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ゆるマナー講座(第63回) お酒のたしなみ方

by staff on 2021/1/10, 日曜日

マナーアドバイザー/フレアLLP 柳田 圭恵子

20歳になって初めて飲んだお酒は甘く口あたりの良いカクテルでした。それでも少ししか飲めなかったのを覚えています。あれから数十年、いつの間にか日々の食事や生活の節目、お祝い事など様々な機会に友人と…たまには一人で、お酒を飲むことが欠かせなくなってきました。
近年のワインや日本酒ブームもあいまって、お酒に詳しい方も多くなりました。
今回は美味しいお酒をいただく時のマナーについてです。

西洋料理とお酒のいただき方

まず、レストランでは食前酒を注文します。スパークリングワインやシャンパーニュを召し上がる方が多いのではないでしょうか。乾杯する時に気を付けたいのが、グラス同士をカチッと当てないことです。
目の高さに掲げて、アイコンタクトをしながら「乾杯!」です。シャンパングラスは繊細ですから、割れたり欠けたりと阻喪のないようにしましょう。
特に結婚式などのフォーマルな席では、乾杯の音頭を取る人に向いて、目の高さにグラスを掲げて乾杯し、隣の人にはグラスを掲げながらアイコンタクトと会釈程度で乾杯します。
アミューズ(amuse bouche)と言って前菜の前の一口のお楽しみの一皿と一緒にいただきます。

少し高級なレストランで食事をいただく時に迷うのがワインの選び方です。高級店では分厚い1冊のワインリストに聞いたことのないワインの名前が原語で書かれていて料理に合うワインを選ぶのは困難と感じられませんか。食事の主役は料理ですから、料理を美味しく引き立たせるワインを値段とも相談しながら選ぶのは大変です。ソムリエに相談しながら選ぶのが賢明なのではないでしょうか。ワインの好みを伝え、ワインリストにある金額を示しながら「このくらいで…お勧めのワインはありますか?」と伝えれば、金額を考慮した上でリストの中のベストなワインを選んでくれます。ホストがお客様や女性のためにワインを選ぶ時に、相手の前で値段を言ってしまうのは野暮になります。一般的には料理の3割程度がワインの値段と考えておくとよいようです。
高級店ではお客様側には値段が書かれていないワインリストを提供してくれるところもありますよ。予約の時にどのような会食であるかを伝えておくと店側ができる限りの気遣いをしてくれます。楽しい食事は、お店側とのコミュニケーションからです。
そしていよいよ前菜、注文したワインが注がれますのでホストが試飲します。ワインのテイスティングはホストが行う儀式的なものですから、お店側の管理に問題がなければそのまま「結構です」と了承します。好みと違っても他のワインに交換することはできません。もちろん香りや味などに違和感があればソムリエに伝えましょう。昔、毒殺などがあった時代にホストが振舞うワインに毒が入っていないことを示すための行為から始まり、今に継承されているマナーです。
以下はテイスティングの流れです。

 テイスティングの流れ

  • ワインのラベルを確認する
  • ワインが注がれたら「色」を見る
  • 「香り」を嗅ぐ
  • 「味」を確かめる
  • 了承する

香りを嗅ぐ際に、空気となじませる場合はグラスの脚を持って反時計回りに回します。ワインが飛び出した時に相手にかかってしまわない配慮です。
注意したいのは、ワインが注がれる時にグラスを持ち上げないこと、またグラスの脚に触れないことです。お客様はお客様前然としてソムリエにすべてお任せしましょう。
ただし、飛行機の中で少し揺れているときなどはグラスの脚を軽く押さえてくださるとCAは助かります。マナーは臨機応変に。

西洋料理のマナーでは、ワインやお水の入ったグラスは、置かれた位置を変えないようにします。料理の器は、動かすのも持ち上げていただくのもマナー違反です。(ブイヨンカップとコーヒーカップを除く)
ワインのお代わりを注ぐのはソムリエやサービス係に任せます。カジュアルなお店で、自分達でワインを注ぐ場合は男性に任せましょう。本来女性がワインボトルを持つのは不作法とされています。今は男女関係ない時代ですが、レストランではレディ・ファーストができると素敵です。お店側もレディ・ファーストに則りサービスをしています。
女性はグラスに口紅が付くと気になるものですが、食事の前に化粧室で身だしなみを整え、口紅をティッシュなどで押さえておくとグラスに付きにくくなります。食時中、料理をいただいたらナプキンの内側で口元を拭くとソースなどの跡も最小限に抑えることができます。
もしも口紅やソースの跡が気になるようなら、指先で軽く拭ってナプキンで拭きましょう。
西洋では、グラスに付いた汚れを日本人ほど気にしませんから、そのままにしておいても構いません。

日本料理とお酒のいただき方

日本料理をいただく時は、お酒のマナーも西洋とは異なります。宴席では手酌でお酒をいただくのは不作法です。ワイングラスとは違い、盃は手に持って注いでいただきます。「置き注ぎ」は不作法です。もしも盃が空になっても気づいてもらえなければ、周りの人にお代わりを勧めてみましょう。こちらの盃が空になっているのに気づいていただけるはずです。ワインと違って日本酒は男女関係なくお互いに「差しつ差されつ…」です。

 日本酒のタブ-

  • 手の平を上に向けてお酒を注ぐ(逆さ注ぎ)
    → 徳利を持つ右手の甲を上にして注ぎましょう。
  • お酌を受けてそのままテーブルに盃を置く
    → 一口は口を付けましょう。
  • 盃を逆さに置く
    → お酌を断りたい時は、「もう十分頂きました」と言って断りましょう。
  • 盃をテーブルに置いたままお酌を受ける(置き注ぎ)
  • 空になった徳利を横に倒しておく
    (中のお酒が流れて膳を汚したり、徳利が転がって割れることがあります)
  • 徳利を覗いたり、振って中身があるか確かめる

食事とともにいただくお酒とは別に、神様に備える御神酒というものがありますね。
神前結婚式では三々九度の杯で、御神酒を新郎新婦で飲み交わすことで契りを結びます。神様に供えた御神酒には神様の霊力が宿っているのです。日本人にとってお酒は神様のご加護でお互いを結びつける神聖な飲み物でもあるのですね。
神社には奉献酒樽が積まれていますが、明治神宮の参道にはフランスのブルゴーニュ地方のワイン樽も奉納されています。明治天皇が西洋文化を積極的に取り入れられたことに由来するそうですが、ブルゴーニュ地方のワイン樽を見つけた時はびっくりしました。

大人のたしなみ

ワインも日本酒も料理とのマリアージュ(相性)が大切です。それにより料理の味を一層引き立たせることができます。そして、同席する人との楽しい会話やサービス係とのコミュニケーションも、食事を更に楽しく美味しくしてくれます。
しかし、お酒はその場を楽しくもしますが扱い方を間違えると後悔することにもなります。自分にとっての適量をわきまえるのもマナーです。
マナーはその場その時、相手を思いやり良い関係を築いていくためのものです。食事の席でのお酒のマナーも大人のたしなみとして心得ておきたいものです。

 

筆者プロフィール

柳田 圭恵子(やなぎだ けえこ)  

柳田 圭恵子(やなぎだ けえこ)
マナーアドバイザー/フレアLLP
日本航空株式会社国際客室乗務員を経て、2009年よりマナー講師に。企業や自治体、大学、専門学校で接遇研修や マナー・プロトコール講座を行っている。NPO法人日本マナー・プロトコール協会認定講師。

岡田 承子(おかだ しょうこ)  

岡田 承子(おかだ しょうこ)
マナーアドバイザー/フレアLLP
日本航空国際線客室乗務員を経て、国際交流協会での仕事、また社会福祉法人では障がい者国際スポーツ大会事務局の運営業務やマナー研修に携わる。現在は、自治体、企業での接遇研修や、NPO法人日本マナー・プロトコール協会認定講師として大学で指導をしている。

本の紹介です

ゆるマナー 始めましょ

 

 

 

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