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書評 「京セラフィロソフィ」 サンマーク出版 稲盛和夫 著

by staff on 2014/8/10, 日曜日
 

経営塾「盛和塾」の講義録が世に出てきた。書店で見つけた時に驚いた。稲盛さんの考え方、生き方の原点が丁寧に語られているのである。

“自ら燃える” の項で次のように語られます。

「物には可燃性、不燃性、自燃性のものがあるように、人間のタイプにも火を近づけると燃え上がる可燃性の人、火を近づけても燃えない不燃性の人、自分でカッカと燃え上がる自然性の人がいます。
何かを成し遂げようとする人は、自ら燃える情熱をもたなければなりません。高校野球では、心から野球の好きな若者たちが、甲子園という大きな目標を目指し、一丸となって生き生きと練習に励んでいます。その姿には、未来への可能性とエネルギッシュな躍動が感じられます。彼らは自ら燃える自然性の集団なのです。
自ら燃えるためには、自分のしていることを好きになると同時に、明確な目標を持つことが必要です。」

”自らを追い込む“

「困難な状況に遭遇しても、決してそこから逃げてはいけません。追い込まれ、もがき苦しんでいる中で、何としてもという切迫感があると、普段見過ごしていた現象にもハッと気づき、解決の糸口が見つけられるものです。

火事場の馬鹿力という言葉があるように、切羽詰まった状況の中で、真摯な態度でものごとにぶつかっていくことによって、人は普段では考えられないような力を発揮することが出来ます。

人間はえてして易きに流れていきがちですが、常にこれ以上後にひけないという精神状態に自らを追い込んでいくことによって、自分でも驚くような成果を生み出すことが出来るのです。」

“土俵の真ん中で相撲をとる”

「土俵の真ん中で相撲をとるとは、常に土俵の真ん中を土俵際だと思って、一歩も引けないという気持ちで仕事にあたるということです。

納期というものを例にとると、お客様の納期に合わせて製品を完成させると考えるのではなく、納期の何日も前に完成日を設定し、これを土俵際と考えて、渾身の力ふり絞ってその納期を守ろうとすることです。そうすれば、万一予期しないトラブルが発生しても、まだ土俵際までには余裕があるため、十分な対応が可能となり、お客様に迷惑をおかけすることはありません。

このように私たちは、常に安全弁をおきながら、確実に仕事を進めていく必要があります。」

なぜ心を高めることが人生の目的、意義なのかの問いかけに、仏教聖典という書物の中のお釈迦様の次の表現を紹介されています。

この世界は心に導かれ 心に引きずられ 心の支配を受けている
迷いの心によって 悩みに満ちた世間が現れる
 
すべてのものは みな心を先とし 心を主とし 心から 成っている
汚れた心でものを言い また身で行うと
苦しみがその人に従うのは
ちょうど牽く牛に車が従うようなものである
 
しかし もし善い心でものを言い または身で行うと
楽しみがその人に従うのはちょうど影が形に添うようなものである
 
悪い行いをする人は その悪の報いを受けて苦しみ
善い行いをする人は その善の報いを受けて楽しむ
 
この心が濁ると
その道は平らかでなくなり
そのために倒れなければならない
また 心が清らかであるならば
その道は平らになり 安らかになる
 
身と心との清らかさを楽しむものは
悪魔の綱を破って仏の大地を歩むものである
心の静かな人は安らかさを得て
ますます努めて夜も昼も心を収めるであろう

“現場主義に徹する”

「ものづくりの原点は製造現場にあります。営業の原点はお客様との接点にあります。
何か問題が発生したとき、まずなによりもその現場に立ち戻ることが必要です。現場を離れて机上でいくら理論や理屈をこね回してみても、決して問題解決にはなりません。
よく現場は宝の山であると言われますが、現場には問題を解くためのカギとなる生の情報が隠されています。絶えず現場に足を運ぶことによって、問題解決の糸口はもとより、生産性や品質の向上、新規受注などにつながる思わぬヒントを見つけ出すことが出来るのです。これは、製造や営業に限らず、すべての部門に当てはまることです。」

稲盛さんは次のように言います。

「製品の語りかける声に耳を傾ける。製品への深い思い入れがあって初めて声は聞こえてくる。製品の語る声に耳を傾け、手の切れるような製品をつくる。」

やらなければいけないことばかしであり、やることで先が見えてくることはまちがいないと確信できた。

この本が一般向けに世に出されたことに感謝と喜びを感じる。ありがとうございました。

(文:横須賀 健治)

 

 

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