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第30回 ワークショップ「新聞記者になって新聞を作ってみよう!」

by staff on 2016/1/10, 日曜日

ワークショップ「新聞記者になって新聞を作ってみよう!」

ヨコハマのNPO法人ど・あっぷ!です。
新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

去る12月10日に、いつもお世話になっている筑波大学附属小学校由井薗先生の学級にて、ワークショップ「新聞記者になって新聞を作ってみよう!」を実施させて頂きました!
ワークショップを体験した生徒たちからは、「メディアに出ていることだけが全部じゃないことがわかった。」などの感想をもらい、大変好評でした!
今回は、このワークショップについてご報告させて頂きたいと思います。

 

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ワークショップ全体
ワークショップ全体

ワークショップのねらい

今回のテーマは、「メディア・リテラシー」。
このテーマは小学校5年生の授業で既に学んでいるものなのだそうです。そのため、ワークショップの内容によっては、由井薗先生の学級(6年生)には、内容が重複するものになるかもしれないという懸念もありました。しかし、先生との事前の打ち合わせで、以下の点に、オリジナリティーと、新たな視点が盛り込まれているとの評価をいただき、実施が決定しました。
その狙いとは、「メディアに掲載されている情報は全体の事実のほんの一部にすぎないということを、掲載されなかった記事を可視化する事で認識する。」という点です。

 

(クリックで拡大画像)


タイトル 新聞をつくってみよう

今回のワークショップを行う背景として、テレビや新聞をはじめとするメディアは、TVの時間や新聞の掲載スペースの制限があり、極めてわずかな情報量しか報道できないという事情があります。そのため、起こった出来事のある一部分に報道する側がスポットライトを当てて、情報を絞り込み、報道せざるを得なわけです。当然メディアによるフィルターやバイアスがかかります。それが情報というものです。であるからこそ、情報を受けとる側の私たちには、メディア・リテラシーの能力が求められます。
とかく私たちは、TVのニュース番組や新聞に掲載された記事が全てを表していると思いがちです。もちろん多くの場合、掲載されている内容は事実です。しかし全てではありません。むしろ、掲載されている内容は、極めて限定的な一部でしかありません。その事を、情報を受け取る側が常に意識している事が、とても大切なのだと、私たちは考えています。

そこで今回のワークショップは、生徒たち自身が新聞記者になることで、新聞紙面の限られたスペースによって伝えたくても伝えられない記事が山のようにあることや、迫り来る締め切り時間を実感できる内容としました。

ワークショップの内容

今回、3~4人のグループを10グループ作り、各グループを〇〇新聞社としてアクティブ・ラーニングを行いました。
まず、各グループ(新聞社)で、社長と記者の役割を決めます。グループの周りには、私たちが用意した3つの事件現場があり、各記者はその現場を取材します。

3つの事件現場の内容は、「消費税」、「豊作」、「デジタル教科書」。
各現場では、様々な側面から書かれた6つの記事カードと、3種類の写真が用意されています。それを記者は自社に持ち帰るのですが、写真に関しては1種類しか持って帰れないというルールが・・・
そこで記者はどの写真が、自分が捉えた記事内容に適しているのかを検討します。時には社長さんと一緒に検討する記者の姿もありました。

各事件現場から1種類の写真と6つの記事が、それぞれ記者から各新聞社に持ち帰られます。事件の概要説明を行い情報共有をした後、どの記事をトップに持っていくかの編集会議です。
トップ記事に掲載できる記事カードは3つ、中段は2つ、下段は1つの記事しか掲載できません。写真も下段記事に採用された事件のものは載せられません。ここが、このワークショップのいやらしいところです。
せっかく取材したのだから、全部の記事を載せたいところ、でも載せられない。しかも下段記事に採用されると、記事カードはたったの1つ、写真もなし!「どうしよう。」「どれにする?」
先生からも「締め切り時間過ぎちゃうと明日みんなに新聞が届かないよ!」と掛け声が。生徒たちは、必死に編集会議を行い新聞作りを急ぎます。しだいに個性ある新聞名や、各見出しが決まってきました。なかにはフリースペースにアンパンマンの描き方を記したユニークな新聞も・・・。
さぁ新聞が出来たところで、採用されなかった残りの記事カードを、ゴミ箱用紙に貼っていきました。新聞に貼った記事よりもゴミ箱に貼った記事の方が多いことに気づく生徒もいました。

10社が無事投稿期限に間に合い発行された新聞を、前のホワイトボードに並べているところに、新聞購入者の紹介です!サラリーマンの馬場さん、大学生の大和さん、そして主婦に扮したオネエの山本さんが出てきました。オネエ主婦の登場に生徒たちは大騒ぎ!!!

彼ら新聞購入者に向けて新聞のPRを各社の社長が行います。その社長さんも積極的に手を挙げ購入者に猛アピール!1社20秒以内という短い時間にもかかわらず、皆みごとにポイントをまとめてアピールが出来ました!

授業の最後に、まとめの解説を行いました。
取材した記事が18(3事件×6記事)もある中で実際に記事になったのが6だけであることや、10社あっても伝えることが出来なかった記事が2つもあったことなどを新聞とゴミ箱を見ながら解説し、実際のメディアの情報は、実際の事件のほんの一部にすぎないのだという事、つまり事件にはスポットライトが当たる面もあるがその反面、光の当たらない見えない部分があるということを解説しました。

 

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「デジタル教科書」の事件現場。
記者たちは真剣に取材中!


ある新聞社の編集会議の様子

生徒たちの感想

最後に生徒たちの感想や気づいた点を書いてもらいましたのでその一部をご紹介したいと思います。どの生徒も皆、素晴らしい感想を書いてくれました。

  • メディアと受け取る側どちらも努力すれば誤解も少なくなると思う。だから、ニュースなど見ても、それだけが全てだと思わず、スポットライトの影を見る努力を受け取る側の私はしようと思う。
  • 記者だって全ての事実をきき出せるわけではなく、その中で情報として世見に送り出すことのできる情報も、もっと限られている。事実の1部分を強調しすぎるとそれに反する事実も存在している事実が見えなくなりがちであることがわかった。
  • ぼくは、沢山情報を知っていたと思っていたのに、新聞にのせない情報がこんなにたくさんあるなんておどろきました。ぼくはこれから、いろんな情報があるなんだと思い、新聞を読みたいと思います。
  • 記者により、重要だと思うことは、会社によってちがう。また、私たちに届かない記事もたくさんあるため、新聞にあることが全てだと思ってはいけない。そのため、1つの新聞にたよりきるとまちがったイメージをもつことがあるため、他のニュースとも読み比べたほうが良いこと。
  • 私たちがいつもみているTVや新聞はそれを調べた記者が注目したことしか書いていないので、それだけの情報で物事を判断するのはとても難しい。つまり、自分の意見は様々な情報を見て判断するべきだと感じた。
 

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採用されずお蔵入りした記事がこんなに!

  • ニュースや新聞、ネット記事から得る情報だけがすべての事実だけではなく、また、記事を選ぶ時には、各新聞会社の先入観がふくまれていることが分かった。そして、それらはわざとではなく、できるだけ早く正確にみんなに伝わるようにメディアが努力した結果だということもわかった。
  • ふだん読んでいる新聞の裏の一面を知ることができたのでよかったです。ゴミ箱にすてられた情報の多さにはおどろきました。
  • 「自分たちで新聞をつくる」なんて無理だと思ったけれど記事と写真があれば工夫してつくることができました。私は、事件Aの「デジタル教科書」についての取材をし、デジタル教科書を使うことを使うことのメリットとデメリットを伝えられるようにしました。でも、下段記事に選ばれてしまったので、1つの記事で国民の関心があるできるだけのことを伝えようと、4番の記事を選びました。4番はデメリットが中心の記事でしたが、国民にたくさん知られているメリットよりもあまり知られていないデメリットを伝えた方が良いと考え、今度、各社の新聞を読み比べて、その会社が伝えようとしていることのテーマや特徴をたしかめたいです。私はふだんあまり新聞を読まないので、明日からは頑張って毎日読みます!! どあっぷのみなさん、今日は本当にありがとうございました。また、このような機会があったらうれしいです。

最後になりましたが、今回のワークショップに多くの助言やご協力を頂きました筑波大学附属小学校由井薗先生に改めて感謝申し上げます。また、次回5学年を対象としてワークショップを実施させて頂く機会をいただきました。頑張ります!

(写真・イラスト:NPO法人ど・あっぷ!(DO UP!) / 文:山本純平)

 

★ど・あっぷに「参加したい」、「ワークショップをやってもらいたい」、「ミーティングを見てみたい」等等、どんなことでも結構です。ご興味がありましたら、是非ご連絡ください。

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