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2016年2月 三ツ池だより 「革新の空気を描けるの?」

by staff on 2016/2/10, 水曜日
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「落葉」の絵をそごう美術館で鑑賞して外に出ました。横浜ベイクォーターの横に満月に近い月が出ていて、それはそれは大きく見えました。「落葉」は菱田春草の特別出品でした。展示内容は「日本画の革新者たち展」、福井県立美術館所蔵、2月16日までのものです。「落葉」では木々の根元に落ち葉がかたまって描かれ、また空間に舞うように、止っているようにも落ち葉が息づいていました。

菱田春草は岡倉天心の「あたらしい日本画を目指す、線描を生命とする伝統を破壊し、線のない色彩だけの画の運動」に目を開かされました。それはまた朦朧画として批判されるのですが、「落葉」を鑑賞すると見事な描写でした。おだやかに、おだやかに。こまやかにこまやかに。線描をなくして、絵の具で輪郭をとっていて、やわらかく、ぬくもりを感じます。

展示会にはジュニアガイドのパンフレットがあり、この「落葉」について次のように紹介されていました。

「菱田春草は病気のため目が見えなくなりそうでした。画家が失明してしまったら、絵を描くことができなくなってしまいます。  病気を治している間、春草は毎朝、家の近くにある代々木の雑木林を子どもたちとさんぽしました。くぬぎ林がつづくなか、小鳥が楽しそうにとびかっていたそうです。 春草はしずかにその自然をかんさつしました。きっと今までとはちがって見えたことでしょう。そうしてもう一度絵を描けるようになって製作したのが、 “落葉” です。」

福井県立美術館のある福井県は岡倉天心の故郷です。横浜開港記念館の横に“岡倉天心誕生の地”とあるように、天心の親は福井藩の財政再建のために、生糸の商いで横浜に来ます。天心は小さい頃から英語・中国語の勉強をして西洋と東洋の美術などに触れていました。美術を盛んにしようとする中で、生糸の貿易をし、美術品をたくさん集めていた原三渓に出逢います。若い画家はお蔭で絵を描くことに集中できたと言われます。原三渓は天心ゆかりの画家たちを多数応援し、その作品を所蔵したそうです。

三渓園は原三渓が京都や鎌倉などから古い建物を移し、花を植えて作った庭園です。この三溪園は私が小学校のころは遠足の定番で、当時は大きな岩山の横がえぐれていて海につながっていました。社会人になるころに本牧が埋め立てられ、今の姿になりました。横浜も川崎も、近代化は埋め立てで始まったように思います。東京オリンピックでは新幹線が開通するなど、様々なものができました。一方で生糸は衰退していきます。時代は進歩していきます。そのなかで忘れてはいけないものをどのように感じて行けばいいのでしょうか。

革新の空気にふれて寒の月
横須賀豊子
初逍遥光のあやを楽しまむ
横須賀 詢

生れてくる子へ
  ありがとう
  おめでとう
    いつもうれしい
    この美しい空気をすって
    この素晴らしい家族になって
  ありがとう
  おめでとう
    なによりもうれしい
    この世の楽しさを感じて
    この幸せをあじわう
  おめでとう
  ありがとう

「孫が生まれた。しっかりした顔立ちで生まれた。愛しい子でみんなに似ている。こころなしか笑っている。白い雪がとけて、足元が心配なくなって、安心して動き出した日に生まれた。この子たちの為にも、いい社会を残さなければいけない。そう心に決めるのだ。うまれた。大きな声で叫びたい。おーい生まれたぞ!おーいありがとう!」

“落葉” の世界を残したいと思っても至難の業なのかも知れません。穏やかなぬくもりを感じる自然を保っていきたいものです。それにはぬくもりを感じる新しい場を作り上げていかなければいけなりません。できるところから一人一人の工夫でおこないたいところです。

出来るとみんなで思っていこうよ!
出来ないと思ったら出来ないよ!
出来ると思うからできるんだよ!
思っているだけでなく、声に出して行こうよ!

この時代だっていいものが沢山あります。革新的な発想をもって、残していくことも必要なのだし、新しい価値をみつけだしていくことも必要なのです。いろんな眼をもってこの2月を過ごしてみたらどうでしょうか。時には大胆に賛成し、時には恐る恐る反対してみる。今という時はあっというまに過ぎていきますが、いつも今があって未来があるのです。評価はあとにでること、評価など気にせずに行動していきたいです。。

 

Photos

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(文・写真:横須賀 健治)

 

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