第9回　どあっぷ「変化を楽しめるようになりたい」

私もそういう状態の中、たまたま家にあった古い本を見つけました。
10年以上前にベストセラーになった絵本のような書籍「チーズはどこへ消えた／スペンサー・ジョンソン著」です。
有名な本なので、ご存知の方も多いと思います。
私も、処分しようとしていたものでしたが、掃除中にちょこっと見てしまって、いっこうに掃除がはかどらないまま、結局最後まで読んでしまいました。
（そのくらい薄くて、簡単に読める書籍です）
これが、今読み返すととても良かった。
概要はこうです。

人とネズミが、チーズを探すお話。 ある時、これまでチーズが沢山あった部屋に、チーズがなくなり始めます。 “ネズミ” はその変化を素早く察知し、一切の迷いもなく、次のチーズのある部屋を探しに、迷路へと進んでいきます。一方 “人” は、今のチーズの部屋をなかなか出ることができません。「いごこちが良い」とか、「またチーズが増えるかもしれない」とか、「これから先、チーズのある部屋が見つかるとは限らない」など、一生懸命旅立たない正当な理由を考えます。 結局、苦難はあるものの、ネズミは次のチーズの部屋をいち早く見つけます。

ストーリーはこの様な内容ですが、私が印象に残ったことは次の二つです。

一つ目は「世の中は変化するものだ」ということです。
当たり前ですが、いざという時になると、人はなかなかそれを受け入れられません。ネズミのようにアレコレ考えず、何のためらいも無く変化を受け入れられないのです。しかしこの「変化を受け入れる事」こそが、次の一歩につながるはじめの作業なのだと、改めて感じました。
変化する前の環境は、時には諦めたり、捨てたり、時には大切に宝箱に保管したり、処理の方法はその時々によって異なるでしょうが、とにかく引きずらないということが大切で、それが変化を受け入れる事であり、つまりは次の一歩を踏み出す事なのだと思いました。

印象に残った二つ目は、「もし”恐怖”を取り除いたら、どんな選択をするか考えるてみる」ということです。
本編の中に、同様の問いかけが出てきます。ネズミは次のチーズ部屋を探しに旅立つのに、一切の迷いがありませんでした。それはここで “恐怖” を持ち出さなかったからとも言えるのです。環境が悪化したら、次に移るのは当たり前の事で、 “恐怖” があろうとなかろうと、選択を左右する要素にはならない、というわけです。
しかし、人はこれほどシンプルに物事を考えられません。どうしても “恐怖” が先に立ち、選択に影響を与えてしまいます。
そこで「もし、 “恐怖” がなければ、どんな選択をするか？」を自らに問うてみることを、本編では語っています。こういう問いかけは、言われるまでしたことがありませんでしたので、とても参考になりましたし、貴重な経験となりました。

今回、捨てようとしていた古い本を改めて読んでみると、なるほど今なら心に染み入る文章というものがあるものだと、実感しました。
このように、昔見た本や映画、昔旅した史跡など、「今ならわかる」とか「感じ方が違う」という事は意外とあるものですね。それを書き出すと面白いかもしれません。
これまでの自分自身の変化や成長が形になって現れるかも・・・。
読書・芸術の秋に是非どうぞ！