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ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第82回)

by staff on 2020/1/10, 金曜日

大浦総合研究所 代表/大浦勇三

ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第82回)

遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ

- 梁塵秘抄 -

東京・六本木は “遊び” の聖地として有名。最近は “学び” の聖地にもなりつつあるのかも。森美術館・サントリー美術館・国立新美術館など、技術(AI)+芸術の融合が不可欠な21世紀には格好の学びの地。遊びと学びはオモテとウラ。他に三宅一生などを中心に設立された21_21 DESIGN SIGHTもミッドタウンの一角。 “デザイン” は21世紀の切り札。昨年、デザインのお手本といわれる “虫” の展覧会も開催されました。入り口には1センチに満たないゾウムシの中脚を700倍に拡大した模型。サイズが生むド迫力。数億年前、地球では50センチのトンボが飛んでいたとか。虫類は何億年もの間、様々な課題を解決して生き延びてきた逞しさ・しぶとさの権化。虫がついている漢字が多いのにもびっくり。人類が問題解決しながら生き延びていくためのヒントが満載。翅を上手にしまう仕組みをロボットに応用する例も。切り口は “好奇心・観察力”。梁塵秘抄では “いざれ独楽 鳥羽の城南寺の祭見に われは罷らじ恐ろしや 懲り果てぬ 作り道や四塚に 焦る上馬の多かるに” とあります。じゃじゃ馬は最強。 “落語は諸芸の吹き寄せ。歌舞伎や文楽、能に狂言。何でも知ってないとあかん” と落語家・桂米朝。

“遊びをせんとや生れけん” 「遊」

喜多川歌麿は 浮世絵からスタートしたわけではない
若い初期の段階は、花鳥図を中心に描いていたという
後に美人画の世界で独特の境地 得手に帆をあげるも
幕府の風俗取締りで手鎖の刑 失意から五四歳で死去

浮世絵といえば、まず思い出すのは喜多川歌麿。美人画の代名詞的な存在。豊かな女性の表情を捉えた画風で鳥居清長と並ぶ美人画の代表格。当初は植物・虫類・鳥類・魚貝類を題材にした華麗・精緻な作品を描き、これらの作品は現在も上野の国立博物館で見ることができます。その腕を見込んだプロデューサー蔦屋重三郎の支援を得て潜在能力が開花、歌麿独特の画風を確立するに至りました。しかし、徳川の世で秀吉の醍醐の花見を題材にした浮世絵“太閤五妻洛東遊観之図”を描いたことで手鎖50日の処分。歌麿は病の床に。それでも歌麿の人気は衰えず依頼が殺到しますが、過労で2年後に54歳で死去。“努力主義一点張りでは観客の共感は得られない”と喜劇俳優・古川ロッパ。

“仕事をせんとや生れけん” 「献」

究極の喜びや楽しみ 知らず知らずのうちに顔から滲み出る
力を尽くして理にかなう道を行く 一生懸命仕事すればいい
技巧を用いない、心で仕事 無一文になっても失うのは財産
経験を血肉にする ひたすら稽古に打ち込む、と角聖双葉山

相撲は全国的に人気があり、どの学校にも土俵があり、土俵がなければ、勝手に地面に土俵を描いて相撲を取る時代がありました。大相撲の地方巡業はその地域のお祭り。子供時代の横綱は栃錦・若乃花や柏戸・大鵬。その頃の相撲協会理事長が時津風で元横綱双葉山です。新弟子時代の双葉山は午前6時から朝稽古、遂には午前4時から稽古を始め“早すぎて眠れない”と親方衆から苦情が出たとか。弱音を吐かず稽古・けいこ・ケイコ。横綱になった双葉山は連勝を69まで伸ばし、この記録は未だ破られていません。連勝が69で止まった時、 “ワレイマダモッケイタリエズ(我、未だ木鶏たりえず)” と心の師に電報を打ったことは有名。“先駆者とは観察者である”とピーター・ドラッカー。

“学びをせんとや生れけん” 「学」

豊かな言葉を抽斗に蓄える 消費が成熟すると生活がカジュアル化
病気を治すのではなく人間を治す いい人生を贈り物するのが医者
経済とは お金の勘定ではなく唯一無二の付加価値を創り出すこと
社会の大きなうねり 固定的熟練労働から流動的単純労働の世界へ

仕事の仕方が大きく変わり、固定的熟練労働から流動的単純労働の世界へ。グローバリゼーションの時代が終わり、地産地消型のローカリゼーションがスタート。ローカリゼーションの本質はサービス化。コンクリート構造で強固に築いた事業の枠組みをどう解体するか。 “デジタル技術+人間知” を武器にした新たなプロセスの創造。しかも、変化のスピードが速いだけに、素早く対応することが求められそう。それには多様性。多様性の基盤は “様々な視点・言葉を抽斗にたっぷり蓄えること”。次のポストでなく次のスキル。脳をAIに従属させるのでなく、AIを脳の色に染めあげること。 “一つの誤りを正そうとして、他の何ものかを誤らせないよう注意すべし” と詩人T・S・エリオット。

「遊びは仕事、仕事は遊び」
「仕事は学び、学びは仕事」
「学びは遊び、遊びは学び」

今回とりあげた「遊・献・学」それぞれの4行文は、拙書「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)及び「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(九)」(全10巻)から抽出したものです。次回以降も「遊・献・学」から各々4行文を一つずつ抽出してご紹介していきたいと思います。

(第82回了)

 

大浦勇三(おおうら ゆうぞう) プロフィール

大浦勇三(おおうら ゆうぞう)  

大浦総合研究所 代表 (http://www.ne.jp/asahi/oura/ohura-research-institute/

石川県七尾市出身。
早稲田大学卒業、筑波大学大学院修了。
米国経営コンサルティング会社 アーサー・D・リトル 主席コンサルタントを経て現職。
主担当領域は、経営改革/企業再生、経営戦略/情報通信技術戦略策定、業務改革/組織改革、研究開発/商品開発マネジメント、マーケティングマネジメント、ナレッジマネジメント、イノベーションマネジメント、サプライチェーンマネジメント、人材マネジメント、コーチング/メンタリング、プロジェクト/プログラムマネジメント、ベンチャービジネス支援等のコンサルティング。

筑波大学大学院講師、城西国際大学客員教授、名城大学講師、産業能率大学講師、中小企業大学校講師などを歴任。

主な著作物:

  • 「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(九)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「イノベーション・ノート」(PHP研究所)
  • 「ITプロジェクトマネジャーのためのコーチング入門」(ソフトリサーチセンター)
  • 「図解 日本版LLP/LLCまるわかり」(PHP研究所)
  • 「IT技術者キャリアアップのためのメンタリング技法」(ソフトリサーチセンター)
  • 「よいコンサルタントの見分け方、かかり方」(清話会)
  • 「日本のモノづくり - 52の論点」<共著>(日本メンテナンス協会)
  • 「現場主導型の組織運営とスピード戦略」(日本監督士協会)
  • 「eコミュニティがビジネスを変える」<訳>(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメントが見る見るわかる」(サンマーク出版)
  • 「図解 ナレッジ・カンパニー」(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメント革命」(東洋経済新報社 )
  • 「図解 グローバル・スタンダード革命」(東洋経済新報社)
  • 「業務改革成功への情報技術活用」(東洋経済新報社)
  • 「情報化戦略と投資評価・システム運用管理の実際」<編著>(企業研究会)
  • 「会社改革実務辞典」<共著>(産業調査会)
  • 「プロジェクトマネジャー(PM)の育成・スキルアップのためのメンタリングの進め方と実践法」 (ソフトリサーチセンター:CD-ROM版)   など

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