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ビジネスの創造方程式で勝ち抜こう(第6回)

by staff on 2012/10/10, 水曜日

デジタルハリウッド大学大学院/NVD株式会社 松本英博

1.ビジネスモデルとは何か

 さて、いよいよ事業テーマから事業計画を立てることに話題を移しましょう。

 前回の事業ネタ=>事業テーマまでを振り返ってみると、その違いは具体的な商材(商品・サービス)があることでした。さらに、皮算用で収益性、つまり「儲かりそうか」といったことも検討してみました。

 創造方程式から出た事業ネタも最終的にビジネスにならなければ、自分のノートに残ったボツ案件になってしまいます。

 そこで、儲ける仕組み(ビジネスモデル)について考察してみましょう。

 ところで、最近、新聞や雑誌でおなじみになっているビシネスモデル。本当の意味は何でしょうか?

 

2.独立採算(事業体)を定義するビジネスモデル

 先ず、下の図を見てください。

 先ず、皆さんが考えている事業には、事業を行う主体が必要となります。どんな事業でも、会社であれ、NPOであれ、この主体がないと、人財(ヒト)、資金(カネ)、商材や設備(モノ)、情報を集めることができません。仕入れにしても販売にしても、拠点にその主体を置かないと、商品を作ったり、販売したりできないのです。例え、ネットでの取引であっても、ネットに接続して、商品を紹介したり、発送したり、代金を受け取るリアルな主体が必要となります。

 さて、事業の流れを上図で見てみましょう。顧客にモノ、情報、サービスを提供する販売(右手側)を生むには、事業体でモノ、情報、サービスを提供する元がないといけません。つまり、材料であったり、部品であったり、サービスであれば提供するヒトかもしれません。これらは、当初事業体の外部から仕入れ(左手側)で賄うはずです。中には、最初だけでなく継続的に仕入れるものもあるでしょう。左手からはいったモノ、情報、サービスは、右手側の販売の先にいるお客さまに、そのままではなく、何らかの価値を付加することで、対価を頂くことになります。つまり、この価値をつけることは、加工などの製造やサービス提供にあたります。(上図で上側)

 このように、仕入れて価値をつけ、販売することで、対価を得ます。得た収益を仕入れにつかったり、事業体の運営(コスト)に回したりして、残金がなければ、儲けがないことになります。逆にいくらか残金があれば儲けとなり、次の仕入れや新しい商品の開発、販売員の増強といった物的資産や知的資産(上図で下側)として事業体に蓄積させることになります。

 さて、いかがでしょう。もうお気づきですよね。事業体が儲け、つまり利潤を追求する理由は、この一連の流れを恒常的に起こす原動力であるからです。

 ここで問題なのは「恒常的」である点です。常日頃、事業体としてはビジネスで儲ける仕組みをもっていなければならない事になります。

 ビジネスモデルは、このようにやがて、儲けることで成長し事業体自身が独立して、自己成長を行えれば、1つの規範となります。つまり、儲け方の規範(モデル)が確立することになるのです。一過性の商取引ではビジネスモデルを確立できません。恒常的に儲ける仕組みをもつことが、事業体を独立させ、成長させるのです。

 

3.事業テーマから事業体を支えるものを再考する

 事業体の大きさ、つまり規模に注目してみましょう。面白いことにいかなる事業も上図に示したようにお金という、ビジネスを行う上での共通言語に換算できます。仕入れも、販売も商品の単価や時間当たりのコストなどからお金に換算できるので、商品を生み出すための、一体いくらの売上、コスト、収益といった計算が出来ることになります。とすれば、事業体を恒常的に独立させるためには、これらの計算から、最初にいくらの元手が必要で、収益が継続的にでるには、どれくらいヒト、モノ、カネ、情報にお金を必要とするかといったことも分かってきます。これが、ビジネスモデルの実体です。

 そう考えると、事業体を支えるには、幾つかの収益源と成長する事業がないと厳しいとも言えます。そのためには単一商材だけでなく、複数あるいは複合した商材が必要かもしれません。また、1つの商材でも、収益の見込み、つまり、お客様から頂く代金をどう設定し、しかも多く長く、自社の商材を使って頂くだけの付加価値がないと、ビジネスモデルとして成り立つことができないということが分かります。

 創造方程式でお話ししたように、上位概念といった、お客さまの需要を出来るだけ多く受け入れることができる発想が重要なのは、多く、長く、自社の商材を使って頂くためでもあるのです。事業テーマから事業体を如何に支えることができるか、という問いは、数字に換算することはもちろん、上位概念をもって各種の商材を準備できるか、という問いに置き換えることができます。

 さて、いよいよ大詰め。次回は、事業体を支える収益計画について、これまでのお金に換算することを合理的に進める方法について説明します。

※「創造方程式」による発想のトレーニングがしたいというなら、参考に拙著「ヒット商品を生み出すネタ出し練習帳」をどうぞ。

次回の予告

次回は、ビジネスモデルから収益計画について考えていきます。

松本英博 プロフィール

 

松本 英博(まつもと ひでひろ)

デジタルハリウッド大学大学院 専任教授/NVD株式会社 代表取締役

 京都府出身。18年にわたりNECに勤務。同社のパーソナルメディア開発本部で、MPEG1でのマルチメディア技術の開発と国際標準化と日本工業規格 (JIS)化を行い、MIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボで画像圧縮技術を習得のため留学。帰国後、ネットワークス開発研究所ではWAPや i-モードなどの無線インターネットアクセス技術の応用製品の開発と国際標準化を技術マネジャーとして指揮。

 NEC退社後、ベンチャー投資会社ネオテニーにおいて大企業の新規事業開発支援、社内ベンチャーの事業化支援を行い、2002年9月にネオテニーから分離独立し、NVD株式会社(旧ネオテニーベンチャー開発)を設立、代表取締役に就任。大手企業の新規事業開発・社内ベンチャー育成などのコンサルティング 実績を持つ。

 IEEE(米国電子工学学会)会員、MIT日本人会会員。神奈川県商工労働部新産業ベンチャー事業認定委員、デジタルハリウッド大学大学院 専任教授、現在に至る。

 

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