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花さそふ 嵐の庭の 雪ならで 降りゆくものは わが身なりけり

by staff on 2017/4/10, 月曜日

♪ 花さそふ 嵐の庭の 雪ならで 降りゆくものは わが身なりけり ♪


絵・千絵崇石
 

読み人:入道前太政大臣(にゅうどうさきのだいじょうだいじん)

現代語訳・・・花が吹雪のように舞い散る嵐の庭。 降り行くもの それは私の老いて行く姿であった。

この歌には豪華に花吹雪が乱舞する美しさが感じられて、私は大好きな歌のひとつです。作者の入道前大政大臣はきっとリッチな歌人だろうと推測していましたが、リッチなんてものではないくらいこの世の栄華をほしいままにした人でした。百人一首では入道前大政大臣と言う肩書で残されていますが本名は藤原公経 【きんつね】 又の名前を西園寺公経。

彼の家族の繋がりが半端でありません。まず彼のお姉さんが藤原定家の奥さんです。そして政治的には鎌倉幕府の将軍になった頼常は彼の孫。もう一人の孫娘は後堀川天皇の中宮。娘婿は関白。自分自身は源頼朝の妹夫婦の娘さんを妻にしています。幕府と朝廷の両方に太いコネクションを持って、平安時代の最後の宮廷文化での栄華を極めた人です。

幕府という後ろ盾がなければ彼の栄華はなかったと言われていますが、その頃の世間では我欲の塊だったという評価もあり奸臣と言われていた記述もあるとか。

きっと処世術があったのでしょう、処世術って出世をするのに一番必要な才能かもしれません。処世術が上手い方は何処かおおらかな側面が在るのだろうなと、思います。あまりこだわらずに色んな性格の人と交流を持てる。そしてここが一番大事なのですが、それを自分の仕事に結びつける事が出来る人間だったのだろうと、勝手に想像しています。

横浜NOWで「和歌うた」のコラムを書かせて頂くようになってから、歴史の中の栄枯盛衰をたくさん見てしまい、現在の世界情勢や日本の現状なども同じ様な視点で見る癖が付いてしまいました。それが良い事なのか悪い事なのか分からないのですが、昨今の政治家達で一体何人ぐらいが千年後に名前が残っているのかしら、又千年後には 一体何が残っているのだろうか、と思います。きっと和歌は残っていると思います。日本という国が未だ残っていたらの前提ですが。

今月の歌人 入道前大政大臣。彼の生きた時代は権力が朝廷から鎌倉幕府へと移り、朝廷は現代の天皇と同じ様な立場となって権威だけを引き継ぎ、権力は幕府へ、と権威と権力が二分されて行った時代でした。そしてそれが明治維新まで続いてきた訳です。

私の尊敬する作家、田辺聖子さんの(小倉百人一首)の入道前大政大臣の解説ページには、天皇の力が幕府によって権威と権力に分れた事と、天皇制が現在まで続いていると言う事実を踏まえて、権威はあっても無力で権力がない事がいかに重要で生き延びる要素か、そこに現在の日本国として国際社会の中で生き残る知恵を見い出せるのではないかと書かれていました。私見ですが、日本神話の中にもそのアーキタイプがみられます。
大黒様(大国主命)が権威(社を建てて自分を祭る)だけを求めて他は全部 アマテラス様に譲ってしまった事、その知恵と同じ物を今の時代に求められているのかもしれません。世界は本当に方向転換に迫られています。はたして日本という国は千年後まで生き伸びることが出来るのかしら。混乱の嵐の庭で 降り行くものは、我が身か 権力か。

(早苗ネネ♪)

 

三十六歌仙CDアルバムによせて

 

10代の頃、じゅん&ネネのネネとして歌っていた時、多くの方から「北の政所のねね様と同じ名前ですね」と言われ、歴史上に残る方と同じ名前を頂いた事で直ぐに覚えて頂き、良い事が沢山ありました。時が経ち、50歳を過ぎた頃にやっと自分のライフワークを見つけ、「和歌うた」を歌い続けて13年程に成りますが2014年の京都高台寺音楽祭に出演させて頂いた折に、三十六歌仙が高台寺様に遺されているのを知りました。その時にぜひ三十六歌仙にメロディーを付けて同じ名前のねね様に奉納したいとの思いを抱き、2015年9月6日、ねね様のご命日に発表させて頂く事に成りました。

和歌のアルバムとしては10年ぶりでやっと二枚目アルバムです。一枚目のアルバム「花のいろは」は蟠龍寺スタジオの仲間に助けられて生まれました。そして今回のアルバムも製作費は今まで私の和歌うたを聞いて応援して下さった方々のご支援で賄われています。暗中模索と無我夢中で今までよろよろと歩いてきましたが、そんな私を支えてくれる大きな愛情に気が付いて、なんて幸せ者なのかしらと思います。有難うございます。これからも自分の道を信じて歩いてゆきます。

早苗ネネ/京都・高台寺 北の政所・ねねさまに捧げる三十六歌仙 『和歌うた』CDアルバムは、 ヨコハマNOWオンラインショップ で販売しております。

 

早苗ネネさん 和歌うたLIVE

 

早苗ネネさん プロフィール

木々や鳥や魚や精霊…人間以外の存在達との交流が当り前に語れるくらい、いのちのひろがりに気づくと、共に生きている喜びや、苦しみや悲しみにもナイーブになる。

心と野生がひとつながりになると……こんな風に人は年を重ねられる。ひとりひとり、ユニークにもっと自分になれる。

早苗 Nene さんは、そういう人生の先駆者です。 感性を解放しながら、40代で高校生に仲間入り卒業後、マウイのカレッジに留学中、突然半生記が受賞しました。

そんな新たなシーズンを迎えて、今エッセンスを分かち合いたい。

<天性の歌い手>というだけでなく、その存在感、溢れる活性のバイブレーションは、光のシャワーのよう。彼女と語り歌い、魂の成長を旅している現在の、自分の位置を確かめてみませんか?

早苗ネネさんHP

 

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