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ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第94回)

by staff on 2021/1/10, 日曜日

大浦総合研究所 代表/大浦勇三

ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第94回)

遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ

- 梁塵秘抄 -

“イノベーション” は最近、頻繁に使用される言葉の一つ。核心は “破壊を創造する” というエジソンの言葉。21世紀の課題は、21世紀の方法論で創造しなければならないもの。しかし、現状の足元をもう一度見つめ直すことが大切かも。果たして “自分たちが保有しているスキルの強み/弱みを明確に把握しているか” “自分たちが理解している範囲内で安易に答を見出そうとしていないか” “学ぶべき宝庫としての失敗に不寛容になり、失敗への分析が不足していないか” など。働き方改革では “メンバーシップ型” から “ジョブ型” への移行が叫ばれていますが、一人ひとりのスキルアップや学びの継続が大前提のはず。イノベーションは “Big Change” と “Small Change” を織り交ぜて展開するもの。“ふるいにかけた独創性” を生む源泉がリベラルアーツ。イノベションには、長期戦では、ゼネラリスト人材を大切にする視点が欠かせないのかも。梁塵秘抄では “いざ給え 隣殿 大津の西浦へ雑魚漉きに この江に海老なしあの江へいませ 海老まじりの雑魚やあると” とあります。ザコとエビを混合。何でもあり。“血が・汗が・涙がデザインできるか” とアートディレクター・石岡瑛子。

“遊びをせんとや生れけん” 「遊」

強い人間 相手が見えていないことを見える人間
自分にないものを教えてくれる人間 すべて先生
速く効くものほど 速く効かなくなることが多い
死に様もあれば生き様もある、と俳人・角川春樹

“人生にも将棋にも最善はない。自分が一番いいと思ってやったことが、それが人生。それが自分の人生の最善手。やりたいことをやる” と語ったのは将棋棋士の米長邦雄。その通りに生きる一人が実業家・映画プロデューサー・俳人の角川春樹。社長の仕事をしながら読書を欠かさず、年間300冊は読んでいたとか。睡眠時間は約3時間の猛烈さ。“他人が見えていないことを見える人間になる” ための修練。時代に合わせるのではなく、自分の手で時代をつくる覚悟。経済的に豊かになってきたのに、幸せを実感できない国からの脱皮。“手前には強みばかりを思ふなよ。強きは弱く軽く重かれ” と茶人・千利休。

“仕事をせんとや生れけん” 「献」

百人一首 善くない言葉づかいに対する反応の敏感さが養われる
十代には聴こえていた微細な音 二十代になると聴こえなくなる
月やあらぬ 春や昔の春ならぬ 我が身一つは もとの身にして
月も春も昔のままではない 私は去年のままなのに、と在原業平

在原業平は、平安時代の貴族・歌人。六歌仙の一人で、その歌・書は美術館や博物館で時々目にできます。全125段からなる “伊勢物語” は、在原業平の物語との見立て。歌人として “古今和歌集・勅撰和歌集” に入集されています。有名な歌の一つが “つゐに行く道とはかねてききしかど 昨日けふとはおもはざりしを” でしょうか。現在でも、いつかは死ぬということを知っていますが、誰もが昨日や今日とは思わず、危機感薄く生きているのが現状。自分の意志で自分を律して生きるってしんどいことですね。“予期しないことが起きることをいつも予期していなければならない” とサッチャー元首相。

“学びをせんとや生れけん” 「学」

生き延びる本能 近代社会が原始社会化へ
帰一斎 帰るところは一つ 千載具眼の徒
どれほど段があがっても 心は永遠の白帯
素振りをして自分を見つめる、と長嶋茂雄

長嶋茂雄は、誰もが知るミスター・ジャイアンツでありミスター・ベースボール。我々の時代は、勉強ができることより野球がうまいことの方がヒーロー。ルーキーとしての開幕戦で相手チームのエース金田投手に4打席連続三振を喫したことは伝説。でも私には田舎のモノクロテレビで、生中継で見た天覧試合(対阪神戦)でのサヨナラ本塁打が鮮烈。後ポケットにグラブを突っ込んでダッグアウトに引き揚げるエース村山と、ホームに向かう長嶋の三塁線上の交錯の中で見た真剣勝負の明暗。天才の名をほしいままにした長嶋でも “努力は人が見ていないところでするもの” とはお見事なり。“サーカスのトラではダメ。堕落している、目が濁っている” と映画監督・黒澤明。

「遊びは仕事、仕事は遊び」
「仕事は学び、学びは仕事」
「学びは遊び、遊びは学び」

今回とりあげた「遊・献・学」それぞれの4行文は、拙書「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)及び「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)から抽出したものです。次回以降も「遊・献・学」から各々4行文を一つずつ抽出してご紹介していきたいと思います。

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(第94回了)

 

大浦勇三(おおうら ゆうぞう) プロフィール

大浦勇三(おおうら ゆうぞう)  

大浦総合研究所 代表 (http://www.ne.jp/asahi/oura/ohura-research-institute/

石川県七尾市出身。
早稲田大学卒業、筑波大学大学院修了。
米国経営コンサルティング会社 アーサー・D・リトル 主席コンサルタントを経て現職。
主担当領域は、経営改革/企業再生、経営戦略/情報通信技術戦略策定、業務改革/組織改革、研究開発/商品開発マネジメント、マーケティングマネジメント、ナレッジマネジメント、イノベーションマネジメント、サプライチェーンマネジメント、人材マネジメント、コーチング/メンタリング、プロジェクト/プログラムマネジメント、ベンチャービジネス支援等のコンサルティング。

筑波大学大学院講師、城西国際大学客員教授、名城大学講師、産業能率大学講師、中小企業大学校講師などを歴任。

主な著作物:

  • 「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「イノベーション・ノート」(PHP研究所)
  • 「ITプロジェクトマネジャーのためのコーチング入門」(ソフトリサーチセンター)
  • 「図解 日本版LLP/LLCまるわかり」(PHP研究所)
  • 「IT技術者キャリアアップのためのメンタリング技法」(ソフトリサーチセンター)
  • 「よいコンサルタントの見分け方、かかり方」(清話会)
  • 「日本のモノづくり - 52の論点」<共著>(日本メンテナンス協会)
  • 「現場主導型の組織運営とスピード戦略」(日本監督士協会)
  • 「eコミュニティがビジネスを変える」<訳>(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメントが見る見るわかる」(サンマーク出版)
  • 「図解 ナレッジ・カンパニー」(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメント革命」(東洋経済新報社 )
  • 「図解 グローバル・スタンダード革命」(東洋経済新報社)
  • 「業務改革成功への情報技術活用」(東洋経済新報社)
  • 「情報化戦略と投資評価・システム運用管理の実際」<編著>(企業研究会)
  • 「会社改革実務辞典」<共著>(産業調査会)
  • 「プロジェクトマネジャー(PM)の育成・スキルアップのためのメンタリングの進め方と実践法」 (ソフトリサーチセンター:CD-ROM版)   など

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