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佐々木彬文の「四季・色・贅・食」 第7話 珍説・奇説 蘇民将来子孫也

by staff on 2012/7/10, 火曜日


作:佐々木彬文

 

 皆さんは茅の輪くぐりを御存じですか?6月30日に神社の境内には大きな茅の輪が立てられます。その輪をくぐりながら、お参りをした経験がありますか? 

 6月30日は、丁度一年の半分が過ぎようとしている節目の日なのです。この日を『名越(注1)の大祓い』と云い、関西では和紙で作った人形(ひとかた)で身体をこすり・息を吹きかけ・神社に納め厄を払って頂きます。

 今回は『名越の大祓い』と『素戔鳴尊(スサノヲノミコト)にまつわるお話を集めてみました。

 

(京都)八坂神社のお話

 八坂神社の祭礼に祇園祭があります。都に疫病が流行り、人々は怯え神仏にすがり祈っておりました。京都の祇園祭はその疫病退散の願いのこもったお祭りです。八坂神社には御祭神スサノヲノ命(素戔鳴尊)が祭られております。スサノヲノ命が南海方面に旅をされた時、一夜の宿をまずは大きな家に住んでいる巨胆将来(コタンショウライ)に請うたのですが、スサノヲノ命の身なりを見て断られてしまいます。次に、東屋(あずまや=みすぼらしい家)に暮らしていた蘇民将来(ソミンショウライ)の所に行くと、蘇民将来は粟で作った粗末な食事でしたが厚くもてなしました。(注2) 蘇民将来の真心を喜ばれたスサノヲノ命は、疫病流行の際「蘇民将来之子孫也」と記した護符を持つ者は、疫病より免れしめると約束されました。

 祇園祭の頃の京都は、蒸し暑く、疫病や水に纏わる病気が流行る頃なのです。

(クリックで写真拡大)


京都 八坂神社

 


八坂神社の蘇民将来之子孫也のお守り

 

私の聞いたお話(もう一つの蘇民将来の話)

 或る日、スサノヲノミコトが南海の部族を従属させるため旅に出られました。夜に成り、まず最初に、平野に構えた大きな門構えの巨胆将来に一夜の宿を乞いました。しかし、巨胆将来は、スサノヲノミコトの貧しい姿を見て断りました。次に、山の中腹に建っている小さな東屋の蘇民将来に一夜の宿を乞いました。蘇民将来は、快くスサノヲノミコトを迎え入れ、食べ物にも事欠く中、粟の料理で厚くもてなしました。翌日、出立の折にスサノヲノミコトは、「茅の輪を赤い紐で腰に付けておくように」と云い残し出立しました。

 蘇民将来は云われた通り一族のみなに茅の輪を腰に付けさせて居りました。 後に大嵐が一帯を襲い、平野に建っていた巨胆将来の一族は1人残らず死に絶えましたが、蘇民将来の家族は無事に守られました。これから茅の輪に『蘇民将来之子孫也』と書いた札を軒先に吊したり、子供には腰や背中に結び付けて守って頂こうとする習慣が始まりました。

 

(もう一つ蘇民将来の話)の中の「南海」とは・・・

 時期と方角・天候の状況からその地方はかなり広い平野であり日本で米作が始まった頃だと思われます。近くに深い山が有った地方。それに、南方に部族がいて、その平定にスサノヲノ命が向かったとの事から・・・九州の熊本、又は、筑前地方ではないかと思います。

 大嵐とは、九州に接近した台風の事ではないでしょうか?

 6月頃の台風は東シナ海から九州をかすめ日本海に通過けて行きます。台風は3月頃から発生し東シナ海から日本海に向けて進行し、だんだん東に傾いて来て7・8月頃には本州を通過します。6月頃は丁度九州の東シナ海上を北上していたのではと思われます。

 

「牛頭大王」

 スサノヲノ命(素戔鳴尊)って別名’牛頭大王’と言われるくらい、あまりイケメンとは言い難い御顔だったそうですが、強くてマッチョマンだったそうです。でも奥様はとても美人でした。それに相思相愛だったそうです。

 

6月30日に身近な神社で厄払い『茅の輪』くぐりをしてきました

伊勢山皇大神宮
神奈川県横浜市西区宮崎町64番地


伊勢山皇大神宮(クリックで写真拡大)

  厳島神社(元町)
神奈川県横浜市中区元町1-14


厳島神社(元町)(クリックで写真拡大)

 

富岡八幡宮(例大祭7月22日 午前10時~)祇園舟


富岡八幡宮(例大祭7月22日 午前10時~)祇園舟 神奈川県横浜市金沢区富岡東四丁目5-41

 富岡八幡宮の「祇園舟」は、800年以上の伝統をもって継承されている特殊神事で、横浜市無形文化財の第一号に指定されている横浜を代表する夏の行事です。

 全国各地で行われている茅の輪(ちのわ)くぐりと同じ夏越の祓(なごしのはらえ)の神事で、青茅の舟に罪穢れを託して、沖合遠く流し、心身共に清々しく祓え清めて、暑い夏を迎える昔ながらの行事です。又 麦秋の時期でもあり 初穂の麦を海の神にお供えし五穀の豊饒と海の幸の豊漁に感謝するという要素も一緒になった神事です。

瀬戸神社(せと) 横浜市金沢区瀬戸18-14 045-701-9992 *
杉山神社(すぎやま) 横浜市鶴見区岸谷1-20-61 045-581-2298  
潮田神社 (うしお) 横浜市鶴見区潮田町3-131-3 045-511-5596  
鶴見神社(つるみ) 横浜市鶴見区鶴見中央1-14-1 045-501-4122  
杉山大神(すぎやまおおかみ) 横浜市神奈川区六角橋2-31-23   *
八幡神社(はちまん) 横浜市神奈川区白幡仲町13-25   *
一之宮社(いちのみやしゃ) 横浜市神奈川区入江1-13-16 045-431-1038 *
平沼神社(ひらぬま) 横浜市西区平沼2-8-20 045-321-8895  
子之神社(ねの) 横浜市南区堀ノ内町2-134   *
杉山神社(すぎやま) 横浜市保土ケ谷区星川1-19-1 045-332-2655  
八幡神社(はちまん) 横浜市磯子区西町1-1 045-753-6666  
熊野神社(くまの) 横浜市港北区師岡町1137 045-531-0150 **
日吉神社(ひよし) 横浜市港北区日吉3-9-5 045-561-2087  
舞岡八幡宮(まいおかはちまん) 横浜市戸塚区舞岡町946 045-822-8065 **
天神社(てんじんしゃ) 横浜市港南区上永谷5-1-5 045-844-7244  
王子神社(おうじ) 横浜市緑区長津田町7-5-34 045-984-6560  
熊野神社(くまの) 横浜市神奈川区東神奈川1-1-3 045-441-2768 ***
三嶋神社(みしま) 横浜市旭区下川井町334    

*は茅の輪があります。
**は胎内くぐり等、茅の輪でない神事が行われます。
***は茅の輪がありますが、神事は6月30日ではありません。
印のない神社については『夏越の大祓い』は行いますが、茅の輪についてはお問合せください。

 

茅の輪と粽(ちまき)

 京都祇園祭りにつきもの一つに「ちまき」があります。これは、食べられる「ちまき」ではなく、『名越(注1)の大祓』のときにくぐる「茅の輪」が変化したものとされています。岩谷学園ikiiki CLUB 6月27日(水)の「茶懐石料理を楽しむ」では、私が講師になり「粽寿司」の作り方を楽しんでいただきました。こちらは美味しく食べられる粽でした。

(クリックで写真拡大)

 

注1)「名越の大祓い」と文中では「名越」を使いました、現在は「夏越」と書いて「なごし」と読ませることの方が多い。

注2)蘇民将来と巨胆将来は兄弟。兄の蘇民将来は山の中腹に住み貧しい暮らし、弟の巨胆将来は平野に住み裕福な暮らしをしていたと云う。

 

これからの「茶懐石料理を楽しむ」の予定

第4回 7月25日(水) 鮎のうるか干し(強肴)
☆旬の物と珍味のお話 ☆強肴 器の取り扱い
第5回 8月22日(水) 大徳寺麩(煮物椀) 滝川豆腐のジュレ(壺々)
☆煮物と陰陽のお話・・・
☆壺々って何?
☆茶席デビューのお話(亭主・正客・次客・御末席)
第6回 9月26日(水) 卵素麺(箸洗い) 萩蒸 ご飯
☆箸洗い・・・世界一薄い汁物・箸洗いの具について
☆萩蒸し・・・基本は白いご飯ですが?!
☆季節の工夫

会場:岩谷学園 粋生倶楽部サロン 〒220-0023 横浜市西区平沼1-38-24 TEL/FAX 045-314-3730
 時間:11:00~13:00
会費:一回ごと 会員3,200円  一般 3,700円
(全3回 会員9,000円)

 

佐々木彬文プロフィール

 日本画家(彬文会主宰)
 茶道講師(裏千家 佐々木宗秀)
 クラッシックギター演奏者

文・絵:佐々木彬文(日本画家・裏千家茶道講師)/編集・写真:高野慈子

 

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ヨコハマNOW 動画

新横浜公園ランニングパークの紹介動画

 

ランニングが大好きで、月に150kmほど走っているというヨコハマNOW編集長の辰巳隆昭が、お気に入りの新横浜公園のランニングコースを紹介します。
(動画をみる)

横浜中華街 市場通りの夕景

 

横浜中華街は碁盤の目のように大小の路地がある。その中でも代表的な市場通りをビデオスナップ。中華街の雰囲気を味わって下さい。
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