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ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第122回 完)

by staff on 2023/5/10, 水曜日

大浦総合研究所 代表/大浦勇三

ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第122回 完)

遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ

- 梁塵秘抄 -

“立花隆” が2021年に80歳で亡くなりました。活動の拠点は有名な “ネコビル” で都内・文京区にありました。地上三階地下一階建の事務所兼書庫の自前ビル。もう30年以上前、毎年正月二日には家族と外で食事をして、近くの寺社で初詣に行くのが慣例。その年は護国寺へお詣りに。駅のコンコースで風呂敷包みを手にした男性と遭遇。ネコビルに向かう立花隆さんでした。休日は元旦のみで残り364日は仕事をするとの記事を読んだことがあり、この日は正月二日の仕事始め。 “生きるとは好奇心” とのナポレオン流。私も死語になった “乱読” の世代。2023年初頭に開催された文京区立図書館の “立花隆の書棚展” には真っ先に飛んで行きました。森羅万象を鷲掴みにする強固な意志と生きる知恵としての知識への渇望。20万冊ともいわれる蔵書。知の世界を共有、知の世界を一度分解して再構築する空間。AIと真正面から対峙する第六感・洞察力。“古風:万が一悪いことが起きたらどうするかという懸念を常に持つ” と民俗学者・柳田国男。

“遊びをせんとや生れけん” 「遊」

モノを見るには距離感 日本文化は、柔弱で受け身・傍観者的
中国 ネットも値切りから始めるのが当然 文化の理解が前提
不自由だけど温かい社会から、自由だけど冷たい社会へシフト
辺境は文化の宝庫 複雑だと個別的ではない、とマクルーハン

複雑だとかえって個別的でなくなる恐れ。不自由だけど温かい社会から、自由だけど冷たい社会へ世界的にシフト。優先順位をつけず、すべてをきめ細かく念入りにとり込むのはグローバル時代には新たなリスクになる可能性。どんな仕事も瞬発力でなく持続力。スピードに拘泥しない。各自ならではのスピードが最後はモノをいうはず。最初の出だしがよくとも、持続せず故障・腐食することが世界のあちこちに。もっとゆうゆうと、気ままに。“会った人の目の一秒間の中に真実が出る” と歌舞伎役者・坂東玉三郎。

“仕事をせんとや生れけん” 「献」

有限性を自覚 運命・諦め・己の無力 無限のものを理解する
予測モデル 為替レートは現状と変わらないという予測に劣る
苦労が志を固める 人件費の固定費化を避けると現場が弱体化
組織に縋る閉塞感 自ら量らないものに重さはない、とゲーテ

有限性を自覚しながらも無限を追求する意志。自ら量らないものに重さはない、とゲーテ。数十年前、フランクフルト出張の際、ゲーテが生まれ育ったゲーテハウスへ。ゲーテはよく読みましたが、ドイツで並び称されるシラーも大好き。ベートーベンの第九の詩がシラー作だったことには驚き。シラーで一番好きなのは18歳の処女作 “群盗” 。徹夜で一気に読了し、すぐ寝る気になれず、明け方の外へ出て空を見上げて深呼吸しました。“この世には、勝利よりも勝ち誇るに値する敗北がある” と哲学者・モンテニュー。

“学びをせんとや生れけん” 「学」

生き方なんて上手くならなくていい あまりに器用な生き方を求めすぎる
確かに、戦いは勝つためのもの やる以上は、情け容赦なくやるしかない
科学的発見の九五% わずか五%の優れた科学者から発見される、という
一つの分野を通じて理論を体得 だからこそ、あらゆる領域の理論に通底

リベラルアーツは自由を求める人間のもの。生き方なんて上手くならなくていいはず。自由な人間になるための学びこそが肝心。メンタルが強くないとリスクに向き合うことができないもの。柳のようなしなやかさと内発の強靭さが命。周囲が強気の中で弱気を吐く勇気をもつ。その中でAIと真正面から対峙。“What” 更には “Why” “How” への誠実・情緒・無欲。いつかは役立つもの、更に眼に見えないところですでに役立っているものを尊重。“執拗な努力よ、宿命の努力よ” とレオナルド・ダ・ヴィンチ。

「遊びは仕事、仕事は遊び」
「仕事は学び、学びは仕事」
「学びは遊び、遊びは学び」

今回とりあげた「遊・献・学」それぞれの4行文は、拙書「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)及び「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)から抽出したものです。次回以降も「遊・献・学」から各々4行文を一つずつ抽出してご紹介していきたいと思います。

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http://www.syplus.jp/ooura/

(完)

 

大浦勇三(おおうら ゆうぞう) プロフィール

大浦勇三(おおうら ゆうぞう)  

大浦総合研究所 代表 (http://www.ne.jp/asahi/oura/ohura-research-institute/

石川県七尾市出身。
早稲田大学卒業、筑波大学大学院修了。
米国経営コンサルティング会社 アーサー・D・リトル 主席コンサルタントを経て現職。
主担当領域は、経営改革/企業再生、経営戦略/情報通信技術戦略策定、業務改革/組織改革、研究開発/商品開発マネジメント、マーケティングマネジメント、ナレッジマネジメント、イノベーションマネジメント、サプライチェーンマネジメント、人材マネジメント、コーチング/メンタリング、プロジェクト/プログラムマネジメント、ベンチャービジネス支援等のコンサルティング。

筑波大学大学院講師、城西国際大学客員教授、名城大学講師、産業能率大学講師、中小企業大学校講師などを歴任。

主な著作物:

  • 「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「イノベーション・ノート」(PHP研究所)
  • 「ITプロジェクトマネジャーのためのコーチング入門」(ソフトリサーチセンター)
  • 「図解 日本版LLP/LLCまるわかり」(PHP研究所)
  • 「IT技術者キャリアアップのためのメンタリング技法」(ソフトリサーチセンター)
  • 「よいコンサルタントの見分け方、かかり方」(清話会)
  • 「日本のモノづくり - 52の論点」<共著>(日本メンテナンス協会)
  • 「現場主導型の組織運営とスピード戦略」(日本監督士協会)
  • 「eコミュニティがビジネスを変える」<訳>(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメントが見る見るわかる」(サンマーク出版)
  • 「図解 ナレッジ・カンパニー」(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメント革命」(東洋経済新報社 )
  • 「図解 グローバル・スタンダード革命」(東洋経済新報社)
  • 「業務改革成功への情報技術活用」(東洋経済新報社)
  • 「情報化戦略と投資評価・システム運用管理の実際」<編著>(企業研究会)
  • 「会社改革実務辞典」<共著>(産業調査会)
  • 「プロジェクトマネジャー(PM)の育成・スキルアップのためのメンタリングの進め方と実践法」 (ソフトリサーチセンター:CD-ROM版)   など

 

 

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