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「日本人の気概」 中條高徳 著 致知出版

by staff on 2011/10/10, 月曜日
「日本人の気概」 中條高徳 著 致知出版  

 医者から次の条件を出されて、講演に行く人がいるのだろうか。
   1.付添人を必ずつけること
   2.全行程車椅子で移動のこと
   3.水を絶対飲まぬこと
   4.講演は座ってやること
   5.可及的速やかに本人に戻ること

 心筋梗塞の手術を目前にしてのこと、それほどまでにいたたまれずに居れない中條高徳さんは「アサヒスーパードライ」作戦の会社再生計画を常務取締役営業本部長として取り組んだ人だ。「芭蕉の、月日は百代の過客にして、行き交う年も又旅人なり、が実感として吾に迫るこの頃」と記す。

 迷える日本人よ!と叫ぶ。 世界が説く民族滅亡の三原則を心して聞け!という。
   1.理想(夢)を葬った民族
   2.全ての価値をもので捉え、心の価値を見失った民族
   3.自国の歴史を忘れた民族

 思い当ることがある私の世代は近代史に学校の授業はほとんど割かれなかった。時間が足りないという理由だった。江戸時代が崩壊し、明治時代が始まるところまでが主であった。

 中條さんは上に立つ者の気概を全編通じて語られる。佐藤一齋の「春風を以って人に接し、秋霜を以って、自ら慎む」をベースに「相手を立てれば蔵が立つ」といって社員に語りかけてきたのだ。吉田松陰の「志定まれば気ますます盛んなり」をもとに、心の目を覚まそうと訴える。「豊かさは全人類の目指す課題だが、不思議や不思議、たどり着いてみると、必ず目指すエネルギーが弱まり、耐える力が萎える」今まさに貧乏になろうというのではなく、豊かさと引き換えに失ったものの大きさを訴えている。

 先日私の同窓会でも話題になった「一生懸命やっていけばいい世になる。だが現実はどうだ。今の世に一翼を担ってきた我々にも責任はありはしないか」と。戦後の日本人は叱ることを忘れてしまった。叱ることは戦前の悪い風習と勘違いしている親が多いとも指摘される。

 「叱ることを忘れた今の親たちは逆に褒める基準も分からないし、そのタイミングも、効果的褒め方も、さっぱり分からなくなっている。叱るべきをきっちり叱る人から褒められると、褒められる側の喜びは倍加する。」

 中條さんは、水は人生を語るとして「水なくして生物は生存できない。」「国土の八割を占める山の森林も、木材の採算が合わないこともあり、荒れてきている。この森林は棚田と同様雨水を蓄える働きをする。河川を生かすには川上を守れとの格言がある。」水五訓の中で「様々な水の態様は人生を達観せよと語っているようでもあり、無言にして人生の輪廻を説いているようでもある。その性は失いはしないが、ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず(方丈記)の如く、水は時の移ろいをも語る。水はわれわれの人生そのものです。」そしてプロローグの死の床で同胞を思う心として、キャンディーズの田中好子さんの、この世を去るにあたっての肉声を伝える。「被災された皆様のことを思うと心が破裂するように痛み、ただただ亡くなられた方々のご冥福をお祈りするばかりです。必ず天国で被災された方のお役に立ちたいと思います。」再起あれ!中條さん!

(文:横須賀 健治)

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