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ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第73回)

by staff on 2019/4/10, 水曜日

大浦総合研究所 代表/大浦勇三

ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第73回)

遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ

- 梁塵秘抄 -

東京・新宿は、歌舞伎町のビリヤード場で徹夜したり、紀伊国屋ホールの落語会に通ったり、ピット・インでジャズの生演奏を楽しんだ思い出深い街。ピット・インは日本のジャズ・クラブのさきがけ。ジャズはアメリカ南部で生まれ、独特のリズム感覚・民俗音楽とヨーロッパ音楽の技術・理論が融合。その中で独自のインプロヴィゼーション(即興演奏)が創造されました。私にとってジャズといえば “モダンジャズの帝王” マイルス・デイビス。 “クール・ハード・モード・エレクトリック・クロスオーバー・ヒップホップ” など、時代に応じた様々な音楽でジャズ界を牽引しました。終わりなき改革とインスピレーション。それは “協創・自発・軽快・革新・冒険” 。こう並べると、今後のAI時代のあるべきスタンスそのまま。AI時代は “結合・継続学習・燃焼” あるのみ。人種差別問題にも批判的で “いいプレイをする奴なら肌の色が緑色でも雇う” と宣言。梁塵秘抄では “これより北には越の国 夏冬とも無き雪ぞ降る 駿河の国なる富士の高嶺にこそ 夜昼とも無く煙立て” とあります。越の国に白山、駿河の国は富士山。神とはケンカせず。 “ちゃんと生きていれば死は怖くない” と映画監督・北野武。

“遊びをせんとや生れけん” 「遊」

自ら反りみて縮(なお)くんば、千万人と雖も吾れ往かん
江戸時代は 多様性・差異の尊重、これぞ創造のプロセス
流れの中で絶妙に止まる 動きの研究をもとに静止を把握
大宇宙 空中より来たからには空中に去るまで、と紅楼夢

“紅楼夢” は清朝・乾隆帝の時代(18世紀)に書かれた中国長篇小説。 “三国志” “水滸伝” “西遊記” とともに中国の古典小説として四大名著と言われます。小説は上流階級の生活の細部を描き、主人公たちの交情を克明に記したもの。あくまでも、弱くて感じやすい児女の情がテーマ。三国志の “武” 水滸伝の “侠” に対して紅楼夢は “情” の文学。男女の情を描いた中国の小説では “金瓶梅” が有名ですが、紅楼夢の恋愛模様はプラトニックで情感も洗練を極める点では好対照。日常生活が登場人物400人を超える規模で描かれており、 “多様・差異” & “苦痛・安穏” の宝庫。若さの矜持と老いの天真爛漫。 “芸者から嫌われるような人間は仕事でもダメ” とホンダ創業者・本田宗一郎。

“仕事をせんとや生れけん” 「献」

日本 アジアの頭脳になるチャンスが到来
樹木の枝ぶりは、光合成に最適な複雑形状
人はその姿・形に心地良さを感じる不思議
米国投資手法と日本文化 新たな文化創造

樹木が枝を伸ばしていくのも、光合成に最適な形状を探ってのもの。植物も動物もそこは同じ。投資活動一つとっても米国流と日本流。米国流をモノマネしてきた失敗例は山積。日本文化を踏まえた最適な投資の形状を探る機会。 “真の価値” を見抜く投資手法の創造。真の価値を愚直に追求する文化風土は制約になるが強みにもなるはず。 “ミーム” とは文化を形成する情報で、人の心から心へとコピーされる情報。コピーでは変異を起こすことで多様化。多様化は自然淘汰により更に進化につながるもの。文化とは、思考や学習による信念や振舞い。技術革新・生産性向上などの文明とは対照的。 “お金を稼ぐには教養はいらないが、お金を使うには教養がいる” とジャーナリスト・筑紫哲也。

“学びをせんとや生れけん” 「学」

ひとつずつ直せばいいとの発想 変数を増やさずに確実に改良を重ねる
羨ましがられぬ様にいたす事身を守るの一助、と中津藩改革の下級武士
稽古でも本番も中味は同じ完璧芸 どちらも手を抜かないのがプロの魂
経験を積むことで理屈よりは勘を優先 彼も一時此れも一時也、と孟子

孟子は紀元前300年頃の儒学者。孟子といえば “孟母三遷” が有名。最初は墓地のそばで葬式の真似事を始めたので家を移転。次は、商人のマネごとをやり始めたので再び転居。最後は学問所の近くで学問を志すようになったので母はやっと安心。環境の影響は子供だけでなく大人にも当てはまる話。また “仁者無敵” も説いています。仁政を受けた民は戦いでも勇敢、仁政のない国の民は主君に背いて裏切り。荀子の性悪説に対して孟子は性善説。両者とも学問を通じて人間が徳を身につけると説く点は共通。人間の持つ可能性への信頼が根底。楽観的な人間中心主義か、社会システム重視の考えに立つかの違い。 “私は何も悔やまない。常にゼロから再出発する” と歌手エディット・ピアフ。

「遊びは仕事、仕事は遊び」
「仕事は学び、学びは仕事」
「学びは遊び、遊びは学び」

今回とりあげた「遊・献・学」それぞれの4行文は、拙書「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)及び「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(八)」(全10巻)から抽出したものです。次回以降も「遊・献・学」から各々4行文を一つずつ抽出してご紹介していきたいと思います。

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(第73回了)

 

大浦勇三(おおうら ゆうぞう) プロフィール

大浦勇三(おおうら ゆうぞう)  

大浦総合研究所 代表 (http://www.ne.jp/asahi/oura/ohura-research-institute/

石川県七尾市出身。
早稲田大学卒業、筑波大学大学院修了。
米国経営コンサルティング会社 アーサー・D・リトル 主席コンサルタントを経て現職。
主担当領域は、経営改革/企業再生、経営戦略/情報通信技術戦略策定、業務改革/組織改革、研究開発/商品開発マネジメント、マーケティングマネジメント、ナレッジマネジメント、イノベーションマネジメント、サプライチェーンマネジメント、人材マネジメント、コーチング/メンタリング、プロジェクト/プログラムマネジメント、ベンチャービジネス支援等のコンサルティング。

筑波大学大学院講師、城西国際大学客員教授、名城大学講師、産業能率大学講師、中小企業大学校講師などを歴任。

主な著作物:

  • 「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(八)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「イノベーション・ノート」(PHP研究所)
  • 「ITプロジェクトマネジャーのためのコーチング入門」(ソフトリサーチセンター)
  • 「図解 日本版LLP/LLCまるわかり」(PHP研究所)
  • 「IT技術者キャリアアップのためのメンタリング技法」(ソフトリサーチセンター)
  • 「よいコンサルタントの見分け方、かかり方」(清話会)
  • 「日本のモノづくり - 52の論点」<共著>(日本メンテナンス協会)
  • 「現場主導型の組織運営とスピード戦略」(日本監督士協会)
  • 「eコミュニティがビジネスを変える」<訳>(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメントが見る見るわかる」(サンマーク出版)
  • 「図解 ナレッジ・カンパニー」(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメント革命」(東洋経済新報社 )
  • 「図解 グローバル・スタンダード革命」(東洋経済新報社)
  • 「業務改革成功への情報技術活用」(東洋経済新報社)
  • 「情報化戦略と投資評価・システム運用管理の実際」<編著>(企業研究会)
  • 「会社改革実務辞典」<共著>(産業調査会)
  • 「プロジェクトマネジャー(PM)の育成・スキルアップのためのメンタリングの進め方と実践法」 (ソフトリサーチセンター:CD-ROM版)   など

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