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ビジネスのフレームワーク入門(第1回)

by staff on 2013/1/10, 木曜日

デジタルハリウッド大学大学院/NVD株式会社 松本英博

1.フレームワークとは

 前回までの連載「ビジネスの創造方程式で勝ち抜こう」は発想を拡げることに注目しましたが、実際は実践するためにまとめや絞り込みが必要です。その際に役立つのが枠組み(フレームワーク)です。MICEやPDCAなど多くのビジネスで活用されているフレームワーク。その初歩を学ぶことでビジネスのステップアップを図るヒントを与えるのがこのコラムの狙いです。

 では、フレームワークとは何でしょうか。英訳のままですと、枠組みとなります。これだけでは、ビジネスあるいは発想のまとめに役立ちそうにないと思います。そこで、その例を先ず見てみましょう。

新規事業の戦略を考える

 さて、新しい事業をフレームワークで考えてみましょう。

新規事業フレームワーク

 先ず上図を見てください。縦軸は、新規事業で売る商品を新商品と既存商品に、横軸は、新規事業の対象とするお客さまを既存客と新規客に分けてみて、4つの領域があることに気付きます。

 さて、この4つの領域は、

  1. 既存客に既存商品を提供する
  2. 新規客に既存商品を提供する
  3. 既存客に新商品を提供する
  4. 新規客に新商品を提供する

になります。さて、こう考えると、これから進める事業と商品、顧客の関係を「モレやダブリのない状態」で分類できることが分かります。さて、これから、貴方が考える新規の事業企画や事業計画はどこに分類されるでしょうか。

 ここまでくれば、例えば、

  1. 既存客に既存商品を提供する:既存事業の改善(コストの削減や商品のマーケティング戦略の見直しなど)
  2. 新規客に既存商品を提供する:既存事業の顧客開拓(これまでと異なった顧客に既存商品を展開)
  3. 既存客に新商品を提供する:既存事業の商品刷新(新商品によって既存客の購買を促す)
  4. 新規客に新商品を提供する:全く新規の顧客を開拓し、新商品を投入する

と分析できます。1~4で、リスクを考えると、1は比較的低く、2と3は同程度、4は最も高いことが分かります。

 このようなタテヨコ軸でできる4象限に、正反対の条件を設定することでモレやダブリなく分類できることが分かります。つまり、このような設定をおけば、どんな事業でも分類でき、分類することで気付きを誘発することになるのです。このような設定の仕方がフレームワーク(枠組み)と呼ばれるものなのです。今回紹介した例はMICE(ミッシーと読みます)というフレームワークを利用したものです。

 フレームワークは、論理的思考の枠組みに一種で、発想の方程式が思考の発散を促すものだとすると、フレームワークで分類することは、絞り込みを促すことにもなります。

2.フレームワークの効用

 フレームワークは、発想のまとめ以外に多くの効用が知られています。

 先ずは、MICEの例のように、自分の発想や考えのモレやダブリを気付かせ、死角を発見でき、発想をさらに現実的、具体的にすることができます。

 また、フレームワークに当てはめること全体像をつかむことができ、偏った見方を脱し客観視することができます。つまり、全体を眺めることで部分的な思考に拘り過ぎることを避け、全体を生かす手法も発想できることもあります。近年、全体的な最適化をビジネスの上で行わないと、競争社会で勝利できない時代になってきています。部分で勝って全体で負けるといった日本企業が多くなっているのも、全体最適を行う発想が必要だと言われています。マネジメントの著名なドラッガーがいう、『いかに優れた部分最適も、全体最適には勝てない』と一致しています。

 さて、ここまで読んで、ちょっと興味アリと思った方、次回からフレームワークの適用事例を紹介しながらビジネスに役立てる方法を解説していきます。乞うご期待!

※「創造方程式」による発想のトレーニングがしたいというなら、参考に拙著「ヒット商品を生み出すネタ出し練習帳」をどうぞ。

次回の予告

次回は、「身近なフレームワークを活用してみよう」を通じて、フレームワークを使った分析の基本を解説します。

松本英博 プロフィール

 

松本 英博(まつもと ひでひろ)

デジタルハリウッド大学大学院 専任教授/NVD株式会社 代表取締役

 京都府出身。18年にわたりNECに勤務。同社のパーソナルメディア開発本部で、MPEG1でのマルチメディア技術の開発と国際標準化と日本工業規格 (JIS)化を行い、MIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボで画像圧縮技術を習得のため留学。帰国後、ネットワークス開発研究所ではWAPや i-モードなどの無線インターネットアクセス技術の応用製品の開発と国際標準化を技術マネジャーとして指揮。

 NEC退社後、ベンチャー投資会社ネオテニーにおいて大企業の新規事業開発支援、社内ベンチャーの事業化支援を行い、2002年9月にネオテニーから分離独立し、NVD株式会社(旧ネオテニーベンチャー開発)を設立、代表取締役に就任。大手企業の新規事業開発・社内ベンチャー育成などのコンサルティング 実績を持つ。

 IEEE(米国電子工学学会)会員、MIT日本人会会員。神奈川県商工労働部新産業ベンチャー事業認定委員、デジタルハリウッド大学大学院 専任教授、現在に至る。

 

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