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ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第115回)

by staff on 2022/10/10, 月曜日

大浦総合研究所 代表/大浦勇三

ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第115回)

遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ

- 梁塵秘抄 -

“メメント・モリ(死を忘れるな)” というラテン語があります。我々の日常はいつも死と隣り合わせ。古代ローマ帝国の時代から使われていたとか。以前、イタリア出張の折に訪れたポンペイ遺跡でも、埋没した大邸宅からメメント・モリの壁飾りが出土。髑髏を中央に左側に富・権力、右側に貧困を象徴する天秤棒。中世ヨーロッパでも、骸骨と人間が踊る様子を描いた“死の舞踏”が存在。日本では、画家・河鍋暁斎の “地獄大夫、骸骨の遊戯を夢に見る図” が有名。多数の骸骨が太夫の周囲を乱舞する姿。死を見える化・意識化して、死すべき運命の下で生きる意味を見出し、精一杯楽しみ戯れよとのことかも。燃料は遊び心。白は黒であり黒はまた白。真剣に子供になりきる、失敗もゴールへの糧。死の意識も生へのエネルギー。平安時代の梁塵秘抄にもつながります。 “デザイナーには物事をポジティブに考える特殊な才能がある。アーティストが時に死を表現するのに対し、デザイナーはどんな時も生かすことから発想する” と三宅一生。

“遊びをせんとや生れけん” 「遊」

本当にいいコンサートマスターだと
指揮者の仕事は 負担が半分で済む
AIの知 安定状態での効率はいい
未知の新しい環境条件では対応に難

現在、AIは非常に身近な存在。AIという言葉が初めて用いられたのは1956年。計算機・認知科学のジョン・マッカーシー教授とか。平均値は無力化し、世界の動向は個人能力の最大化へ。組織も個人パワーの極大化を志向。価値の本源は時間の長さではなく使い方。未知の環境条件での弾力性ある対応。遊び心に満ちた相互作用で“正解の外にはみ出した価値”を探索。分析を超えてコミュニケーションを重ねながらの創造。“写真:技術偏重ではダメ。ある種の乱暴さとデリケートな心配り” と写真家・立木義浩。

“仕事をせんとや生れけん” 「献」

商品開発では 三割は成功 七割は失敗
イチローも三割で大成功 挑戦あるのみ
反省ばかりしていると 元気がなくなる
鋭いひらめきや大きな力が 絶えず作動

“3” という数字は不思議。“鼎(かなえ)” はもともと食物を煮るのに用いた器。中国の青銅器や土器はほとんどが三つ足の鼎。王位を意味し、王位の権威を疑い地位を奪おうとする  “鼎の軽重を問う” という表現は今も健在。“3” は成功・繁栄・幸運などを意味する吉祥。魂・精神・肉体の三位一体。イチローほどの選手でも打率3割は目指すべき目標。経営者も戦略の30%がうまくいけば成功とか。無茶でなく夢中。日々新たな切り口を発掘。“見逃し三振でも考え方が正しければ結果は問わない” と名将・野村克也。

“学びをせんとや生れけん” 「学」

数寄は好きから転じた 人間の処理能力をはるかに超越する
膨大なデータ群 超高速のコンピュータで統計処理する利点
コンピュータが 人間による知の生産をいかに支援できるか
彼らの言い分は正しいか それとも自分の考えに理があるか

“数寄” は好きから転じたといわれます。人間のもつ能力をはるかに超越するパワーを持つとか。平安時代は風流文雅を好む世界。愉悦ではあるが毒としても認識。二にして一、一にして二。殺人剣と活人剣。城を滅ぼし、商いに身が入らず、身上を潰す危険とは表裏一体。だからこそ、数寄を貫いた人物は一層珍重されたのだとか。やったことがすべて自分に返ってくるのが人生。相手の言い分は正しいか、それとも自分の考えに理があるか。“品格:リングの上では怪物、リングを降りたら紳士” とジャイアント馬場。

「遊びは仕事、仕事は遊び」
「仕事は学び、学びは仕事」
「学びは遊び、遊びは学び」

今回とりあげた「遊・献・学」それぞれの4行文は、拙書「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)及び「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)から抽出したものです。次回以降も「遊・献・学」から各々4行文を一つずつ抽出してご紹介していきたいと思います。

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(第115回了)

 

大浦勇三(おおうら ゆうぞう) プロフィール

大浦勇三(おおうら ゆうぞう)  

大浦総合研究所 代表 (http://www.ne.jp/asahi/oura/ohura-research-institute/

石川県七尾市出身。
早稲田大学卒業、筑波大学大学院修了。
米国経営コンサルティング会社 アーサー・D・リトル 主席コンサルタントを経て現職。
主担当領域は、経営改革/企業再生、経営戦略/情報通信技術戦略策定、業務改革/組織改革、研究開発/商品開発マネジメント、マーケティングマネジメント、ナレッジマネジメント、イノベーションマネジメント、サプライチェーンマネジメント、人材マネジメント、コーチング/メンタリング、プロジェクト/プログラムマネジメント、ベンチャービジネス支援等のコンサルティング。

筑波大学大学院講師、城西国際大学客員教授、名城大学講師、産業能率大学講師、中小企業大学校講師などを歴任。

主な著作物:

  • 「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「イノベーション・ノート」(PHP研究所)
  • 「ITプロジェクトマネジャーのためのコーチング入門」(ソフトリサーチセンター)
  • 「図解 日本版LLP/LLCまるわかり」(PHP研究所)
  • 「IT技術者キャリアアップのためのメンタリング技法」(ソフトリサーチセンター)
  • 「よいコンサルタントの見分け方、かかり方」(清話会)
  • 「日本のモノづくり - 52の論点」<共著>(日本メンテナンス協会)
  • 「現場主導型の組織運営とスピード戦略」(日本監督士協会)
  • 「eコミュニティがビジネスを変える」<訳>(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメントが見る見るわかる」(サンマーク出版)
  • 「図解 ナレッジ・カンパニー」(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメント革命」(東洋経済新報社 )
  • 「図解 グローバル・スタンダード革命」(東洋経済新報社)
  • 「業務改革成功への情報技術活用」(東洋経済新報社)
  • 「情報化戦略と投資評価・システム運用管理の実際」<編著>(企業研究会)
  • 「会社改革実務辞典」<共著>(産業調査会)
  • 「プロジェクトマネジャー(PM)の育成・スキルアップのためのメンタリングの進め方と実践法」 (ソフトリサーチセンター:CD-ROM版)   など

 

 

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