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やさしい革命-「ココ塾」の発達支援
(第8回) 発達特性のあるお子さまの高校・高専受験~今年の次男のチャレンジから

by staff on 2023/3/10, 金曜日

児童発達支援・放課後等デイサービス
こども発達支援教室「ココ塾」代表
金谷 さおり

やさしい革命 「ココ塾」の発達支援

第8回 発達特性のあるお子さまの高校・高専受験~今年の次男のチャレンジから

 今回は、次男が今年経験した高校受験について書いていきたいと思います。
 小学1年生の時に自閉スペクトラム症と診断された次男が、今年高校を受験しました。正確に言えば「高校」ではなくて「高専」です。小学校から様々な不適応に苦しんできた次男は、「オレは高校なんか行かない!」「高校受験なんてしない!」と中学入学前から宣言していました。2歳上に兄がいて、次男が中学に入学したとき、兄は中3生。中2の終わりころから学習塾に入り、第一志望校に合格するために猛勉強を始めていた長男の姿を見て、次男はますますその思いを強固にしていきました。

「そんなに高校に行きたくないなら、行かなくてもいいよ。高専に行きな。」

 中学入学前に、私は次男にそのように伝えました。すると「(高専って)5年間行けるなんて面白い!」となんだか乗り気の次男。自分で高専のことを調べると、工作好きな魂に火が付き、「オレは絶対に高専に行く!」と張り切り始めました。以後、次男は中学3年間、その思いを変えることはありませんでした。兄と同じ塾に1年生から通い、得意な数学に磨きをかけていきました。苦手なことがたくさんある次男ですが、数学は得意で、特に塾の先生と一緒に勉強する数学が大好きでした。学校では不適切な言動で先生から叱られることばかりでしたが、とにかく塾の先生が大好きだったのです。

 幸い、自宅から遠くない場所に都立高専があり、コロナ禍ではありましたが中学2年生、3年生の時に学校公開に参加することができました。とてもきれいで大きなキャンパスで、私にはよく分からないすごい設備をたくさん見たり、熱気あふれる鉄道模型部の活動を見たりしましたが、学校ではいつもブスッとしている次男が高専ではニコニコしながら辺りを見学していて、先生と楽しそうにお話ししたり、色々な設備を「かっこいい!かっこいい!」と言いながら見ていた時の姿は今でも忘れることができません。楽しいとき、この子はこんなに良い表情をするのだと、びっくりした記憶があります。

 次男は、自分の信念に従い、やると言ったことはやらなければ気が済まないし、やりたくないことは誰が何を言ってもやらない性格です。そして自分の楽しみを誰かと共有することにも、それほどの興味を示すことはありませんでした。しかし、幼いころから工作が大好きで、その技術は年々レベルアップしていき、今では制作依頼を受けて3Dプリンターで模型を作って販売したり、TV局から取材が来たりと、独学では学べないところまで進化しています。だからこそ私も、次男が高専に合格できるように心から応援していました。

 そんな彼なので、受験にあたり悩んだのは、当たり前ですが「選択肢が高専しかない」ということ。高校であれば、公立・私立含めて様々な併願校の選択ができたと思うのですが、「高専しか行かない」と決めている次男は全国の高専の中から都立と国立の2校を受けるしかありません(私立もありますが遠かったので)。そのため、第一志望の都立高専のほか、私の故郷である秋田県の国立高専を受験することになりました。

 なぜ東京の国立高専ではなく秋田を選んだのかというと、東京の場合は八王子なので自宅から遠いことと、秋田の方が倍率が低かったこと、そして秋田は東京に比べて内申点が合否に占める割合が低いと予想したからです(明文化されていないので個人的な判断です)。

 結果は残念ながら、第一志望の都立高専には合格できませんでした。思いのほか、得意の数学で点数が取れなかったようです。しかし、第二志望の国立高専には合格でき、春からは秋田暮らしがスタートすることになりました。母としてはさみしい限りですが、本人の「高専に行きたい」という目標は達成できたのでOKです。

 実際に、今回次男の受験を通して、故郷である秋田県の公立入試の倍率が昔に比べて相当低くなっていることを知りました。秋田県は全国で最も子どもの学力が高いと言われている一方、高齢化率は全国ワーストとなっており、少子高齢化が急速に進んでいます。秋田市内中心部の高校は相変わらず人気が高いものの、近年では県北のトップ校である大館鳳鳴高校や県南のトップ校である横手高校でも倍率が1.0前後、年によっては定員割れしていると聞き、本当に驚きました。
 都内では人気校の倍率が高いためにいくつもの高校を併願したり、確実に合格するためにレベルを下げた高校に志願する場合も多いですが、こうして地方のトップ校が定員割れをするような実情があるのであれば、あえてそちらを受験して質の高い教育を受けることもこれからの選択肢としてあってもいいのではないかと思います。

 生まれてきてくれてからこれまでの間、いつもいつも、新しい価値観を私に与えてくれる次男。次男のおかげで「ココ塾」も生まれ、たくさんの子どもたちと先生たちを笑顔にしてくれたパイオニア的存在。その次男が、たった15歳で親元を離れてしまうことは本当にさみしいことですが、これまでの価値観を良い意味で一新してくれるような出来事が、これから先も続いていくのだろうな…、とワクワクしながら考えている今日この頃です。

(第8回了)

 

子どもの感覚と行動について | 「ココ塾」YouTubeチャンネル

「ココ塾」YouTubeチャンネルをご覧のみなさん、こんにちは。代表の金谷さおりです。
この、「ココ塾」チャンネルでは、すべてのお子さまたちに「学ぶ楽しさ」を届けることをテーマにした、様々な情報発信をしています。ご家庭や学校での対応のヒントになりましたら嬉しく思います。
今回は、作業療法士の石田ちひろ先生から、お子さまの感覚と行動に関するお話をしていただきます。本編は4部作となる大作でございますが、お子さまの行動の理由を理解するうえでのたくさんのエッセンスが詰め込まれています。ぜひご視聴いただけますと幸いです。それでは石田先生、よろしくお願いします。

石田ちひろ先生による、「子どもの感覚と行動について」。いかがでしたでしょうか。
私も支援者として、また発達障害のある子どもを育てる母親として、石田先生との出会いは大きな転機でした。学校での不適応や、お子さまの抱える不安を理解するために、感覚特性の学習は欠かすことができません。もし一人でも多くのは保護者さまや学校の先生たちが、石田先生がおっしゃっていたような感覚特性の視点からお子さまの行動を見つめ直すことができたなら、救われるお子さまたちは大勢います。私はこの石田先生のプレゼンテーションが、世の中に変革をもたらす、優しい革命の一つであると確信しています。

これからも、「ココ塾」チャンネルでは、様々な専門職によるお話しや療育のアイディアをご紹介してまいります。これからの活動の励みになりますので、少しでも良いと思っていただけましたら、ぜひチャンネル登録といいねをお願いいたします。

 

筆者プロフィール

金谷 さおり(かなや さおり)  

金谷 さおり(かなや さおり)
社会福祉士・精神保健福祉士
学習院大学経済学研究科博士前期課程修了 (経済学修士)

<CAREER>
大学院にて働くことができない若者たちの雇用問題について学ぶ。
大学院修了後は、ニート・ひきこもりの就労支援、重度障がい者の生活支援、農福連携を推進する自治体のコンサルティング、公的機関での相談支援など、多岐にわたる障害福祉の現場を経験する。
三男一女の母で、次男は発達障がい。医療・福祉・教育の各分野の専門家にサポートしていただきながら、子育てを満喫中!

<VISION>
障がいのあるなしにかかわらず だれもが自分の望む道のりで 夢をかなえられる社会をつくる

<「ココ塾」ホームページ>
https://coco-jyuku.com/

こども発達支援教室「ココ塾」 創設に込めた思い

これからも、「ココ塾」チャンネルでは、様々な専門職によるお話しや療育のアイディアをご紹介してまいります。これからの活動の励みになりますので、少しでも良いと思っていただけましたら、ぜひチャンネル登録といいねをお願いいたします。

 

 

 

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