佐々木彬文の「四季・色・贅・食」 第3話『糊零(のりこぼ)し』という名のついた椿の和菓子(本牧 喜月堂)
『糊零し』 作:佐々木彬文 |
弥生の月になりました。この頃、関西の茶人が特に大切にしている御菓子に『糊零し(のりこぼし)』があります。明治33年横浜本牧に開業した和菓子の老舗「喜月堂」にお願いして椿の和菓子を作って頂きました。関東の『糊零し』です。なぜ椿の和菓子が『糊零し』と呼ばれるようになったのでしょうか? そんなお話しです。 |
良弁椿 |
喜月堂本店 |
喜月堂店内 |
椿『良弁椿』
東大寺の開山堂に『良弁椿』という名の斑入りの椿が咲いております。修二会(注1)の時に飾る椿を僧侶の方々が和紙で作るのですが、うっかり糊を真紅な和紙に零(こぼ)してしまいました。その風情が良弁椿に似ており、それから東大寺では、白地の花弁の中に1.2枚の真紅の花弁を添え『良弁椿』に似せた造花で飾り付けを行うようになりました。この造花を別名『糊零し(のりこぼし)』と呼び愛でております。この頃のお茶事では、「糊零し」に似せた御菓子を頂きます。「糊零し」の真紅と白の華やかさが、一足早く春の訪れを感じさせてくれます。 |
良弁 |
和紙京都の植物染の第一人者の吉岡幸雄氏が、毎年この椿に使う和紙を古来よりの染め方で染め、東大寺に納めております。やはり古よりの色合いでないと風雅さが出ないと思います。言葉には表せない気品があります。 |
(画像をクリックして拡大写真をご覧ください) 吉岡幸雄氏の和紙 |
本牧喜月堂の季節の和菓子
(画像をクリックして拡大写真をご覧ください)
神奈川銘菓 喜最中 |
春の和菓子 ゆず |
春の和菓子 さくら |
春の和菓子 うぐいす |
本牧喜月堂 http://www.kigetsudou.co.jp/
お水取りの面白いお話!
若狭井 |
修二会(注1)が初めて執り行われました折、観音様が全国の神様のお名前を読み上げられました。 遠敷明神(おにゅうみょうじん)様の名を読み上げても、遠敷明神様は若狭の遠敷川(おにゅうがわ)で川漁をしており、一昼夜遅れての出仕となりました。そのお詫びとして、遠敷川の水を修二会の折に「香水」として御供えさせて頂きますと願い出ました。 |
すると東大寺若狭井では、黒と白の2羽の鵜が飛び立った跡より水が湧き出し、それを『閼伽水』として毎年御供えする事に成りました。その水を汲み御堂に御供え致します行事を『お水取り』と呼んでおります。
この行事に先立ちまして、福井県遠敷川の鵜の淵では、遠敷明神の神社(若狭神社、今は若狭神宮寺)の神主が今も遠敷川の水を守り、無事、奈良東大寺の若狭井に届きますようにと神事『お水送り』を執り行っております。
面白いでしょう?! 若狭の遠敷川から、二羽の鵜が東大寺の若狭井に潜って行ったと伝えられております・・・若狭の『鵜』畏るべし!!
ご案内 挿絵は『糊零し』の葉書絵と手紙に添える文香を描いてみました。 rinbun@ac.auone-net.jp 080-6554-6822(佐々木まで) |
(画像をクリックして拡大写真をご覧ください) 挿絵 『糊零し』 |
注1)旧暦では如月1日から東大寺『二月堂』で行われた行事ですので『修二会(しゅうにえ)』と呼ばれます。新暦ですと本行が3月1日からです。『お水取り(お松明)』(3月12日)が知られております。
文・絵・写真:佐々木彬文(日本画家・裏千家茶道講師)&高野慈子
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