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ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第106回)

by staff on 2022/1/10, 月曜日

大浦総合研究所 代表/大浦勇三

ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第106回)

遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ

- 梁塵秘抄 -

彫刻家のイサム・ノグチは “彫刻は秩序の芸術。空間を調和させ、人間的にするもの” と主張。人生が曖昧で混とんとする時にはいかに秩序が重要か、芸術の実践を通じて秩序をハーモニーへと導く。その実践なしでは獣性しかなくなる、と喝破しました。いま休館中の横浜美術館のエントランスにも、イサム・ノグチの赤と黒の花崗岩からなる “真夜中の太陽” が展示されています。ノグチは、日本人の父とアメリカ人の母の間に生まれ、アイデンティティの葛藤に苦悩。常に核心にあったのは日本の文化や伝統です。例えば、枯山水の庭や茶の湯・能楽など。その中で生涯追い求めたのは抽象彫刻。原理的な規律主義だけでは社会のダイナミズムが失われる怖れ。晩年、岐阜提灯との出会いから “あかり” の世界に開眼。単なる照明器具でなく、竹ひごによる立体から和紙を通じて広がる光の効果。これを光の彫刻として、太陽や月の存在をイメージさせる独創。光はしなやかで日本文化の本質。“身振りは心の余りにて” と歌舞伎役者・坂田藤十郎。

“遊びをせんとや生れけん” 「遊」

文化は方言、その範囲は限定される 文明は標準語、広く拡散する
反復こそが現実、生存の厳粛な事実 順調でもどこかに波乱が潜む
重荷が人をつくる 自分で考える、考えることを止めずに考え抜く
知の入口である学術コミュニケーション危機 情報の九五%は公開

方言は温かいと実感。一方に偏らないバランス。私の田舎で “キカン” というのは、暴れん坊だが、正義感が強く情にもろいガキ大将を指します。文化は方言、その範囲は限定されても深い思慮に富むもの。一方で、文明は標準語で世界共通の広く拡散する力。コミュニケーションとは、人間の間で行われる知覚・感情・思考の伝達とか。更に身振りや音声・匂いなどによる情報伝達も。情報伝達の阻害こそ知のコミュニケーション危機。準備万全が産む果実こそ宝。“重要なのは成功でなく生き残ること” と作家・村上龍。

“仕事をせんとや生れけん” 「献」

想定される範囲の中での設計 日本が誇った技術の限界点
自然科学もまだまだ複雑 人類が未知の前提は数多くある
みせかけの知 前提条件は整理できず重要観点の見落とし
研究開発 早くからテーマを絞り込む方がリスクは大きい

何ごとであれ対象・テーマを絞り込むことは大切。一方で、絞り込みに固執することはリスクを伴うもの。人は何かを失うことに抵抗、真っ先に思い浮かぶのは “リスク=危険”。一点から一点への最短距離は、本当にリスク回避に当てはまるのか。教育とは点から点への最長距離を教えるところのはず。最長距離をあえて選ぶことこそリスク回避の最善策かも。無理にリスク対応した手段は新たなリスクを生む怖れ。“リーダーシップを発揮するとはリスキーな生き方をすること” とハーバード大学教授・ハイフェッツ。

“学びをせんとや生れけん” 「学」

テクノロジーロードマップありきではなく
アプリケーションロードマップが上位概念
開発力よりアプリに戦略上の不備が潜在化
勝つ瞬間に負けの芽 負けの中に勝ちの芽

何をやるにもアプリケーションコンセプトが最優先。テクノロジーロードマップはそれをフォローするもの。アプリ・コンセプトは、向こう10年を睨んで未来の顧客の望むモノやサービスをイメージすること。テクノ・マップは2年から3年。そこへ導くテクノロジーは何なのか、そこにどんな形で参画するか。開発よりアプリに戦略上の不備が多いという落とし穴。勝つ瞬間に負けの芽が潜在、逆に負けの中に勝ちの芽も。“人生、面白がって生きないと。自分から一歩外に出て自分を見ること” と作家のなだ いなだ。

「遊びは仕事、仕事は遊び」
「仕事は学び、学びは仕事」
「学びは遊び、遊びは学び」

今回とりあげた「遊・献・学」それぞれの4行文は、拙書「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)及び「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)から抽出したものです。次回以降も「遊・献・学」から各々4行文を一つずつ抽出してご紹介していきたいと思います。

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(第106回了)

 

大浦勇三(おおうら ゆうぞう) プロフィール

大浦勇三(おおうら ゆうぞう)  

大浦総合研究所 代表 (http://www.ne.jp/asahi/oura/ohura-research-institute/

石川県七尾市出身。
早稲田大学卒業、筑波大学大学院修了。
米国経営コンサルティング会社 アーサー・D・リトル 主席コンサルタントを経て現職。
主担当領域は、経営改革/企業再生、経営戦略/情報通信技術戦略策定、業務改革/組織改革、研究開発/商品開発マネジメント、マーケティングマネジメント、ナレッジマネジメント、イノベーションマネジメント、サプライチェーンマネジメント、人材マネジメント、コーチング/メンタリング、プロジェクト/プログラムマネジメント、ベンチャービジネス支援等のコンサルティング。

筑波大学大学院講師、城西国際大学客員教授、名城大学講師、産業能率大学講師、中小企業大学校講師などを歴任。

主な著作物:

  • 「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「イノベーション・ノート」(PHP研究所)
  • 「ITプロジェクトマネジャーのためのコーチング入門」(ソフトリサーチセンター)
  • 「図解 日本版LLP/LLCまるわかり」(PHP研究所)
  • 「IT技術者キャリアアップのためのメンタリング技法」(ソフトリサーチセンター)
  • 「よいコンサルタントの見分け方、かかり方」(清話会)
  • 「日本のモノづくり - 52の論点」<共著>(日本メンテナンス協会)
  • 「現場主導型の組織運営とスピード戦略」(日本監督士協会)
  • 「eコミュニティがビジネスを変える」<訳>(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメントが見る見るわかる」(サンマーク出版)
  • 「図解 ナレッジ・カンパニー」(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメント革命」(東洋経済新報社 )
  • 「図解 グローバル・スタンダード革命」(東洋経済新報社)
  • 「業務改革成功への情報技術活用」(東洋経済新報社)
  • 「情報化戦略と投資評価・システム運用管理の実際」<編著>(企業研究会)
  • 「会社改革実務辞典」<共著>(産業調査会)
  • 「プロジェクトマネジャー(PM)の育成・スキルアップのためのメンタリングの進め方と実践法」 (ソフトリサーチセンター:CD-ROM版)   など

 

 

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