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小田切英治郎投稿 「一球入魂」

by staff on 2011/4/13, 水曜日
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「一球入魂」
復興祈りプレイボール

 2011年4月12日は、日本のスポーツ史に新たな一頁を開いた。大震災のなかでどのようにプロ野球を進めるべきか、被災地への支援と国民の総意への配慮、そして電力の節約の必要のなかで、選手を含む関係者が熟考の上、12チームが一団となって、東北の復興を応援する意図を明確にして開幕を迎えることができた。仙台のチームの関係者や地元のご努力に特に敬意を表したい。日本の各地できりっとした試合をし、各地域のチームが独自の工夫を凝らしながら、長期にわたって野球ファンのすそ野を広げるように動いてもらいたい。 これがアマチュアもプロも含めたスポーツ全体の発展につながるものと思う。良い開幕をきるべく努力された関係者一同のチームプレーにエールを送りたい。試合のなかでは、精緻な計算に基ずくチームプレーと、観る者をわくわくさせるファインプレーを期待したい。基本に忠実でマナーが良く、明るく力強いプレーを子供たちにみせてほしい。そして飛ばないボールを芯でとらえた価値あるホームランを沢山みせてやってほしい。

 ゴルフの世界では東北高校で腕と精神力を学んだ小兵の有村智恵プロが、女子のメジャー「ナビスコ選手権」にて7位タイに食い込んだのは見事だった。昨年初出場で9位入賞を果たしたこの試合に照準を当ててきた有村だったが、震災による母校東北高校の同級生たちの状況を知るや募金活動を始めた。私は偶々チャンネルをひねって彼女の涙と友情を目の当たりにした。皆の代表としての気持ち一杯で試合に臨んだ有村は、ロサンゼルスのこの名門コースを果敢に攻め、惜しくも優勝には届かなかったが、その健闘ぶりは光っていた。この試合は、毎年同じコースで行われるため、ウィメンズ・マスターズのような位置づけである。コースの相性がいいという有村プロには数年以内には優勝することも十分ありそうだ。

 そして男子は、3試合連続予選落ちしていた石川遼プロがマスターズ3年目にしてはじめて予選を通過し20位と健闘した。 今年の賞金は全額被災地への義捐金として寄付することを発表したことも彼の評価をあげた。また大会を通じてただひとりアマチュアとして決勝ラウンドに進んだ松山英樹選手が27位とアマチュアトップ賞の名誉を得た。彼は東北福祉大学の2年生で、石川と同じ19歳である。アジアのアマチュアの代表としての責務を果たす覚悟で初出場し、伸び伸びとしたプレーぶりが光っていた。既に故人となっているマスターズトーナメントの創始者、球聖ボビー・ジョーンズが喜んでいると思う。ジョーンズは、プロに恐れられたアマチュアゴルファーで、弁護士であるからか自分に厳しいことで有名であった。 誰も見ていない時に球が動いたと言って自らペナルティを課し、勝てない試合が続いてもくさらず、決して練習をさぼらず、相手が良くても悪くても一喜一憂せず、そのホールのパー(標準打数)に対して真摯に挑戦するというオールドマン・パー(パーおじさん)の精神を語った世界ゴルフ史上に輝く特別の存在だ。名著「ダウンザフェアウェイ」(フェアウェイに向かって)には素晴らしい人生哲学が一杯詰まっている。

 さて、水泳の世界では、平泳ぎの200メートルで中京大学2年生の富田尚弥選手が、最後の50メートルで北島康介選手を抜き、標準記録を突破する2分8秒25で圧勝し、世界選手権出場を決めた。サッカー界では、南米選手権に日本代表を出すこととなった。世界最高水準の舞台で、フェアな勝負に臆することなく挑む素晴らしい若者たち。今年はそれぞれ新たな思いを胸にして、海の向こうのひとたちとの友情が深まることだろう。

 これからの世代が安心して暮らせるような国づくりをするのは、経験豊富な我々大人たちの仕事だ。このフルスイングにベテランは闘志を燃やす。美しい日本を守りぬき、より良い社会にするために、立ちあがる無数のひとたち、彼らこそ正真正銘の勇者たちである。

 

(翻訳・文 小田切英治郎

 

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