誰でも分かるプロジェクト・マネージメント 「プロジェクトを計画する(2)」
関 淑子、付加価値技術研究所代表、MBA
Project Management Specialist, カリフォルニア州建築総合請負業者
2. プロジェクトを計画する(2)
既に、一郎は「畑中茶館」プロジェクトの範囲、必要な資源、成功するための前提条件、リスクおよび対策、実行チーム組織についても考えて、書き出しました。今度は実行スケジュールが必要です。
2.8 プロジェクト・スケジュール
スケジュールには以下の項目を示します:
するべき仕事 → 仕事を作業に分割 → 同じような作業をグループ化 → 作業の順番
→ 各作業の必要時間 → 何時、その作業を行うか
2.8.1 ワーク・ブレークダウン・ストラクチャー (Work Breakdown Structure - WBS)
仕事を幾つかの作業に分割し、さらに特定の基準で作業をグループ化するためには、WBSが役立ちます。WBSに似た手法でパーツ・ブレークダウン・ストラクチャー(Parts Breakdown Structure – PBS) があります。製品がどんな部品(Part)で構成されているかを示した図がPBSで、部品を作る仕事(Work)の構成図がWBSです。仕事を構成する最小単位を作業、アクティビティ、業務、タスクなど様々な呼び方をしますが、ここではタスクという呼び方に統一します。
プロジェクト・チームの組織を考えた時に、主なタスク、必要な能力、担当者の表(8月号参照)を作りましたが、この表に基づいてWBSを作成します。下の左図は畑中茶館という製品のPBSで、右図は製品を実現するためのWBSです:
2.8.2 タスク・ストラクチャー・マトリックス (Task Structure Matrix – TSM)
仕事の構成が分かったので、次に、各タスクに必要な時間を明確にする必要があります。独立していて何時でも始めることができるタスクもありますが、多くのタスクは他のタスクが終了しないと始めることができません。
TSMはタスク同士の依存関係を明確にします。
TSMができれば、いよいよスケジュール表を作ることができます。様々なスケジュール表がありますが、PMで主に使われるのはガント・チャート とPERTチャートです。
2.8.3 ガント・チャート (Gantt Chart)
ガントは最も一般的なスケジュール表で、 バー・チャート(線表)とも呼び、各タスクの始まりと終りの日付を示し、時間の流れを可視化したものです。
2.8.4 PERT (Program Evaluation & Review Technique)チャート
PERTはフロー・チャートに時間が書かれた表で、プロジェクトの完了に必要なタスクの依存関係を可視化する方法で、後で説明するクリティカル・パス分析(CPA)と一緒に使われます。
ガントおよびPERTチャートは、プロジェクトが複雑になってくると手で描くのは難しいので、来月は無料のスケジューリング・ソフトウェアを使って作成してみましょう。
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