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書評 「看取り士 幸せな旅立ちを約束します」 コスモ21 柴田久美子 著

by staff on 2014/7/10, 木曜日
 

「看取り士」とは文字通り、旅立つ人を看取る人のことです。柴田さんは10数年前から看取りの仕事をしています。3年ほど前に「看取り士」と名乗り始めたそうです。看取り士は何をするのかということに次のように答えられています。

「看取り士は何をするのかと言いますと、住み慣れた自宅やご本人の希望する場所で自然な最期を迎えたい人に、24時間寄り添い、旅立ちを支援します。旅立の方が悔いなく、しあわせに人生を全うするため、ターミナル(回復の見込みがない段階)から納棺の前までのすべてを相談に乗り、ご家族の方とともに見送ります。つまり、ご本人が思い通りに旅立っていけるように調整していくのが看取り士の仕事です。」

いよいよ看取る場面になると、四つのポイントがあるそうです。
「一つに、旅立つ人と肌の触れ合いをすること
二つに、傾聴、反復、沈黙を繰り返すこと
三つに、大丈夫と声をかけること
四つに、旅立つ人と呼吸を共有すること」

どのように幸せに旅立つためのプロデューサーかというと
「看取り士は、看取りの現場で、旅立つ人そのものになって、旅立つ人の思いや愛やパワーを受け止め、残った人に受け渡すのです。看取りの場面では、奇跡的なことが起こります。しかし、それは奇跡でなく、すべてが予定されたことのように感じます。」

お金で買えない最期の贅沢の項で最初に述べられます。
「アンケートをしてみると、在宅で死にたいと望む人が8割でしたが、実際に自宅で死ぬことが出きるのは2割程度です。テレビや新聞、雑誌、書籍などでも、自分の家で死ぬことがしあわせな死であるかのように在宅死を声高に強調しているようです。しかし、私は自宅で死ぬこと自体がしあわせな死だとはおもいません。自宅での死だとしてもそれが孤独だとしたらしあわせでしょうか。しあわせな死に場所ではないと思います。しあわせな死は、死に対して夢があり、手を握り抱きしめられて見送る人がいて、それを自分が決めることで実現できるのです。看取り士という名称も作りました。これははじめてのものだと思います。看取り士とはそのしあわせな死を実現する職業であり、その人の事です。」

しあわせな死とは何だろうか。
1.夢があること
2.支える人がいること
3.自分が決める自由があること

これらとともに、心のバランスがとれて初めて、しあわせな最期が迎えられる看取りの場面での奇跡の連続の事がある。
「相手の方が寝たきりで亡くなられる2日くらい前のことでしたが、初対面でこんなに近くていいですか? とご家族が気を使うくらい顔を近づけて挨拶させてもらったのです。その時点で、相手方の精神性が高く、すでに自他がなくすべてを受け入れていることがわかります。そういう状態になれるのは、いわゆるお迎えが来ている段階だからなのです。お迎えがきている状態のところに行くと、その方の力を借りて、まるで奇跡が起きたと思われるほどです。最期になって奇跡がおきたような変化というのは、たとえ家族関係がうまくいってない家庭でも見られることです。」「息子さんはそれまで母親を恨んでいたため、当初は家にかえることをいやだといわれまいたが、息子さんはなにもしなくてもいいです。お母さんを家にだけ行かせてください。私たちがそばにいますからと言って、お願いしました。ところが一週間くらい経ったら、いつの間にか、息子さんはお母さんの隣で寝ていたのです。ついにはオムツも変えるまでになりました。最期は “生んでくれてありがとう” と言ってきちんと看取りをされたのです。」

いろいろ書かれているのでぜひ手にとって読んでいただきたい。
平穏に死ぬための準備をしようの最終章で柴田さんは言います。
「人は自然に死ぬのであって、決して病院が死なせてくれるわけではありません。死に方には、その人の生き方、人生観そのものが現れます。誰でもが看取り学を身につけることで、生きること、死ぬことへの心構えが出来ます。私は現在、『看取り学』という講義をさせていただいています。私の立場は、家族の目線であることです。医師でなく、看護師でなく、ふつうの家族の目線というのが私の立場で、暮らしのなかから提案していきます。つまり『看取り学』とは、平穏に、しあわせに死ぬための準備をすることです。」

2014年8月24日渋谷区民ホールで初めての「看取りの会全国大会」が行われる。誰でもが参加できるとのこと。これからを考えた時に実に必要なことだと感じている。看取りの会のHPに詳細がある。まだまだ看取りについて理解は浅いが本を読む機会があったことは幸いであり、8月24日はボランテァでお手伝いに入る予定だ。

一般社団法人なごみの里: http://nagominosato.org/

(文:横須賀 健治)

 

 

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