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ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第85回)

by staff on 2020/4/10, 金曜日

大浦総合研究所 代表/大浦勇三

ビジネス梁塵秘抄「遊・献・学」(第85回)

遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ

- 梁塵秘抄 -

以前、北欧4か国に出張する機会がありました。日本では “北欧の小国” との冠がつきます。どの国も1000万人を下回る人口や小規模のGDPからみた評価。最初に入ったデンマークのコペンハーゲンでは時間の流れに驚愕。静けさが醸す不思議な豊穣感。デンマークではヒュッゲという言葉があり、幸せを感じる心地よい時間の意味とか。世界の幸福度調査で常にトップクラスの背景。東京都美術館で開催されたデンマーク画家ハマスホイの絵画は、喧騒からはほど遠い静謐。愁いを帯びた世界。短期的な幸福でなく長期的な幸せ。一方、政府は世界ランキング1位の最先端デジタル国家。転居・結婚届・診療予約などの手続きがWeb上で完結、離婚手続きもワンクリック。カップルの2組に1組は別れを経験するとか。ハード&ソフトを活かしたヒューマンウェアの深化が課題。デジタルと人間心理・感情のバランス。梁塵秘抄では“恋い恋いて たまさかに逢いて寝たる夜の夢は如何見る さしさしきしと 抱くとこそ見れ”とあります。しっかり抱きしめる繋がり。 “いいものを後に残す。勝負は死んだ後” とピアニスト・秋吉敏子。

“遊びをせんとや生れけん” 「遊」

ちやほやされると自分を見失いかねない 基本ができないと何もできない
風呂上りに髪を巻き上げる こんな時間があるなら早く寝て更に練習する
中国やインドの台頭 世界の在り方を変えて米国さえも存在を小さくする
優劣を考えるのは隙・緩みがあるからで夢中になること、と大村はま先生

大村はまは国語教師・国語教育研究家。52年間、一教師を貫きました。90歳を超えるまで、膨大な数の本を読み続け “教える人は、常に学ぶ人でなければならない” が信条。“学びひたり 教えひたる それは優劣のかなた。打ち込んで学ぶ優劣を忘れてひたすらに励む“の姿勢は人間が学ぶ上での背骨。学ぶ子どもは身の程知らずで、伸びたい・力をつけたい一心。生涯教育の時代は、これが全世代にとっての生きる基本戦略。日本人の強みは知覚力。学びの評価基準を時代の趨勢とリンクさせる。 “異なる見方・考え方をする人の知恵・発想で、文明の負の側面を解決する” と探検家・医師の関野吉晴。

“仕事をせんとや生れけん” 「献」

嫌な人と出会っても それは個性と認識
欲しいと思ったなら それは希望と納得
正常時では リスクコミュニケーション
非常時はクライシスコミュニケーション

21世紀は変化が常態化。正常時ではリスクコミュニケーション、非常時はクライシスコミュニケーション。歴史上、非常時対応の反省点は “真の専門家の不在・最新テクノロジーへの無知・オープンな議論の排除・すぐ解決できない問題への誤診” 。対応策は線型ではなく非線型。 “多様性に裏付けられた思考パターンの強化・目標に向けた自由度の拡大・環境変化に対する継続的学習” が肝かも。国・組織・個人すべてに理論構築という課題。時間が多少かかっても実践・経験と理論・コンセプトの両方を統合するスキルの研鑽。 “主流派と違う視点を養うには基礎研究が不可欠” とAI研究者・ヒントン。

“学びをせんとや生れけん” 「学」

東日本大震災、危機への想像力の乏しさ 幸せでないと悲しい歌は歌えない
日本をよくするために日本を否定する グローバリズムにおける戦いの作法
読書法、一度目は大急ぎ・二度目は少しゆっくり・三度目は咀嚼して味わう
稽古は自分が見えるまでやる 自分そのものを待つ、と料理研究家辰巳芳子

辰巳芳子は料理研究家の母・浜子のもとで家庭料理を、その後、フランス・イタリア等の西洋料理の研鑽を積んだ料理研究家。 “人生は簡潔に” との父の言葉が料理にも。道を逸れたり自己流に走る傾向が強いけれどまず基本。十年単位の修練が不可欠で、目前のことをやり切ること。 “煮干しの扱い” は物事の基本を示唆するものかも。煮干しを頭と胴に分ける・胴を裂く・はらわたをきれいにする。なぜ手間をかけるかというと、煮干し一つからわかることが沢山あるから。気候変動による漁獲量激減・はらわたの状態変化など、自然環境の劣化を実感。 “何を描くかでなく誰が描くか” と画家・鈴木基一。

「遊びは仕事、仕事は遊び」
「仕事は学び、学びは仕事」
「学びは遊び、遊びは学び」

今回とりあげた「遊・献・学」それぞれの4行文は、拙書「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」(全10巻)及び「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(九)」(全10巻)から抽出したものです。次回以降も「遊・献・学」から各々4行文を一つずつ抽出してご紹介していきたいと思います。

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(第85回了)

 

大浦勇三(おおうら ゆうぞう) プロフィール

大浦勇三(おおうら ゆうぞう)  

大浦総合研究所 代表 (http://www.ne.jp/asahi/oura/ohura-research-institute/

石川県七尾市出身。
早稲田大学卒業、筑波大学大学院修了。
米国経営コンサルティング会社 アーサー・D・リトル 主席コンサルタントを経て現職。
主担当領域は、経営改革/企業再生、経営戦略/情報通信技術戦略策定、業務改革/組織改革、研究開発/商品開発マネジメント、マーケティングマネジメント、ナレッジマネジメント、イノベーションマネジメント、サプライチェーンマネジメント、人材マネジメント、コーチング/メンタリング、プロジェクト/プログラムマネジメント、ベンチャービジネス支援等のコンサルティング。

筑波大学大学院講師、城西国際大学客員教授、名城大学講師、産業能率大学講師、中小企業大学校講師などを歴任。

主な著作物:

  • 「続・ビジネス梁塵秘抄(一)~(九)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「ビジネス梁塵秘抄(一)~(十)」<全10巻>(大浦総合研究所:PDF版)
  • 「イノベーション・ノート」(PHP研究所)
  • 「ITプロジェクトマネジャーのためのコーチング入門」(ソフトリサーチセンター)
  • 「図解 日本版LLP/LLCまるわかり」(PHP研究所)
  • 「IT技術者キャリアアップのためのメンタリング技法」(ソフトリサーチセンター)
  • 「よいコンサルタントの見分け方、かかり方」(清話会)
  • 「日本のモノづくり - 52の論点」<共著>(日本メンテナンス協会)
  • 「現場主導型の組織運営とスピード戦略」(日本監督士協会)
  • 「eコミュニティがビジネスを変える」<訳>(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメントが見る見るわかる」(サンマーク出版)
  • 「図解 ナレッジ・カンパニー」(東洋経済新報社)
  • 「ナレッジマネジメント革命」(東洋経済新報社 )
  • 「図解 グローバル・スタンダード革命」(東洋経済新報社)
  • 「業務改革成功への情報技術活用」(東洋経済新報社)
  • 「情報化戦略と投資評価・システム運用管理の実際」<編著>(企業研究会)
  • 「会社改革実務辞典」<共著>(産業調査会)
  • 「プロジェクトマネジャー(PM)の育成・スキルアップのためのメンタリングの進め方と実践法」 (ソフトリサーチセンター:CD-ROM版)   など

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