2015年2月 三ツ池だより 「あなたは誰に悼まれたいですか?」
雪が降った日があって、翌日はよく晴れわたった。春よ来い、早く来いと歌いはじめていた。
春よ来い 早く来い
あるきはじめた みいちゃんが
赤い鼻緒の じょじょはいて
おんもへ出たいと 待っている
春よ来い 早く来い
おうちのまえの 桃の木の
つぼみもみんな ふくらんで
はよ咲きたいと 待っている
歌が口ずさめた。今さらという人、そんな歌知らないという人、様々だ。いつ雪がまた降るかも知れないが、野に出ると間違いなく若木が伸び始めている。そんな時に、ベランダで育てているえんどう豆が、順調に育ち、柵を超えて天に向かい始めている。いくつかの枝に花が咲いているが、数本には葉すらないので「あれ!」と感じていた。そんな時にむく鳥だろうか、えんどう豆の葉をむしりに来る場面にであった。
2月の俳句を見てみよう。
雪は地上を白無垢にしていく。汚れを消し去っていくようだ。そしてあっという間に重たい雪になっていく。
朝薄氷に日が射して光っている。寒さのなかにあっても緊張感を感じる。今日一日の幸せを祈るのだった。
節分を親子で迎えている。文化の伝承になっていく。歳を重ねるにつれ話題が、地域の事や生き方の事にかわっていくのだろうか。親から子への一方向から、行事を通して、話のキャッチボールが出来てくる。
新しい年をむかえて一か月になる。周りが見え始めていないだろうか。また、初心をすでにどこかにおいてきてはいないだろうか。
家の近所に理容室Cache(カッシェ)があって、予約していってきました。マスターは私の長男の同級生です。一寸おもったのですが、皆さんは店に入ってどんな挨拶をされているのでしょう。店長、床屋さん、マスター。呼び名を戸惑っていたので、マスターと話をしてみましたし、調べてもみました。ヨーロッパの散髪屋さんは以前外科医がやっていたのだといることが出てきました。そういわれてみると、肌に触れて毛を刈る事、道具が共通なのかなと思いました。そのせいで散髪屋さんにいくと赤と青と白の文様のサインポールが回転しています。赤は動脈、青は静脈、白は包帯を表すそうです。その後散髪屋さんと外科医の仕事が分かれていくのです。
それではなぜ日本では床屋というのでしょう。江戸時代、散髪屋さんは許可制だった。そこで散髪屋さんがそう仕事場を増やすわけにもいかず、髪結さんが床店(移動できる小さなお店)で仕事をしていたので床屋といったと書かれています。今は床屋はシュチュワデスと同じような差別用語になっているようです。
文化の違いの中で髪の扱いも違っているのだろうとおもいますが、寒さのなかで帽子が手放せなくなってきたのは年のせいでしょうか?歳を感じるせいか、この時期に「悼む人」天童荒太著を読んだからからかも知れませんが「あなたは誰に悼まれたいですか?」ということが気になりだしました。
二月の俳句をみていたら、母の句が出てきました。煮物が出てくるとお袋を思い出します。してあげたことよりしてもらったことも思い出します。文章を書く機会が多くなって、思えば中学、高校時代での作文の書き方や本を読む習慣のきっかけがおふくろのお蔭だったようにおもいだされます。
雪割草が雪をかぶって咲き始める。それは何もないと思っていた所に思いがけず見ることが出来、夢のようだ。みんな夢でいったん切れる。みんなが夢をどう感じていたのかと問いかける間もなく、雪割草が咲いたのねと喜びを表現される作者の思いは小さな明りが灯ったようだ。
「悼む人」でいうと誰に悼まれたいかという視点と誰を悼んでいるか、誰を悼むかという視点でもあります。
寒い冬を超えて春が来る。花が咲くといったように。夏があって秋が来たように。今がただあるのではなく、昨日があって今日がある。今日があるから明日がある。誰もが忘れてしまった悼みを自分が出来る範囲で旅をしながら悼んでいくのは悼む人。「悼む」というのは日本の文化の根底にあることではないかとおもった。感謝する。ありがとうを言う。しっかりとした足取りが求められる二月を、意義あるものにしていきたい。
Photos
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(文・写真:横須賀 健治)
横須賀 健治プロフィール
メジャーテックツルミ 代表取締役
はかることのプロとして50年です。
食品の放射能測定のアークメジャーを設立しました。
「計量から見える幸せ」をライフワークにしています。
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