楽しい文字の世界(第4回) 文字は生き物
第4回 文字は生き物
「とめる、はねる」 「つける、あける」などの漢字の細かい差異のために、役所や銀行で書類を書き直した経験がある方も少なくないと思います。そう書く私もかつて銀行員であり恐縮しながら書類の書き直しをお願いしていた立場でした。
文化審議会漢字小委員会は、常用漢字では、様々な字形が認められることを解説しています。いわゆる「許容範囲」というものは何十年前、私の中学の教科書にもこのように掲載されていました。
(昭和24年内閣告示第1号)
また現在、毛筆が始まる小学3年生の書写の教科書でも「書き文字と活字文字のひみつをさがせ」というタイトルで許容範囲について触れています。
ですから今に始まったことではありませんが、伝統的な漢字の文化が理解されにくくなり、手書き文字と印刷文字の字形のどちらか一方が正しいとみなされたり、本来は問題にしなくてよい漢字の形状における細部の差異が正誤の基準にされたりするといった状況が生じている社会状況から、文字の役割を鑑みて、より適切に活用されるために平成28年にも「常用漢字表の字体・字形に関する指針」が出されました。
では、初めから細かいことまで覚えなくて良いのかというとそうではありません。私の見解も入りますが、文字は生き物です。時とともに変化していきます。今この同じ時代に伝達手段として使っている漢字は、やはり一定のきちんとした決まりを覚えて使い、その上で細部に目くじらを立てるのではなく、許容範囲を理解するのがよいのではないかと考えます。
ただ、お名前や住所など固有名詞には皆さんこだわりがありますね。私も卒業証書や結婚式の席札、表札などの揮毫を依頼されることがありますが、これこそ細心の注意が必要です。
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