Skip to content

風景で読み解く横濱 (第十三話)港の風景

by staff on 2023/5/10, 水曜日

「風景で読み解く横濱」
戦前に発行された絵葉書、写真、地図等から横浜の風景を読み解いていきます。

第十三話 港の風景

今回で最終話となります。
これまで戦前の風景を紹介してきましたが、
戦前の横濱絵葉書の代表格「港の風景」を紹介しましょう。

港の風景を紹介した絵葉書は数多く発行されました。
手元にある様々な港の風景絵葉書の中から選ぶのは難しい作業ですが、「鉄桟橋」の風景を紹介しましょう。
1894年(明治27年)に完成したのが「鉄桟橋」でした。開港から35年近くの時間が流れようやく大型船の係留が可能になりました。現在は横浜港 大さん橋 国際客船ターミナル「大さん橋」が正式名称ですが、「税関桟橋」「横浜桟橋」「山下町桟橋」「サウスピア」と呼ばれていたこともあります。

ここに写し出されている桟橋景は、多くの鉄桟橋絵葉書とは一味異なり、手前に写し出されている建物が立ち並ぶ「象の鼻」桟橋の方が威風を放っているようにも見えます。
「象の鼻」とは、開港期に時の幕府が作った簡易桟橋では全く役に立たなかったものを英国の技師がとりあえず波を止めるために突先を象の鼻のように曲げ改造したことからこう呼ばれるようになった名残で、<何故か>撤去されること無く現在まで残されています。

税関桟橋には両側に大型客船が並ぶ姿が美しいものです。
この大さん橋が完成した頃にはすでに大型船の係留できる<ふ頭不足>が課題となっていて、すぐに新港ふ頭の建設に着手します。

幸運にも米国から幕府時代に支払った賠償金の還付があり、その資金を活用して完成したのが「新港ふ頭」でした。

横浜港は大さん橋に続いて、新港ふ頭を整備したことで国際港としての機能を維持することができました。

桟橋が見える海岸通りは、ホテルが建ち並び、人々の憩いの場所に変身していきます。横浜を襲った関東大震災後には、この機会に臨海公園を整備した「山下公園」は現在まで港湾都市横浜を最も感じる事ができる空間となっています。

戦後まもなく80年を迎え、関内も大きく変貌しつつある中、
戦前時代の横浜港の雰囲気を残す、海岸通り。
大切にしていきたいものです。
最終話 了

※ここに紹介した絵葉書・地図は個人蔵を使用したものです。(一部加工) 転用等はご遠慮ください。

 

河北直治さん プロフィール

風景で読み解く横濱 河北直治さん   西区在住。
自称 横濱界隈研究家。
市内をとにかく徘徊するのが好きで、市境を川崎市から横須賀市まで三回踏破。
市内全駅に降り立ちぶらり探索。バスで18区を一筆踏破など。
 
父の認知症介護をキッカケに父の専門分野だった幕末・近代史を<イヤイヤ>始め、歴史のドツボにはまり目下横浜を軸に歴史研究に没頭。大岡川運河史にテーマを絞り、「大岡川運河ハンドブック」決定版をまとめ中。
 
「よこはま路上観察学会」世話人として観察会を開催し、今年で70回を越え100回をめざす。
季刊横濱「大岡川」特集で運河史を恩師斎藤司先生の下で執筆。
時々テレビにも登場。
運河やまち歩きガイドも楽しみの一つ。

 

 

Comments are closed.

ヨコハマNOW 動画

新横浜公園ランニングパークの紹介動画

 

ランニングが大好きで、月に150kmほど走っているというヨコハマNOW編集長の辰巳隆昭が、お気に入りの新横浜公園のランニングコースを紹介します。
(動画をみる)

横浜中華街 市場通りの夕景

 

横浜中華街は碁盤の目のように大小の路地がある。その中でも代表的な市場通りをビデオスナップ。中華街の雰囲気を味わって下さい。
(動画をみる)

Page Top