ゆるマナー講座(第65回) 人との距離を意識して。
マナーアドバイザー/フレアLLP 柳田 圭恵子
「ソーシャルディスタンス」…昨年初めてこの言葉を聞いた時、コロナ禍の世界であっても聞きなれないこの言葉が浸透するだろうかと思っていましたが、それも取り越し苦労でした。日々メディアで伝えられるようになると、日本の津々浦々、老若男女問わずあっという間に浸透していきました。この1年人との距離を意識しなかった人はいたでしょうか。
今回は人との距離とマナーがテーマです。
人との心地よい距離感
人と良い関係を築くには、程よい物理的な距離を意識できることも大切です。
人との心地よい距離は、年齢や相手との関係、立場、置かれている状況によっても異なります。もちろん人種によっても違いがあります。
密接距離:0㎝~45㎝ :
親しい人に許される距離
知らない人がこの距離に入ると不快感がある
個体距離:45㎝~120㎝ :
相手の表情が読み取れる距離、親しい人と会話をするのに適した距離
社会距離:120㎝~360㎝ :
知らない人同士や公的な場面で、会話やビジネスの話をするに適した距離(相手に手が届かない距離)
公共距離:360㎝以上 :
講演や演説での距離
私達は普段無意識のうちに良いコミュニケーションを図るために、このように他者との距離を保っているのです。いきなり「密接距離」に入ってくる人には馴れ馴れしいと感じたり、時には不快な気持ちや恐怖心を抱く場合もあります。ビジネスシーンや接客の場合は相手に不快な気持ちを抱かせないように、いきなり45㎝以内に近づくのは控えます。まずは「社会距離」の120㎝…お互いに手を伸ばしても届かない位置で挨拶をして、徐々に距離を縮めていくのが無難です。ビジネスや接客の場面では、相手に安心感や好感を持っていただけるかが重要です。
もちろん家族や恋人、親しい友人であれば、密接距離に入ってきても気にならないでしょう。また小さな子どもとの距離は愛おしい気持ちで自然に近くなります。
この1年コロナ禍ではマスクをして距離を取りながらの会話を強いられていましたから、ビジネスや接客ではもどかしい状況があったと思います。人との物理的な距離は心の距離にも影響します。その分、笑顔でのアイコンタクトや思いやりのある言葉で補う気遣いが必要です。
マスクをすると表情が乏しくなりがちなのも意識しておきましょう。
暗黙の了解での結界
日本には「結界」という他との境界を示す言葉があります。元々は仏教、神道に由来するものですが、お互いの領域を犯さないための境界です。神社に張り巡らされているしめ縄は、聖域である神社に邪悪なものが入ってこないように線引きをしたものです。
また茶道などで扇子を手前に置いて挨拶をしたり、茶室への道すがらにある庭に人止めのために置かれる関守石(せきもりいし)は、もてなす側と客側との結界を示すものです。
物理的な距離というよりも、浄不浄の線引き、立場の線引きですが、結界を作ることで心理的に距離を設けているのです。これらの結界は暗黙のルールですが、お互いに尊重することで心地よい空間、場を作ることができるのです。
どのような状況や場であっても相手との心地よい距離感を意識することは、良い関係を築く上で大切です。
距離を意識してきたこの1年ですが、相手と心地よい距離で自然に会話ができるようにと心から願うこの頃です。
筆者プロフィール
![]() |
柳田 圭恵子(やなぎだ けえこ) |
![]() |
岡田 承子(おかだ しょうこ) |
本の紹介です |
「ゆるマナー 始めましょ」 |
ヨコハマNOW 動画
新横浜公園ランニングパークの紹介動画 | ||
![]() |
ランニングが大好きで、月に150kmほど走っているというヨコハマNOW編集長の辰巳隆昭が、お気に入りの新横浜公園のランニングコースを紹介します。 |
横浜中華街 市場通りの夕景 | ||
![]() |
横浜中華街は碁盤の目のように大小の路地がある。その中でも代表的な市場通りをビデオスナップ。中華街の雰囲気を味わって下さい。 |
Comments are closed.