城をテーマにした歴史ウォーキングイベントなどを仕事の傍らにやらせていただくようになりました。ブログを書き始めたときは、まさか「山城ガールむつみ」の名で活動することになるとは夢にも思わず(笑)

歴史・山城ナビゲーター 山城ガールむつみ見参

山城の魅力を誰かに伝えたい

その後、会社を辞め「歴×トキ」(レキトキ)として独立し、講演会や出張授業、カルチャースクール、バスツアーなどイベントを企画、「山城の魅力や歴史の楽しさ」を伝える活動を始めました。「歴×トキ」(レキトキ)の意味は、「歴史とトキメキ、歴史でときめく」です。さらに、×(カケル)という記号には「掛ける」という意味の他に、「歴史で時を翔る」、「歴史で今と過去、そして未来を繋ぐ橋を架ける」、「歴史の舞台を駆ける」、「私の想いを懸ける」という意味を込めてあります。

小学校への出張授業・千葉県多古町

三浦一族展覧会でギャラリートークをしました

こうした活動をする際は何度も下見に行きます。郷土資料館や郷土史家を訪ねてお話を伺ったり、周辺をひたすら歩きます。山ヒルやイノシシ、熊に気を付けながら山道を歩きます。近年は、スズメバチの巣が増えて細心の注意が必要です。滑りやすい場所、落石の多い場所などチェックして安全安心のツアーを目指します。

ツアーガイド光景

ツアーガイド光景

ツアーは15人~30人ほどで行います。お話をしながら歩くのでスピーカーを使って話すこともありますが、人数が多い時はガイディングレシーバーが活躍します。マイクを通して私の呟きや独り言までが参加者全員に伝わり、単なる歴史ガイドではなく、一体感のある楽しい雰囲気になっていると思います。

バスツアーで、えいえいおー

ガイディングレシーバーが活躍します

旅行ガイドブックにも載っていない「歴史」と「城」は、観光資源として新しい価値を生み出してくれると思います。地元の人が魅力を知らずにいる地域の名もなき城に、外からツアーなどで見学に来ることで、地元の方に「郷土史」を知ってもらうきっかけとなります。郷土愛が生まれ、地域の活性化に繋がれば良いと思います。

JRバス関東の路線バスツアーにて、車掌の衣装でガイド

御城印で地域に埋もれている「山城」の魅力を掘り起こしたい

「御城印」とはお城のお土産です。寺社の御朱印と違って、宗教的な意味はありません。御城印は既に存在していましたが、「御朱印」のように赤黒のカラーが主流でした。

それではつまらないと思い、もっとたくさんの人に山城の魅力をお伝えできる図案化された楽しいデザインを考えました。山城を知らない人でも手に取って見たくなるもの。「御城印」をきっかけに山城に行きたくなるような御城印を考えました。

そのお城に埋もれている歴史のストーリーを葉書サイズの御城印に詰め込み、城の説明文を添付しました。説明文は各自治体や保存会のチェックを受けて、きちんとした歴史をお届けしようと心がけています。
これら「御城印」は道の駅や現地のお店、役所、観光協会などで販売しており、売り上げの一部が城の整備費用などに充てられています。「御城印」で日本全国の城を繋げたい、盛り上げたいという思いが、少しずつ形になって広がっているように感じています。
誰に頼まれたわけでもなく、勝手に「使命感」を持ち、地域の活性化を目指して頑張っています(笑)。

あなたにとっての「横浜」とは?

私にとっての横浜は「色とりどりの面白い街」です。

海あり山あり。
おしゃれな都会かと思えば、田園風景が広がる中世の面影の残る場所もある。
近代歴史遺構が目立ちますが、古代からの史跡や山城、そして合戦地など。
日本初の鉄道というコンテンツもありながら、古くから発達した水上交通の湊や河川などのネットワークもあります。
色とりどりの歴史、そしていろんな顔を持つ不思議で魅力満載の素敵な面白い街。
それが私にとっての「横浜」です。

私にとっての横浜は、
「色とりどりの面白い街」です

 

 

(インタビューと文:高野慈子平安山美春

 

 

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ランニングが大好きで、月に150kmほど走っているというヨコハマNOW編集長の辰巳隆昭が、お気に入りの新横浜公園のランニングコースを紹介します。
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横浜中華街 市場通りの夕景

 

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