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創業55年。今も昔のままでやっている 横浜山元町「おかめ」の佐川利さんご夫妻

by staff on 2013/6/10, 月曜日

 


ご主人 佐川利三郎さん(79歳)栃木県足利市出身    女将さん 佐川美津江さん(81歳)東京神田出身

 横浜中区にある山元町は、40年前に廃止された市電長者町線の終点でした。市電が走っていた頃は、乗降客の多くが山元町商店街で買い物をしていたそうです。市電が廃止されバスに代わってから、商店街の人通りも少なくなって商店も減ってきました。

 ※山元町二丁目商栄会の皆様には宮城県山元町の復興支援でお世話になっています。

 山元町の入り口に「食べログ」などで人気の食堂「おかめ」があります。創業55年。80歳を迎えた夫婦が二人で切り盛りしています。私は週末の午前7時ごろにお店に行きます。巻きずしとお稲荷さんそして名物の豆大福を購入して、朝食にするのが我が家の定番です。

 「インターネットっていうものが、うちのお店の宣伝を勝手にしてくれるよ。」と仰るお二人に「おかめ」の歴史を伺いました。

ここでお店をはじめるきっかけは?

 「主人は新宿でバーテンをやっていて、私の親族にスカウトされて神田に移ったの。そこで私と知り合って恋愛結婚したのよ。」 とテキパキと話してくださる女将さんはチャキチャキの江戸っ子で実家は餅菓子屋さん。

 女将さんの親族が市電終点の真ん前に造作を持っていて、そこで餅菓子屋をやったらを勧められて開店したのが、1959年(昭和34年)のことでした。

 「開店当初から、大福や団子の餅菓子・お寿司類の製造販売とラーメンやオムライスを出す食堂をやっていたの。これは今も変わっていないよ。」

 座席が16席の食堂も、お品書きも全く変わっていないそうです。

市電が走っていた頃の山元町はどうでした?

 「お店もたくさんあってにぎわっていたよ。今はなくなっちゃけれどここの並びにもおたくさん店があったの。開店当時は忙しかったね。8時から23時までお店を開けていて働きづめだった。昔はスーパーもコンビニもなかったから、お客さんがひっきりなしだった。娘が1961年(昭和36年)に生まれたけれど面倒を見ることもできなかった。娘はお客さんに育ててもらったようなもんだよ。忙しいだろうからと言って、娘を預かってくれたり・・。地域の人たちに支えられていたね。」

市電が廃止されて大変でしたか?

 「市電がバスになってうちの前を通り過ぎてしまうようになったからね。でもいろいろなお客さんが来てくれたから、つらいことなんかなかった。30年ほど前、うちはホストのたまり場だったのよ。伊勢佐木町の人気ホストたちが営業が終わった朝に、うちに来て食事をしていったの。その当時はファミレスなんかなかったから・・・。タクシーで乗りつけてきて、それは楽しかったわ。山手町にマンションが建設されていた頃は、建築業者さんがよく来てくれた。タクシーの運転手さんたちも来てくれたね。お客さんが減っても、二人きりでやっているから何とかなったの。」

最近また忙しくなってきたとか?

 「そうなの。インターネットの食べログってのに掲載されたり、2年前に朝日新聞神奈川県版に掲載されてから、遠くから訪ねてくる人が増えてきたの。注文品の写真を撮る人が増えたのも最近だね。食べログの記事を送ってくれたお客様がいて、若い人たちが来てくれるのはこれなんだと初めてわかったのね。」

 お店には、新聞記事やお客様からの手紙が貼ってありました。お店の評判が口コミで広がって、様々なメディアに取り上げられるようになっています。

 「あっさりとしたしょうゆ味のラーメン(400円)が人気で、食べログのランキングで上位になったんだって・・。オムライスも若い人たちによく出るね。」

毎朝早くから営業していますね

 「今は毎朝午前4時に起きて、午前5時から大福などを作り始めるのよ。豆から煮てあんこを作り、御影石の臼でお餅をついている。原材料も製法も開業当時を変わっていないよ。二人の共同作業で作っているの。」

 

(クリックで写真拡大)

お店の前
お店の前

お店の前
お店の前

お品書き
お品書き

豆大福
豆大福

オムライス
オムライス

新聞記事
新聞記事

取材風景(藤崎さん撮影)
取材風景
(藤崎さん撮影)

おかめの二人
おかめの二人

 大きくておいしいと評判の「豆大福」は一個100円。値段は30年間変えていないそうです。毎朝100個作るそうですが、お昼ごろには売り切れてしまいます。

 「15歳の孫に言われるのよ。小さくしたり値段を上げたらだめだよ。って・・二人でやっているからこのままで頑張るよ。」

 80歳を超えてもお元気なお二人ですが、最近は近くに引っ越してきた娘さんが手伝ってくれています。

 暮れのお餅の時期、お彼岸のおはぎの時期、そして節句の柏餅の時期は注文が殺到して寝る暇もない忙しさだそうです。50年来のお客様もいるので期待は裏切れないとお二人は仰います。

お二人のお元気な秘訣な何ですか?

 「共通の趣味があることかな。競馬・競輪・競艇・・・賭け事が好きで二人でよく出かけるよ。それから働くことが好きだからね。今はお休みはなし。月1回くらいかな。体の都合でお休みしている。」

 「それと言いたいことを言うことかしら。うちほどお客様にきつくモノを言うところはないかも。ダメなことはダメ・・と言う。でも注意してあげるとその人がまた来るから不思議だね。」

アットホームだと言われませんか?

 「言われるよ。うちのお客さんは長居する人が多いのよ。全然帰らないの。2.3時間はざらだね。10時から17時までいる人もいるよ。皆、会話が楽しいんだって。自分の家だと思っているんじゃないの。」

 ベランメエ調の女将さんの言い方は、確かにきついけれど心地いい気がします。私たちが取材に行った時も30年来のお客様が来ていて、その方たちに「元気出さなきゃダメじゃない。」と女将さんはカツを入れていました。

「ありがたいね」とよく仰いますね?

 「地域の人たちに支えられているという感謝の気持ちを忘れてはいけない。だから訓盲院のバザーにも協力している。お巡りさんも毎日パトロールしくれてメモを入れてくれるよ。」

 「遠くからこの不便な場所にわざわざ来てくれる人がいる・・ありがたいね。感謝の気持ちでいっぱいだよ。」

お二人にとって横浜はどんな場所ですか?

 女将さん曰く「東京から来たときはどんなところかと思ったら住めばいいところだね。横浜は東京よりもいいところだよ・・・」 「もっと気の利いたことが言いたいね・・何かないかしら・・」とお客さんに問いかけたところ「横浜よいとこ。おかめはもっといいところ・・でいいじゃないか」と声がかかりました。

 そこで写真撮影。いつも笑顔が絶えないお店です。

 これかもずっと同じようにやっていきたいと話すお二人の心意気が、「おかめ」の魅力そのものなのでしょう。「お姉さん・・いつも早いね。」と話しかけてくれる女将さんの元気な声を聞きたくて、今日も入口のドアを開けるのです。

※今回の取材には、M.F.コラボレイトの藤崎美和さんが同行してくださいました。藤崎さんに撮影していただいたビデオを掲載いたします。

食べログ 「おかめ」
http://tabelog.com/kanagawa/A1401/A140106/14024480/

「おかめ」
横浜市中区山元町1-4
tel 045-681-2563
営業時間 7時~17時(不定休)

 

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