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ビジネスのフレームワーク入門(第2回)

by staff on 2013/2/10, 日曜日

デジタルハリウッド大学大学院/NVD株式会社 松本英博

1.身近なフレームワークを探してみよう

 最初にビジネスにこだわらず、フレームワーク、つまり全体を考える場合の枠組みを身近なところから探してみましょう。

自分の行動で考えてみる

 例えば、文章を書く場合はどうでしょうか。どこかで「起承転結」という言葉を聞いた方も読者にはおられるでしょう。Wikipediaによると、物語における起承転結の一例として、

  • 起 → 物語の導入部。その物語にはどんな登場人物がいるか、どんな世界・時代に住んでいるのか、登場人物同士の関係はどんなものか、なぜその物語は始まるのかなど、これから物語を読む上で必要な知識を紹介する部分。

つまり、「起」とは、読ませたい内容(物語)の背景知識を読者に与える部分と言えます。同様に、

  • 承 → 「承」は「受ける」を表し、 「起」で提起した事柄を受け、さらに進めて理解を促し、物語の導入である「起」から、物語の核となる「転」へつなぐ役目を果たす部分。ここは単純に「起」 で紹介した物語を進めるだけで、次に続く「転回」または「展開」が誤解されることがないように備えておくものであまり大きな展開はないのが普通。

「承」とは、訴求したい部分を誤解ないように予備知識を読者に与える部分です。次に

  • 転 → 物語の核となる部分。「ヤマ」ともいわれる、物語の中で最も盛り上がりを見せる部分。物語の中でも最も大きな転機を見せる部分であり、読者が知らなかった事柄や想起を超える展開をすることによって関心や興味を引く部分となる。

「転」とは、著者の腕の見せどころで「あっと」言わせる展開を与え、関心や興味、主張を読者に与える部分です。最後に、

  • 結 → 「オチ」とも呼ばれる部分で、物語が進んだ結果、「転」での結末が最終的にどうなったのかを描いて物語を締めくくる部分。

「結」とは、最終的な結論結果を読者に与える部分となります。

 落語なども、「枕」、「本文(本題)」、「落ち」と、背景知識や予備知識にあたる「枕」、あっと言わせる展開となる「本文」、そして物語の結論で笑いをとる「落ち」といった流れですね。

 いかがでしょう。意外に日常的にフレームワークを使っていますね。フレームワークと言わなくても、様式やフォーマット、型式などいったものにも「すべて、例外なく、当てはまる」内容であればフレームワークと言えます。なぜなら、フレームワークは前回もお話ししたように、偏った見方をしない為の概念ですから、一部だけで、例外があり、すべてに当てはまらないことはフレームワークとはしません。

 さて、ちょっとしたクイズです。以下の内容でフレームワークを完成してみてください。

身近なフレームワークを探してみよう

(5) の例にあるように、オリジナルとして作成して定義しても結構です。例えば、旅行業で、安・近・短といったフレームワークは売れ筋の海外旅行のマーケティングなどに活用されています。

2.身近なフレームワークを活用してみよう

 フレームワークを使った分析の基本を学んでみましょう。

 分析は、フレームワークの特質である、モレやダブリのない状態に分類されたことを利用しましょう。例えば、旅行業の安・近・短を考えると、組合せとして

  1. 安・近・短:最も手軽な旅行?
  2. 高・近・短:あっけない旅行?
  3. 安・遠・短:弾丸旅行?
  4. 安・遠・長:滞在型旅行?
  5. 高・遠・長:もっとも敬遠される旅行?
  6. 高・近・長:繁忙期の旅行
  7. 安・近・長:次の狙い目の旅行?
  8. 高・近・長:内容に依存する旅行?

が考えられますね。気付かれたように、(3) や (4) などは商品化されていますし、(7) や (8) は旅行企画によっては新しい需要が掘り起こせるかもしれません。このように、分類した状態を想定して、そこでの気付きを分析することで、新たな視点が生まれてきます。

 身近なフレームワークを考えることで、発想を豊かにし、より現実的な解法が生まれることもあります。それでは、どんどんフレームワークを使って、発想を整理、発展させていきましょう。

※「創造方程式」による発想のトレーニングがしたいというなら、参考に拙著「ヒット商品を生み出すネタ出し練習帳」をどうぞ。

次回の予告

次回は、「基本のフレームワークMICEを学ぼう」を通じて、ビジネス戦略の弱点発見の基本を解説します。

松本英博 プロフィール

 

松本 英博(まつもと ひでひろ)

デジタルハリウッド大学大学院 専任教授/NVD株式会社 代表取締役

 京都府出身。18年にわたりNECに勤務。同社のパーソナルメディア開発本部で、MPEG1でのマルチメディア技術の開発と国際標準化と日本工業規格 (JIS)化を行い、MIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボで画像圧縮技術を習得のため留学。帰国後、ネットワークス開発研究所ではWAPや i-モードなどの無線インターネットアクセス技術の応用製品の開発と国際標準化を技術マネジャーとして指揮。

 NEC退社後、ベンチャー投資会社ネオテニーにおいて大企業の新規事業開発支援、社内ベンチャーの事業化支援を行い、2002年9月にネオテニーから分離独立し、NVD株式会社(旧ネオテニーベンチャー開発)を設立、代表取締役に就任。大手企業の新規事業開発・社内ベンチャー育成などのコンサルティング 実績を持つ。

 IEEE(米国電子工学学会)会員、MIT日本人会会員。神奈川県商工労働部新産業ベンチャー事業認定委員、デジタルハリウッド大学大学院 専任教授、現在に至る。

 

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