横浜は多様性(Diversity)な街。7artscafe CEO ジョセフ・アマトさん
日ノ出町駅の近くにある「7artscafe」は、絵画、音楽などのアートを楽しみながら、健康にこだわったお食事がいただける、居心地のよいスペースです。オーナーのジョセフ・アマトさんの明るくフレンドリーな雰囲気に誘われて、様々な国の方々が訪れています。7:00からの朝食のファンも多く私もその一人です。
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お仕事 |
・株式会社7artscafe President and CEO www.7artscafe.co.jp |
・特定非営利活動法人 日本文化振興マネジメント理事長 | |
・「YOKOHAMA SEASIDER」Director www.yokohamaseasider.com/ja/ |
ワンプレートの朝食 7artscafeの内部
音楽との出会いは
イタリア系の両親のもとに5人の男兄弟の4番目として、アメリカペンシルベニア州のフィラデルフィアで生まれました。父は貿易商でした。母は厳しいお母さんでした。
音楽との出会いは5歳のとき。祖父の死を悲しむ母がピアノを習い始めたので、一緒に教えてもらったのがきっかけです。他の兄弟はバスケットボールに夢中で、ピアノをやっていたのは私だけでした。当時は演奏家になることは考えていませんでしたが、ピアノのレッスンは高校までずっと続けていました。
高校生のときに同級生が弾くピアノに触発されて、音楽家を目指そうとニュージャージー州のローワン大学でピアノと作曲を専攻しました。卒業後はニューヨーク大学で作曲科の修士・博士課程に進みました。研究テーマは「イタリアの現代音楽」です。29歳まで大学にいました。その間に海外での演奏会も何度か行いました。
1995年に世界各国の民族音楽に触れたいと、半年間の旅にでました。中東からアジアを回って最後に訪れたのが日本でした。日本に来るまでは、大学で先生になろうと思っていたのですよ。
5歳のとき弟と一緒(ジョセフは左側) 弟の大学の卒業式(ジョセフは左側)
「筝」との出会いは
1995年1月、日本に来ました。第一印象は、なんてきれいな国です。地下鉄も道路もきれいでその当時のニューヨークとは全く違っていました。新幹線や乗用車のデザインの素晴らしさに感動しました。そこで「筝」と運命的な出会いをしました。生田流の「筝」の演奏を聴いたとき、見たことのない聞いたことのない不思議な感情が湧いてきました。父が亡くなって落ち込んでいた私の心を慰めてくれる音色でした。日本で暮らしてみようと福岡のインターナショナルスクールの先生になりました。福岡では生田流のいい先生に恵まれて、毎週「筝」のレッスンに通いました。「筝」の絃名譜も勉強しました。福岡での2年間は、合唱団を作ったりして楽しい思い出ばかりです。
博士論文を書くためにアメリカに戻ってからも「筝」のレッスンは続けていました。サンフランシスコ在住の長根先生に師事していました。2000年に文化庁海外芸術招聘研究員として奨学金を得ることができたとき、自分は日本とつながっていると、「縁」を感じました。日本では生田流の公益財団法人正派邦楽会が運営する正派音楽院で「筝」を朝から晩まで学び、二代目家元の中島靖子先生に厳しい指導を受けて2003年に準師範職格と雅号「雅翔」を取得しました。
「筝」の演奏会で
横浜との出会いは
ご縁があって、2003年から横浜インターナショナルスクールで働くことになりました。ここでは「筝」や「十七絃箏」など邦楽を学生たちに教えました。邦楽プログラムは学生たちに大人気で、あるときは学年の半分が履修することもありました。邦楽コンクールでも賞を受賞し、東芝国際交流財団の支援で、アメリカやオーストラリアで演奏会を開いたこともあります。私は授業を通して日本の文化と精神を教えてきたと思っています。2017年にはスクール内に日本芸術文化国際センターを設立しましたここでは、学生だけでなく一般の方向けに、日本語、茶道、書道、日本舞踊、文学、歴史・・お箏や三味線、太鼓などのプログラムを実施しました。歴史ツアーで街歩きもやりましたよ。
もっと対外的に活動したい,一般の方向けの日本文化プログラムを行いたいと考えて、2017年にNPO法人 日本文化振興マネジメントを立ち上げました。日本財団やフロリダ州のモリカミ博物館などの支援も得て、日本文化を発信する活動をしてきましたが、コロナ禍で活動が止まっています。
昨年は、1927年の関東大震災後にスイス人建築家が建てた、歴史的な家をお借りして「Japanese Traditional Music and Musical Instruments II」というタイトルの山田流の「筝」の短編映画を作成しました。
https://www.youtube.com/watch?v=X7U__KQMqrs
邦楽プログラムを指導している
7artscafeとの出会いは
横浜には日本初のものがたくさんあります。そんな横浜で自分らしい居場所が作れたらと、ずっと考えていました。展示や演奏のスペースがあって、美味しい食事が提供できる場所がないか探しました。そしてまた素敵な出会いがあったのです。ここは1955年に建設された古いビルでした。以前は何件もの居酒屋があった場所です。桜で有名な大岡川のそばにあるこの場所が一目で気に入りました。ここをリノベーションして自分らしい場所にしたい・・そう思って自分が設計して改造を始めました。
7artscafeの外観
なぜ、「7arts」ですかって・・・よく質問されます。
それは7つの伝統的なアート、建築、舞踊、映画、文芸、音楽、絵画、彫刻からきているのですが、ニューヨークのソーホー地区にあった7Arts Coffee Gallery をイメージしています。そこは様々なジャンルの芸術家が集い、語らい、互いを触発している場所でした。
日本には「七福神」という言葉がありますよね。「7」は大好きな数字です。
7artsafeのポリシーはSDGs・ECO・DOG Friendly・LGBTQ+・NO Smoking です。
ここでいろいろな人が出会って、何かが生まれる。。。まさに「多様性」を体現する場所にしていきたいのです。私が目指しているのは、ドイツ語で「gesamtkunstwerk」※(総合芸術)です。
※19世紀ドイツにおけるロマン主義から発祥した美的概念。
おかげさまで、ユーザーの評価も高く、Webサイトのレビューを読むと嬉しい限りです。最近はリピーターも多くなり、ギャラリーとして、演奏スペースとして多彩なイベントが開催されています。土日はライブ演奏もやっていますよ。イベントや展示会については、ホームページで掲載しています。
イベントの様子
日本人はシャイといわれていますが、違いますよ。自分からは話しかけませんが、こちらから話しかけるとどんどん話してくれるフレンドリーな人たちです。今は、お客様とのコミュニケーションが私のエネルギー源になっています。
「YOKOHAMA SEASIDER」との出会いは
「YOKOHAMA SEASIDER」は、横浜で唯一日本語と英語で書かれている国際誌(月刊)です。さまざまなジャンルの横浜を紹介するフリーぺーパーです。国際都市横浜にバイリンガルのフリーペーパーをと、友人のRy Beville(ライ・ベヴィル)氏が2009年に創刊しました。横浜の土地やお店の紹介だけでなく。人物やイベントも丁寧に取材しています。Ry Beville氏が友人ということもあり、、2022年5月号からディレクターを引き受けています。「YOKOHAMA SEASIDER」を通して、バイリンガルの視点から見た横浜の魅力を再発見してほしいと考えています。「YOKOHAMA SEASIDER」は、今年前半にNPO法人として設立予定です。今後は横浜市と連携して歴史や文化についてもどんどん取り上げていきます。
ジョセフさんにとって「横浜」とは
まざに多様性(Diversity)な街です。というか・・・そういう街にしていきたいです。
横浜は歴史がないだけに、開港時にいろいろなものが一度に入ってきました。
周囲をみると、中華街があり元町があり山手がありそして寿町がある。様々なバックグラウンドを持つか方々が一緒にいる街です。そして、誰でも歓迎してくれる街です。
横浜は東京が近いだけに、常に東京を意識してきた。そんなことは考えなくていいと思います。横浜には横浜らしい個性があるはずです。私は自分の活動を通して、「多様性(Diversity)の街 YOKOHAMA」を作っていきたいですね。
まずは「黄金町」の再生に取り組みます。旭橋をきれいにしたいです!!
私にとっての横浜は、
「多様性(Diversity)な街」です
<取材を終えて>
ジョセフさんは、「筝」に出会ったことで、彼は日本で暮らすことを選びました。正派音楽院で学んでいたときに、たくさんの書物を読んで日本文化を学んだと伺いました。きっと血のにじむような修業をされたのでしょう。信念のある方だと思います。その一方でソフトな口調で誰とでも笑顔で話されます。そんな彼の人柄が多くの人々を魅了しているのだと思います。「7artscafe」は、オープンから1年足らずで老若男女、国籍を問わず多くの方々が訪れる人気のスペースになっています。ここからどんな総合芸術が創出されていくのか。今後が楽しみです。
(取材・文責 渡邊桃伯子)
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