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書評 「なぜ気づいたらドトールを選んでしまうのか?」 あさ出版 上阪徹 著

by staff on 2016/2/10, 水曜日
 
タイトル なぜ気づいたらドトールを選んでしまうのか?
単行本 220ページ
出版社 あさ出版 (2015/9/30)
ISBN-10 4860638123
ISBN-13 978-4860638122
発売日 2015/9/17
購入 Amazonで購入

その日も仕事のあいさつ回りをしていて、駐車場に戻るときにDOUTORに立ち寄っていた。そして何かパンを注文しているのだった。

「ここ20年ほどで、これだけ競争環境が劇的に変わった業界はないのではないか。」と著者は書き始める。「実際、今なおドトールコーヒーショップはにぎわっている。朝早くから夜遅くまで、ひっきりなしに来客がある店が多い。これはいったい、どういうことなのか。」

一号店は1980年に東京・原宿にできた。ほんもののコーヒーを、安い価格で提供したかったのだと、創業者鳥羽博道氏は言っている。社名の由来は、修業時代に住んでいたブラジルの地名「ドトール・ピント・フェライス通り85番地」からとった。ドトールは、英語でドクターの意味であるそうな。

ドトールのこだわりは創業にあるという。
「経済的な負担なく、毎日コーヒーが飲める値段はいくらか。そこから150円という数字が生まれてきたのです」「だれでもおいしい味のコーヒーを淹れられるよう、抽出はドイツ製の全自動機にした。パンを焼くために当時としては極めて珍しいアメリカ製のコンベヤトースターを導入した。」「そして本物感は、コーヒーにとどまらなかった。フードも同様だった。創業時からのメニューであり、今なお大きな人気を誇るジャーマンドッグ。価格は180円に設定した。採算より前に、受け入れてもらえる金額にした。原価率は、実に7割にもなった。しかし、それはこちらの都合に過ぎない。買ってもらえる金額は180円だと考えた。まさしくクレージーだった。当初は誰もが、ドトールコーヒーショップの成功は懐疑的だった。ところが、その成功は珈琲を飲んでもらうことにとどまらなかった。店頭での、挽き売りのレギュラーコーヒーの販売が驚異的な数字を記録しはじめていったのだ。創業者がドイツで見て想像していた光景が、現実のものになったのである。」

創業から徹底的にこだわりをもっていたという。制服の着方、ネクタイのむすびかた、コーヒーの量、色、味のバランスまで。フードにしても、ピーマンの切り方ひとつから指導していたようだ。

受け継がれ、進化する精神のなかでの話です。
「朝礼暮改なんて当たり前でした。何が正しいかなんて、毎日ひっくり返りました。理由なしにです。これで行くぞ、と言われ全員がおどろいた、ということがありました。」「君たちに月に向かってロケットを飛ばせ、なんて言ってるわけじゃないぞ。そんなことは一度も言ったことはない。おいしくしろ、と言っているだけだろう。」多くのドトールコーヒーの社員が経験していることだ。とことん鍛えられているというのだ。「商品と企画でやってきた信頼感は、営業力ではひっくりかえりません。」

これらは企業理念、社是、社訓として整理されている。ドトールコーヒー七つの座標軸に次のような点も見られる。

  • うまさとは、人の心に感動を呼び起こすものでなくてはならない。
  • 損得が先ではない。何が正しいかが優先だ。
  • 富ませるものは富む。

求めているものは、美学なのだ。必要以上に自分たちをアピールしないのだという。だから「ドトールが使用しているコーヒー豆の産地はハワイ島コネを含め世界訳20カ国。ドトールが何においても優先しているのはクオリティ。そのために、自ら現地に飛んでいる。まずは地域指定するのだという。そして地域の中で農地にこだわり、農園指定をするようになった。」「おそらく、こんなことをしてコーヒー豆を買い付けている人は、世界にそうそういないと思います。そのくらい、いいものを手に入れるというのは難しいし、悩むんですよ。でもどれだけ悩んだか、が大事なのです。悩み多き人、悩んだ結果に、見返りはあるんです。」

フードについてもこだわりをもっているという。創業時のパンはもっとかたかったのだという。しかし時代と共に柔らかいものが求められるようになった。「試行錯誤をしながら、徐々にやわらかくしていきました。硬いと咀嚼回数が増えますから、味が出るんですね。でも、やわらかくて咀嚼回数がすくなくても味がでるように、小麦粉の配合を変えたり、塩味を変えたりして、今のパンになっています。」

ミラノサンドが私は定番なのだが、これもコンセプトがあったのだ。「そのままで十分やわらかく、トーストすると、パリッとサクッと香ばしく、さらに食べた感じも口溶けがよく、かみ切りやすいから食べやすい」

これらを支えるのが、ドトールのつくった「コーヒーショップ運営学校」なのだった。手間はかけても待たせない!につながる。そして新しい挑戦もしている。「今はドトールの若い世代に沢山チャレンジしてほしい。その場を提供していきたい。」著者もなぜおいしいコーヒーをだしていたのかを、本を書く取材の中で強烈に教えてもらったと記している。

(文:横須賀 健治)

 

 

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