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田中健介の麺食力-それから- 第13回 「戸塚の名物男」

by staff on 2019/10/10, 木曜日

第13回 戸塚の名物男

2010年に出版した自著「麺食力-めんくいりょく-」。横浜の麺料理とその周辺の情景を描きながらほとんど売れなかった可哀想な本。著者自身も出来上がった本に向き合うことなく、ついに来年に出版10周年となるのを機に、改めて当時の内容を振り返り、現在の移り変わりを綴っていく、ついでに啜っていく企画の今回が第十三回目でございます。



JR戸塚駅の改札を出ると、今年は戸塚区制80年という記念の年であることを示す垂れ幕やPOPが目立つ。

筆者の生誕地である戸塚駅へやってまいりました。
東海道五十三次の宿場の一つとして古くから名を馳せてきましたが、横浜市戸塚区としては今年区制80周年を迎えたそうです。筆者が生まれたのは区制37周年の年。それはどうでも良い情報ですが。

戸塚駅西口は「トツカーナモール」などのビル群がドンと構える。

ここ10年で戸塚駅、特に西口周辺は大きく変貌しました。トツカーナモール、サクラス戸塚、戸塚パルソなどの大型商業施設がそびえ立ち、駅から離れていた戸塚バスセンターも戸塚区役所も駅近くに新設され、再整備されました。

30年以上前に再整備を済ませている戸塚駅東口は味わいが出てきた。

一方、昭和末期に再整備を済ませていた戸塚駅東口。当時はうわぁ新しい街だ!!と子供心に思ったものですが、最先端の街となった西口に比べるとさすがに古さは否めず……、いや、むしろ味わいが出てきた感じがします。



だって、東口にはヤギさんがいらっしゃるのですよ!!

なんと言っても東口のラピス3のビル敷地には、ヤギが2頭いらっしゃるのです。戸塚駅ホームからもそれは眺めることができます。ちょうどお昼寝中のようで、お顔を見ることはできませんでしたが、なんだこの街は!?

ヤギの秘密を教えてくれるであろうラピス1の2階にある純喫茶モネは
2012年より日本ナポリタン学会認定店舗である。

ここまできてピンと来た人もいるのではないでしょうか。
そう、今回は戸塚駅前ラピス(モディ)2階の「純喫茶モネ」の今をレポート。
拙著をお持ちの数少ないファンの皆様は101ページを開いてこちらと合わせてお読みくださいませ。ない人は、ないなりに楽しめるよう書いていきますのでご安心ください。

モネに来れば戸塚の「今」がわかる!各種情報が所狭しと。

1960年代に戸塚駅東口に床屋として開業、その後純喫茶へと業態を変え、1980年代後半に戸塚駅東口再開発でラピス1、2、3と3つのビルが整備された際にラピス1へ入居、現在に至ります。
カウンター席とテーブル席がありますが、カウンターにはマスターの片山大蔵氏がおります。そしてこのカウンター席には区役所、警察署、消防署、税務署、学校、地域メディアなど、戸塚に関わるあらゆる職業の人が入れ替わり立ち替わりで訪れ、片山氏と情報交換をしていくのです。

片山大蔵氏、通称・大ちゃんは、純喫茶モネのマスターをしながら、長年生まれ育った街・戸塚のまちづくりの活動に取り組んでいるツワモノなのです。ラピス3の敷地で飼育している2頭のヤギさんは、片山氏の仕業なのでした。

「今の子供たちは一人っ子が多く、またその親も兄弟が少ないことで、周りに不幸が少ない、つまりお通夜などに参加する機会が少ないのではないかと。ということは、命の存在が見えにくくなっているのではないか、つまりは命の尊さが軽視されてしまわないかという危機感を感じているのです。命を落とすとはどういうことかがわからないと、殺人事件を起こすという理屈が通ってしまう危険がある。ならば、身近に命の大切さを感じられるものを、ということでヤギをラピス商店街でヤギを飼ってみようということになったのです。」(片山氏)

ヤギは雑草を食べてくれる、散歩をさほど必要としない、環境に順応できる能力がある、などのメリットがあるそうです。

「えさ代とかも八百屋の廃棄野菜とかで賄っているし、”維持費”もさほどかからないですね。」(片山氏)

福島からやってきた2頭のヤギさんは当初電車の汽笛や、周辺を歩く女性のハイヒールの足音などにビックリしていたそうですが、それもすぐに慣れたのだそう。
近所の子供たちも毎日観察に来るなど、コミュニティを形成する新名所となりつつあります。

「ウサギも飼っていてね、常連客で94歳のおばあさんがいて、気力が衰え始めていたから、『ウサギ家で飼ってみたら?』って半ば強引に一兎あげたの。そうしたら部屋の中で動き回っている兎を追ううちに足腰が鍛えられちゃったらしくて。糞を拾っていたら手先が器用になっちゃったらしくて。うちに来ることが最大の楽しみだったはずなのに、『ウサギが心配だから』っていつも早く帰っちゃうんだよ。」(片山氏)

高齢者の自立支援を地域が支える。なんか凄い話です。

純喫茶モネのナポリタン大盛り。かなりの量です。

そんな「純喫茶モネ」のナポリタンをいただきましょう。うっかり大盛りとオーダーしたら凄い量です。恐れ入りました……。

「ガーッと頬張って、ケチャップの熱気で咽る。これが喫茶ナポリタンの美学なんじゃないかな。」

と片山氏が言って笑う通り、ケチャップの酸味がきいた太麺のナポリタンです。
緑色はピーマンにトッピングのグリーンピース。グリーンピースに特にこだわりはないけれど、創業当時からこのスタイルだから続けているとのこと。

日本ナポリタン学会認定店舗とあって、日本ナポリタン学会推奨商品である
岩井の胡麻ラー油をタバスコ、粉チーズとともに提供している。

我が日本ナポリタン学会は既に閉店してしまった店舗も含めると27店舗の認定店舗があり、この「純喫茶モネ」も2012年より認定店となっています。タバスコ、粉チーズはどこにでもある風景ですが、日本ナポリタン学会推奨商品である「岩井の胡麻ラー油」も提供されます。味の変化が楽しめますよ。

注文のたびに丁寧にハンドドリップして淹れるコーヒーは自家焙煎。

なんとか完食して、セットのコーヒーでひと休み。再び片山氏にいろいろな話に耳を傾けます。

長年の街づくりの活動に対しての感謝状や表彰状が店内に並ぶ。

「大手チェーン店のカフェは、あれはあれで使い勝手も良いと思うの。ただ一般的な『マナー』はうちみたいな喫茶店で個々に勉強してほしいよね。今は『ルール』というものが勝っちゃってて、分煙化なんかが良い例で、『ルールですから!』って、非喫煙者の声がものすごく大きくなっちゃったよね。コーヒー一杯で何時間もパソコンにかじりついているのは『ルール』にはないから許されているんだろうけど、あれは『マナー』としての問題だよね。」

本連載第6回目「不審に思ったら街の喫茶店へ」で取り上げた南太田の「ぱぁらー泉」同様、ここ「純喫茶モネ」でもマスターとの、時には客同士を巻き込んだ会話を大切にしています。大手チェーンのカフェは、Wi-Fiも整備されている分、パソコンやスマフォに没頭してしまいます。完全な一人使いができてしまう。そこに「マナー」が備わっていなければ、どんなに満員でも気を遣うことすらしない。自分主義。これではコミュニティの薄さが日本中に蔓延してしまうのではないかと片山氏は危惧します。
こう書いてしまうと街の喫茶店は少々面倒臭いのかも知れません。ただ、近年の理解しがたい犯罪や犯罪者を見ると、ちょっとしたコミュニケーションですら不足している者が多いように感じます。いささかお節介な人からたった一声かけてもらえるだけで救われることもあるのかもしれません。

「純喫茶モネ」片山大蔵氏と拙著。活力に満ち溢れた肌つやの良さを見よ!

今後何か新しいことを始める予定があるのか、片山氏にたずねました。
「特に考えてないね。でも何かしらはやっていくだろうね。普通に生きてたってつまらないからね。」
51歳。まだあと数十年はこの戸塚で面白いことを考え、それを実行し続けていくことでしょう。

あ、ヤギさんが顔を見せてくれた!!

筆者紹介

 
本 名 田中 健介(たなか けんすけ)
略 歴 1976年9月生まれ。横浜市出身。横浜市在住。
武相高校、神奈川大学卒業。
自称エッセイスト、本業は福祉関係。
ベイスターズファン歴35年、CKBファン歴17年。
 
2009年9月、日本ナポリタン学会設立、会長となる。
http://naporitan.org
 
2010年3月、著書「麺食力-めんくいりょく-」(アップロード)刊行
https://amzn.to/2DGVqiU(Amazonへ短縮リンク)
 
2017年5月~ 連載「はま太郎」(星羊社)「田中健介のナポリタンボウ」
https://www.seiyosha.net/
 
連絡先:hamanomenkui@gmail.com

 

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