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2012年11月 三ツ池だより 「豊かに柿が生っていた」

by staff on 2012/11/10, 土曜日
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 紅葉のきれいな月になった。今月は俳句から入ってみたい。

大原女の足の速さよ夕紅葉
与謝野蕪村
芝踏むやそこに紅葉燃え立ちぬ
長谷川かな女

 対照的な時間の過ごしかたが見える。紅葉を目の前にしながら、ひと仕事終えて家路につく大原女がいる。一方は紅葉を前に芝に足を踏み込む女がいる。紅葉もあたりの景色でまた一段とちがったものに見えてくる。

瀑五段一段毎の紅葉かな
夏目漱石

 一段毎に違って見えるのだろうか。旅の途中に休息を兼ねて目線をあげていく。 波乱のなかにいて、一段毎の人生を振り返っているのだろうか。 紅葉を眺めるように華やかな振り返りなのかも知れない。 素直に紅葉を眺めている。

日の暮の背中淋しき紅葉哉
小林一茶

 紅葉を見る目も境遇によって変わってくる。

桐一葉日当たりながら落ちにけり
高浜虚子

 日当たりながらで、晩年の一茶と虚子の境遇の違いを感じることができる。

 さて、今時代は変わろうとしているのだろうか。 10月28日の新聞各紙の一面を眺めてみる。

A紙  JXエネ室蘭製油所の停止と厚生年金10年で廃止
B紙  日本人拉致被害者41人平穣に監禁と一票の格差区割り前でも解散可能
C紙  それでも中国に店をと区割り査定前も首相解散可能
D紙  防災情報携帯に自動配信と区割り解散前に解散含み
E紙  23道府県予定外の借金とスカイツリー電波塔移転大幅遅れ

 今課題は様々にある。財政、福祉、外交どれもが大きな転換点にある。 そこにおおきなメスを入れる気構えが感じられない。 こんなことをいうとお叱りが押し寄せるのだろうが、改めて2011年3月11日の東北大震災の警鐘を思い出したい。 今はまだ有事である。 その有事にどんな手が打てたというのか。 日本全体をどのようにしていくかは、一つは地域の役割であり、世代間の立場役割であり、官民それぞれの立場である。 相変わらず聞こえてくるのは立場における弁解である。 政権における足の引っ張り合いである。 総理は間接選挙であり、国会議員は勝手に、政党を渡り歩いていく。 気に入らないからと国旗や国歌に向き合わない指導者がいる。 それでいいのだろうか。

 11月1日に東京で計量記念日式典が行われた。 その席で宮城の経営者と久しぶり顔を合わせた。 「仙台は賑やかと言うが、夜の街と飲食店だ。確かに人手不足だ。 問題はそこに集まってくる人が、賃金の高い方高い方へと動いてしまう。 しわ寄せは地元事業者にくる。」 なかなか被災地に入れなくてと話題を向けると、「地元をしっかり守ってよ」と言われた。 その方は会社を副社長にまかせ、地元宮城県やその近県で中小企業の再生に奔走されている。

韃靼の夢から覚める瓦礫かな
横須賀詢

 この時期の俳句といえば次の句が思い出される。

柿食えば鐘がなるなり法隆寺
正岡子規

 中学の修学旅行のバスで教えてもらったものだ。 薬師寺と法隆寺はとてつもなく印象が残っている。 そしてこの年になると共感する句は

色付や豆腐に落て薄紅葉
松尾芭蕉
紅葉あかるく手紙読むによし
尾崎放哉

 せっかくの紅葉を楽しみたい。 きれいな紅葉に出会う秋を大切にしたい。 そのためにこそ時代を造っていく責任が私たちにある。 この紅葉をこの景色を失うかもしれない。 実際は失ってしまった人たちがいる。 残された地に紅葉が燃えているところもある。 忘れてはいけない。 人の踏み込めない大地があってはいけない。 踏み込めない場所を増やさない努力を私達がしなくてはいけない覚悟が今こそ求められている。

 

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(文・写真:横須賀 健治)

横須賀 健治プロフィール

メジャーテックツルミ 代表取締役
はかることのプロとして50年です。
食品の放射能測定のアークメジャーを設立しました。
「計量から見える幸せ」をライフワークにしています。

 

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