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ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第112回)

by staff on 2022/7/10, 日曜日

大浦総合研究所 代表/大浦勇三

ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第112回)

遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ

- 梁塵秘抄 -

“不文律分析” という世界的ベストセラーを20年以上前に書いたのがピーター・スコット・モーガン。英国の大学でロボット工学の博士号を取得。最近、筋委縮性側索硬化症(ALS)を患い、医師から余命2年の宣告を受けたことを知り驚愕。医療手術を受け、自分自身とAIを融合した“ヒューマンサイボーグ”に変身。サイボーグ化にはインテルなども協力。NHKでも近年その生きざまが報道されました。テレビの姿は変貌していましたが、私が所属した米国大手経営コンサルティング会社アーサー・D・リトル(ADL)で同僚だったスコット・モーガンだと気付きました。日本ではいろんな分野で改革が叫ばれていますが、成分律や組織・業務プロセスだけに手を入れても不発。文化風土(不文律;Unwritten Rules)にまでメスを入れて血を浴びないと改革は成功しません。本人は世界最初の完全サイボーグになると意気軒高。電子化の更新頻度はマイクロソフトを超えるとか。“逆らうことを忘れ、成行きのまま生きる” と画家・堀文子。

(注)ピーター・スコット・モーガンが6月に急逝したことを
7月になって知りました。謹んでお悔やみ申し上げます。

“遊びをせんとや生れけん” 「遊」

多様性を促す 経歴や専門分野の異なる人材群を協働させる
創造性の肥やしとなる経験 この蓄積をメンバーに奨励する
創造的第三者にもオープンに 創造性の各段階を具体化する
漠然とした初期段階は管理を持ち込まず 調査に時間と資源

多様性(ダイバーシティ)とは広範囲な質の異なる群れが存在すること。矛盾・対立を乗り越えて相違・異質を許容、光と闇のせめぎ合い。異なる要素・異なるタイプのメンバーをコミュニティや組織に包摂。顔よりも脳にシワを刻むこと。経歴・専門分野の異なる人材を協働させ、創造性の起爆剤となる知やスキルを蓄積。得意が一つだけでは不十分、幾つかの知の合わせ技を研磨、一寸先は闇だから。“ポジティブ・フィードバック:より良い方向にどう持っていくかを考える” と南極観測隊越冬隊長・西堀栄三郎。

“仕事をせんとや生れけん” 「献」

ステークホルダーとの関係を重視 顕在・潜在ニーズを掘り起こす
コミュニティの形態を生かす 人や組織と交流をもち理解を深める
環境適応のための組織変更を躊躇しない 人材の流動性を加速する
異質の技術を持つ人材との出会いの場 人材と技術をセットの管理

イノベーションの集積には3つのTが欠かせないとか。テクノロジー(Technology)・タレント(Talent)・トレランス(Tolerance)。技術・人材はよく語られますが、一番重要なのがトレランス(許容)かも。許容対象は性・流動性・外国人密度などで創造性と強くリンク。白と黒のどちらも色彩の女王。異質の技術&スキルを持つ人材との交流。腹の虫で観察、習慣は第二の自然。人材と技術をセットのマネジメント。“正確に距離を測るため、常に同じ69センチの歩幅で歩く訓練をした” と商人・測量家の伊能忠敬。

“学びをせんとや生れけん” 「学」

コミュニティは アイデンティティを守る基盤になるものである
将来展望・価値基盤の共有・多様性の許容・信頼とチームワーク
人材教育の要件充足 メンバーのネットワークへの参加ではなく
人間同士の交流を通じた価値創造をネットワークが支援するもの

産業革命で勃発した仕事の場と生活の断絶は逆流、再度合流してきました。仕事のコミュニティはICT革命とコロナで様変わり。仕事をする場所・時間は常に変化、求められるスキルも多様化。個々が効果的に動いているとは限らないのに、全体としては知の厚みと多様性が感じられるのがコミュニティ。やったことがそのまま返ってくるのが人生、紳士淑女+化物。知識・経験を棚卸しして経験知/ノウハウとして編集。デザインこそメッセージ。“限界には限界がありません” とサッカー元日本代表監督・オシム。

「遊びは仕事、仕事は遊び」
「仕事は学び、学びは仕事」
「学びは遊び、遊びは学び」

今回とりあげた「遊・献・学」それぞれの4行文は、拙書「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)及び「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)から抽出したものです。次回以降も「遊・献・学」から各々4行文を一つずつ抽出してご紹介していきたいと思います。

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http://www.syplus.jp/ooura/

(第112回了)

 

大浦勇三(おおうら ゆうぞう) プロフィール

大浦勇三(おおうら ゆうぞう)  

大浦総合研究所 代表 (http://www.ne.jp/asahi/oura/ohura-research-institute/

石川県七尾市出身。
早稲田大学卒業、筑波大学大学院修了。
米国経営コンサルティング会社 アーサー・D・リトル 主席コンサルタントを経て現職。
主担当領域は、経営改革/企業再生、経営戦略/情報通信技術戦略策定、業務改革/組織改革、研究開発/商品開発マネジメント、マーケティングマネジメント、ナレッジマネジメント、イノベーションマネジメント、サプライチェーンマネジメント、人材マネジメント、コーチング/メンタリング、プロジェクト/プログラムマネジメント、ベンチャービジネス支援等のコンサルティング。

筑波大学大学院講師、城西国際大学客員教授、名城大学講師、産業能率大学講師、中小企業大学校講師などを歴任。

主な著作物:

  • 「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「イノベーション・ノート」(PHP研究所)
  • 「ITプロジェクトマネジャーのためのコーチング入門」(ソフトリサーチセンター)
  • 「図解 日本版LLP/LLCまるわかり」(PHP研究所)
  • 「IT技術者キャリアアップのためのメンタリング技法」(ソフトリサーチセンター)
  • 「よいコンサルタントの見分け方、かかり方」(清話会)
  • 「日本のモノづくり - 52の論点」<共著>(日本メンテナンス協会)
  • 「現場主導型の組織運営とスピード戦略」(日本監督士協会)
  • 「eコミュニティがビジネスを変える」<訳>(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメントが見る見るわかる」(サンマーク出版)
  • 「図解 ナレッジ・カンパニー」(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメント革命」(東洋経済新報社 )
  • 「図解 グローバル・スタンダード革命」(東洋経済新報社)
  • 「業務改革成功への情報技術活用」(東洋経済新報社)
  • 「情報化戦略と投資評価・システム運用管理の実際」<編著>(企業研究会)
  • 「会社改革実務辞典」<共著>(産業調査会)
  • 「プロジェクトマネジャー(PM)の育成・スキルアップのためのメンタリングの進め方と実践法」 (ソフトリサーチセンター:CD-ROM版)   など

 

 

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