Skip to content

ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第119回)

by staff on 2023/2/10, 金曜日

大浦総合研究所 代表/大浦勇三

ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第119回)

遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ

- 梁塵秘抄 -

“商人八訓” は、江戸後期の武士・画家の渡辺崋山が商いの心得を説いたもの。崋山は田原藩(愛知県)の家老の家に生まれながら諸事情で生活は苦しく、得意の絵を売って生計を支えたとか。絵では目と併せて手を重視。後に谷文晁に入門、絵の才能が大きく開花し、20代半ばには画家として著名に。国宝・鷹見泉石像は特に有名。弟子の椿椿山を初め多くの弟子も育成。しかし、晩年は蛮社の獄に巻き込まれて切腹。崋山は蘭学者ではないのに、蘭学者たちの指導者的立場に。思想家・佐藤一斎から教えを受け、時の思想家・藤田東湖をも感服させるほどの存在へ。少年時の苦労から“商人八訓”を執筆。本や知識だけでは窺えない人間の体験を注入。“朝は召使いより早く起きよ・十両の客より百文の客を大事にせよ・繁盛するに従い益々倹約せよ・小遣いは一文より記せ・開店時のことを忘れるな” 等は特に印象的。併せて “八勿の訓” も現代に通用しそう。進化の熱をもって洞察。“ちゃんと生きていれば死は怖くない” と映画監督・北野武。

“遊びをせんとや生れけん” 「遊」

コミュニティ これからの社会のキーワード 基本要件の第一は異質性の許容
皆は一つで一致協力、という空気だけでは怖い 極楽から地獄まで受け入れる
国内だけで固まるのでなく グローバル連携を視野にコミュニティを構築する
コミュニティは創造性の規範を内包する 戦後の枠組みから脱皮して震災後へ

“ヒト” を勁くすることがビジネス成果に直結。学校の成績が優秀なだけではダメで “一生学び続けることのできる人材” が採用の決め手に。異種の技術/スキルの融合が欠かせなく、さまざまな力量・技を持つ人とヒトの出会いの場とネットワーク形成が不可欠に。万物の形は方(四角)と円が根本。従来のフォーマルなネットワークだけでは不十分で、インフォーマルなネットワークであるコミュニティが中核に。異彩のメンツとの交流。“自宅では穴が2つもあいた靴下を平気で履いていた” とジョン・レノン。

“仕事をせんとや生れけん” 「献」

事業失敗の遠因 最も乏しい資源である時間管理の不徹底と資金不足が代表格
資金が豊富だと投資が甘くなる 市場と時間は魔物、上昇と思い込むと下がる
同じ地点からモノを見続けるのでなく 変化を読むため、時間と場所をずらす
外来種 最初二、三〇年は環境適応に努め、適応したその後に一気に急増する

外来種は、その地域にいなかったのに人為的に他から入ってきた生物。今や地球上のありとあらゆる環境に侵入。ヒトもグローバルに動き回る時代には、植物から学ぶことも多々ありそう。外来種も移入種・帰化種・侵入種など様々。そこで力を発揮するには、誠実な友を持つか・徹底した敵を持つこと。最初数十年は環境適応に努め、適応した後は一気に増強。しかし、思い通りということは世の中になし。技術一辺倒でなく自然・人間との協創。“資本主義は自動的に持続不可能な格差を生む” と経済学者・ピケティ。

“学びをせんとや生れけん” 「学」

壁をつくらないこと 透明であることが、ビジネスの成功要因
未来のリーダーは 自由・広い視野・胆力、そして偶然の受容
遠道だけど、結局は近道 一か月が限界と思えば一ヶ月が限界
技術と不退転の決意 波に真正面から向かうと、船は沈まない

未来のリーダーは自由・広い視野・胆力に加え “偶然の受容” も。成熟とは時間をかけた天真爛漫。状況は時々刻々と変化。“既存組織で対応できる変化” と “既存組織では対応できない変化” を判断。対応できない変化にどのような体制で臨むべきかを明確に。コミュニティは創造性の規範を内包するもの。これからはコミュニティを深堀することが大切かも。奥行きと広がり。技術と不退転の決意が拠り所。波に真正面から向かうと船は沈まないもの。“私は何も悔やまない。ゼロから再出発する” とエディット・ピアフ。

「遊びは仕事、仕事は遊び」
「仕事は学び、学びは仕事」
「学びは遊び、遊びは学び」

今回とりあげた「遊・献・学」それぞれの4行文は、拙書「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)及び「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)から抽出したものです。次回以降も「遊・献・学」から各々4行文を一つずつ抽出してご紹介していきたいと思います。

「ビジネス梁塵秘抄」「続・ビジネス梁塵秘抄」購入ご希望の方はこちらからどうぞ!
http://www.syplus.jp/ooura/

(第119回了)

 

大浦勇三(おおうら ゆうぞう) プロフィール

大浦勇三(おおうら ゆうぞう)  

大浦総合研究所 代表 (http://www.ne.jp/asahi/oura/ohura-research-institute/

石川県七尾市出身。
早稲田大学卒業、筑波大学大学院修了。
米国経営コンサルティング会社 アーサー・D・リトル 主席コンサルタントを経て現職。
主担当領域は、経営改革/企業再生、経営戦略/情報通信技術戦略策定、業務改革/組織改革、研究開発/商品開発マネジメント、マーケティングマネジメント、ナレッジマネジメント、イノベーションマネジメント、サプライチェーンマネジメント、人材マネジメント、コーチング/メンタリング、プロジェクト/プログラムマネジメント、ベンチャービジネス支援等のコンサルティング。

筑波大学大学院講師、城西国際大学客員教授、名城大学講師、産業能率大学講師、中小企業大学校講師などを歴任。

主な著作物:

  • 「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「イノベーション・ノート」(PHP研究所)
  • 「ITプロジェクトマネジャーのためのコーチング入門」(ソフトリサーチセンター)
  • 「図解 日本版LLP/LLCまるわかり」(PHP研究所)
  • 「IT技術者キャリアアップのためのメンタリング技法」(ソフトリサーチセンター)
  • 「よいコンサルタントの見分け方、かかり方」(清話会)
  • 「日本のモノづくり - 52の論点」<共著>(日本メンテナンス協会)
  • 「現場主導型の組織運営とスピード戦略」(日本監督士協会)
  • 「eコミュニティがビジネスを変える」<訳>(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメントが見る見るわかる」(サンマーク出版)
  • 「図解 ナレッジ・カンパニー」(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメント革命」(東洋経済新報社 )
  • 「図解 グローバル・スタンダード革命」(東洋経済新報社)
  • 「業務改革成功への情報技術活用」(東洋経済新報社)
  • 「情報化戦略と投資評価・システム運用管理の実際」<編著>(企業研究会)
  • 「会社改革実務辞典」<共著>(産業調査会)
  • 「プロジェクトマネジャー(PM)の育成・スキルアップのためのメンタリングの進め方と実践法」 (ソフトリサーチセンター:CD-ROM版)   など

 

 

Comments are closed.

ヨコハマNOW 動画

新横浜公園ランニングパークの紹介動画

 

ランニングが大好きで、月に150kmほど走っているというヨコハマNOW編集長の辰巳隆昭が、お気に入りの新横浜公園のランニングコースを紹介します。
(動画をみる)

横浜中華街 市場通りの夕景

 

横浜中華街は碁盤の目のように大小の路地がある。その中でも代表的な市場通りをビデオスナップ。中華街の雰囲気を味わって下さい。
(動画をみる)

Page Top