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さかえdeつながるアート代表 岩上百合子さん

by staff on 2021/6/10, 木曜日

一昨年の12月、栄区本郷台にある「栄区民文化センターリリス」を訪れた時のこと。ギャラリールームに入ると、軽やかで楽しげなリズムが聞こえてきた。見るとレゲエミュージシャンのCHAN-MIKAさんの奏でる音楽に合わせて、子どもたちが踊りながら、のびのびと歌っている。若者の文化イベント「ティーンズクリエイション2019」の一幕。
今回の取材にあたり、久しぶりにリリスを訪れると、その時の様子が目に浮かんできた。そんなごく日常だった光景…。それが突然、新型コロナウイルスによって絶たれ1年以上が過ぎた。少しやるせない気持ちを抱きながら今回の取材に臨んだ。
今月の「ヨコハマこの人」は、この企画を地方の方々と主催する「さかえdeつながるアート」の代表を務めておられる岩上百合子さん。5月中旬、岩上さんのホームグラウンドである栄区本郷台でお話を伺った。

岩上百合子さん
 
さかえdeつながるアート
代表 岩上百合子さん
 
お名前 岩上 百合子
(いわがみ ゆりこ)
お生まれ 東京都目白生まれ 60歳代後半
お住まい 横浜市栄区
ご家族 夫、娘2人、息子1人
趣味 旅行、写真、寺社巡り
HP さかえdeつながるアート

 

最初に「さかえdeつながるアート」の活動を中心にお聞きします。2008年にスタートし、「ティーンズクリエーション」を始め、多彩な活動をされてきたと伺いました。今年で13年目を迎えますが、この間、どのような取り組みをされてこられたのでしょうか。

早いものでもう13年ですね。昨年、これまでの活動を振り返って、パンフレットにまとめたのですが、本当に多彩な活動をしてきたと実感しています。

そもそもの発端は、2008年5月の横浜市地域文化サポート事業「ヨコハマアートサイト」への参加でした。その時言われたことは、“実行委員会を立ち上げて、秋に「上郷・森の家」で予定しているアートフェスティバルを運営してほしい”というものでした。当時事務局の私は、半年後の開催ということで、正直かなり不安でしたが、実行委員長の大塚宏さんのリーダーシップのもと、参加メンバーやアーティストの北川純さんをはじめ、いろいろな方々の力を結集して、2か月後には本郷台駅前でプレイベント“竹のキャンドル”を開催しました。そして、いたち川や県立地球市民かながわプラザ「あーすぷらざ」などでのイベントを積み重ね、11月には「上郷・森の家」全体を舞台として3日間にわたり、ワークショップ、映画、紙芝居、音楽ライブ、エディブル・アート「森のピクニック」など多彩なアートイベントを同時に開催しました。

2008.11「上郷・森の家 アートフェスティバル」

さかえdeつながるアートが、そんな自然豊かな場所から始まったことは知りませんでした。このイベントで手応えを得て、次第に「まちなか」へと活動域を広げていったのでしょうか。

そうですね。自然豊かな会場に魅力はとてもありましたが、利便性のよい公共施設をもっと活用してはとの思いもあり、2011年以降は、本郷台駅周辺が活動の拠点になっていきました。リリスで、それまでの活動でつながったアーティストによる展示を行ったり、リリス主催の親子向けアートワークショップ「コドモアートキャラバン」の企画運営、地域ケアプラザを会場に草木染部門「工房・野楽ネットワーク」の誕生、「あーすぷらざ」の企画展への参画、栄公会堂地下の「さんぽみち」で気軽にいろいろなことを語り合う場としての「アートdeカフェ」など、いろいろチャレンジしながら活動してきました。

2018.1「コドモアートキャラバンてんらんかい」

若者たちの文化イベントとして毎年開催している「ティーンズクリエイション」についてお話しください。

2014年に、中高生の創造力や生きる力を育むことを目指し、デザイナー団体と共催で展示やワークショップを開催したのですが、これが発端となり現在のような「ティーンズクリエイション」へと発展していくことになります。

2017年からは若者世代とともに企画運営し、その後も若者たちのアイデアで、エレクトーン演奏や演劇作品をギャラリーの展示の中でパフォーマンスしたり、栄区にちなんだクイズイベントを行うなど、自分たちで企画したことを大人が応援して実現する文化祭として地域に定着しつつあります。

2019.11「CHAN-MIKA歌のワークショップ」

地域の「交流の場づくり」にも挑戦されたとお聞きしました。

一昨年の7月から、コミュニティカフェの運営にも参画しました。栄区役所と協働で、栄公会堂の地下に多世代が心地よく集える地域の拠点として「さんぽみち~アートdeスマイル」を開設し、今年の3月まで企画、運営をしてきました。

ここでもいろいろチャレンジしましたが、その一つに「まんまるカフェ」があります。現役ママのアイデアを取り入れながら、プレママ(妊婦さん)や乳幼児の子連れママが居心地よく過ごせるカフェを目指して、昨年10月から月2回のペースで開催してきました。

この1年は、コロナ禍の影響で、活動にいろいろな支障も出ているのではないでしょうか。どのような工夫をされてますか。

いまお話しした「まんまるカフェ」ですが、緊急事態宣言を受けて、1月、2月は休止せざるを得ませんでした。ママたちの新たな居場所として手応えも感じていただけに、残念でしたし、3月の最終回の時はママたちからも惜しむ声が聞かれました。

また、昨年12月の「ティーンズクリエイション」の時は、前年までのように会場で声を出して歌う音楽パフォーマンスをできないことが予想されたため、Eyes′さんの「歌詞づくりワークショップ」を企画しました。丁寧なアプローチで言葉を紡ぎながら「大切なこと」という曲が生まれ、初日はそれをギャラリーで手話の表現で発表し、2日目は音楽ルームでマスクを外し歌う姿を、会場とオンラインでつないで配信しました。

2020.10「まんまるカフェ」
@さんぽみち~アートdeスマイル

2020.12「ティーンズクリエイション2020」

近年は、中高生など若者を意識した活動に力を注がれているように感じますが。

そうですね。私は栄区内の「はまっ子ふれあいスクール」(2016年より「放課後キッズクラブ」に移行)で14年間勤務した経験があり、もともと子供たちと触れ合うことは大好きでした。実は、41歳から4年間、放送大学で心理学を勉強しまして、認定心理士の資格を取得したのですが、それが今の仕事や活動にいろいろと役に立っています。ちなみに、放送大学の卒業論文は、思春期の問題行動とその社会的背景についての研究でした。

私の現在の活動のもう一つの軸が、不登校児の親を支える会「アリスの部屋」です。子どもの不登校経験から、22年ほど前に始めたのですが、毎月2回、かつて経験した親たちと、今現在悩みを抱えている方たちが自由に話しながら支え合う場を運営しています。

子育てのかたわら、多様な地域の活動に積極的に関わってこられた岩上さんのバイタリティに驚きます。その原動力は何だと思われますか。小さい頃から活発なお子さんだったのでしょうか。

子どもの頃は、兄が二人の末っ子で正直おてんばでした。男の子がやるような遊びばかりやっていて、自分は男の子だと思っていました(笑)。教育熱心な家庭で、「お受験」で学習院女子中等科に入学し、大学まで学習院に通いました。大学では国文科専攻で円地文子の研究をしました。

部活はいろいろやりまして、中学でコーラス部、卓球部、高校で写真部、大学では剣道部でした。剣道は大学4年間で三段まで行きましたが、剣道は自分の性格にあっていると思います。気持ちがシャキッとするところが好きです。当時も女子剣道部員は数少なかったですが、他の人がやっていないようなことにチャレンジする性格は、今の私の活動につながっているかもしれません。

ちなみに、夫は剣道部の先輩で、大学を卒業して間もなく結婚しました。夫の転勤で、浦和、名古屋、仙台、浜松などに移り住んだので、子どもたちには転校を繰り返すことになり、大変な思いをさせたと思っています。ただ私は行った先々でその土地の文化や地域の人たちと関わることを楽しみながら、様々な経験ができたことは良かったと思います。

その中で、今も続いている趣味は写真です。高校生の頃は自宅に暗室があり、撮影や引伸ばし作業にかなりのめり込みました。最初は父のカメラを借りていたのですが、初めて買ってもらったカメラはアサヒペンタックスで、それを持って当時住んでいた目白から横浜や鎌倉に撮影に行ったりしました。実は、今次女も写真を趣味にしていまして、4年ほど前、私と娘の歳を合わせた「100歳展」という写真展を開催しました。

これまでの活動を振り返って、どんなことを感じておられますか。また、今後の展望はいかがでしょうか。

長く地域で活動してこられたのは、何と言ってもいろいろ語り合える仲間に出会え、支え合いながらやってきたことが大きかったと思います。
また私の「お誘いを受けた時は、まずはチャンスと思いやってみる」という姿勢も根底にあったかと感じます。結果大変なことも多いんですけどね(笑)。

さかえdeつながるアートは、法人にせず任意団体でやってきました。構成メンバーはアーティスト5名を含む12名です。5年目から私が代表を引き継いだのですが、初代代表の大塚さんには、今も先々を見通しながらいろいろなアドバイスやアイデアを出してもらっています。
活動を続ける中で、最近はアーティストの方々から依頼があると、施設やイベント、学校などにつなぐコーディネートも多くなっていますが、それぞれに価値観や思いが異なりますので、構成していく上でそのあたりがズレてくると立ちいかなくなる場合があります。そうした調整も自分の役割だと思い、アーティストの方々には思い切り活躍していただけるようにしたいと考えています。
今後については、メンバーもだいぶ高齢化してますので、若い世代にも参画してもらい世代交代ができていくといいなと思っているところです。

今まではそれぞれに行っていた仕事や活動が、最近は自然とつながってきていると感じています。
たとえば、不登校児の親を支える会「アリスの部屋」を22年間やってきましたが、ティーンズクリエイションには、学校に行きにくい中高生に個人で出展してもらうことも歓迎ですし、そのなかで、自分がやりたいことや可能性にも気づいてほしいと願っています。
また、幼児向けのワークショップに参加していたお子さんが、成長し中学生となり、ティーンズクリエイションに参加したり、運営スタッフにつながってくれたりと、最近は長く活動しているからこその喜びを感じることも増えてきました。

さらに2019年に行った青森県南部町・横浜市栄区の友好交流都市アートワークショップ企画では、栄区内の放課後キッズクラブや南部町の学童保育クラブの協力を得て、両都市の子どもたちの作品を融合させ、大きな「つながる絵」作品を両地で展示することができました。
今も週に数日は、市内のキッズクラブでスタッフとして、子どもたちとの関わりを続け刺激をもらっています。
これからも何かの形で、子どもたちの生き方や感性を支えられる活動を行っていきたいと考えています。

最後に、岩上さんにとって横浜とはどんなまちでしょうか。

横浜、特に栄区は、いろいろ素敵な出会いのある街だと思っています。出会いがなければ、ここまでの活動にはならなかったと思います。いろいろな人との出会いがあり、それがつながっていくことで、今の活動が続いてきたと思います。私にとって横浜は「出会いとつながりの街」です。

私にとって横浜は「出会いとつながりの街」です。

<取材を終えて>

あくまでも私の個人的な感覚ではありますが、私自身、子どもの頃の方が感性がずっと伸びやかで、豊かで、鋭かった気がします。ティーンズクリエイションの作品やパフォーマンスを見ていると、蓋をされていた昔の感覚が呼び起こされることがあります。そういう意味で、この活動は決して若者だけではなく、還暦を過ぎた我々世代にも十分意義があり、私にとっては「シニアクリエイション」と言ってもいいかもしれません。

岩上さんのお話しをお聞きしながら感じたことは、活動の根底には、“子どもたちのために”というよりも、“一緒に楽しもう!”という思いが流れていることで、それがいつまでも生き生きと活動されている原動力になっているような気がします。これからも子供たちと一緒になって、いろいろなことにチャレンジしていってほしいと切に思いました。

 

(取材/渡邊圭祐)

 

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