第8回　どあっぷ「子供達に今必要な事。キーワードは “リアル” ！」

たくさんの方々にお集まりいただき、人や社会とのかかわり方や、そこから育まれる「生きる力」、また学校現場での実践課題や解決の糸口などを考え、社会を巻き込んだ、教育環境構築の重要性などについて議論を交わしました。

私がこのシンポジウムで感じたのは、
子供たちが、机上ではない「リアルな社会」に触れ、「そこに身を置く」ことの重要性です。
ここでいう「リアルな社会」とは、例えば、社会の仕組みだったり、社会の中いる大人だったりが含まれます。

「そこ（リアルな社会）に身を置く」とは、社会の一員になる（＝大人と同じ扱いをされる）ということです。前者「リアルな社会」に触れることは、学校の総合学習の時間など、授業の中でも体験が可能ですし、実践されている学校も多くあります。しかし、後者「そこに身を置く」ことは、学校を離れ学生という立場を越え一個人として社会に貢献する体験を意味します。今の学生達には、作りづらい環境かもしれません。

このような場を提供しているのが、本イベントで講演いただいたNPO法人ブラストビートさん。
子供たちに音楽会社を設立させ、ビジネスを経験させるプログラムを提供しています。3か月のプログラムですが、経験した子供たちの目の輝きは、喜びと自信に溢れていました。社会に出る前に、このような経験ができたなら、人や社会とのかかわりの中で「生きる力」を満タンに蓄えた、キラキラと輝く若者たちが、世に送り出されていくのではないかとも思いました。

考えてみれば、リアルな社会に身を置けるという意味で、「アルバイト」は良い方法かもしれません。私の両親などは、「昔はみんな小さいうちから普通に働いていた。子ども扱いされたくなくて、一生懸命工夫したものだ」といいます。

現代社会においてバイトについては賛否両論あるかもしれませんが、例えば、小・中・高校でも、大学にある学生掲示板のようなものがあり、きちんとした仕事の募集が常に掲示されているというのはどうでしょう。手っ取り早くお金が稼げる妙なものではなく、地元の企業から募集され、学校が承諾した仕事であったら、安心してバイト体験ができ、「リアルな社会」に触れ、貢献できる最良の機会になるのではないでしょうか。

イベントの中で登場した残念なデータが印象に残りましたのでご紹介します。

卒業後3年以内に離職（早期退職）または一度も安定した職（正社員など）につけない学生達がどのくらいいるかご存知でしょうか？

今年の3月、内閣府発表のデータでは、
　　●大学・専門学校卒業生では、二人に一人（約5割）、
　　●中高卒業生では、三人に二人（約7割）としています。
大変深刻なデータです。

もちろん、会社倒産や、健康上の理由など、やむを得えない理由による早期退職も含まれますが、「こんなはずではなかった」と、自ら離職するケースもかなりの割合で含まれます。非正規雇用など、若者を取り巻く環境が、一層厳しくなっている点を問題視する指摘もありますし、継続できない、適応できない若者の力の点を指摘する声もあります。いずれにせよ、この状況を乗り越え、生き抜く力を子供達が持たなければ、環境の改善ばかりを訴え、それをただ待っていても、事態の解決にはならないように思います。

単純にこのデータだけで全てを一色で語ることはもちろんできません。しかし、このデータは、社会に出た若者たちの「現実」を写し出したものです。
皆さんは、どう思われますか？