2月 三ツ池だより
もう33年程になるのだろうか。三ツ池の里と呼ばれるに相応しかった。裏は深い山、前は県立公園の高台に我家がある。人呼んで「ツルミのチベット」と言われるような所に住み始めた。一本親父の実家から梅の木をいただいた。庭には子供らと公園の崖に生えている小さな木を採ってきた。その季節季節にはお店で綺麗に咲いている鉢植えの花等を買って植えた。二人の子供たちもおかげさまで成人し、所帯をもっている。
座して待つ庭それぞれの冬景色 詢
座して待つというのは休日に居間から庭を眺めての事である。
もう新しい年も二月になる。二月のニは一を二つ重ねた意味である。一月に続く二月は寒くもあって一月をひきづっている。ニとはニの足を踏むと言った時にも使われる。雅楽の舞踊での左右の足の出し方での戸惑いを示すという。足踏み状態になることを言うのだそうだ。
庭の梅の木に蕾があらわれている。梅の字のもとは大きい木の意味があり、懐妊すると好んで求める酸っぱい果実のなる木というのが所以のようである。
さて一月に計画を立て、もう二の足を踏んでいる人もあるのだろうが、ノートを取り出してぽつりぽつりとはじめたり、書き足したりしている人もあるのだろうか。梅の木にくる鳥を見ながら大きい夢、やりたいことを書き足していくと、新年に書いた事が出来そうなものに見えてくるから面白い。書いたままでは文字が動かない。書き足していくと文字が動き出していく。
ぽつりぽつ滴の留まる梅一枝 詢
二月の如月という月はじっくりと取り組む月である。ニは親近感を示すと共に対立を表す数字ともいうと「日本人数のしきたり」飯倉晴武著に出ていた。二月をしっかり自分のものにしたいもの。「花は惜しむでも散りゆき、草は嫌でも茂みはびこる」さまざまなことは世間の常軌をはるかに超えたものの言葉もある。
座して待つ冬景色のなかに自分をおいて、少し動かしてみる。
御神矢の鈴平成にとぎれなし 詢
「い」今が一番、だから感謝し、明日へ向かおう。最悪はあとはよくなるだけの位置。一月のスタートに感謝し、二月の寒さも楽しみたいものである。
Photos
梅の木と水仙です。どちらもわが庭のものです。せまい庭も30数年たつとそれなりに木や花が咲きます。ありがたいことです。
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(文・写真:横須賀 健治)
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