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書評「1%の力」 河出書房新社 鎌田 實(著)

by staff on 2018/7/10, 火曜日
 
タイトル 1%の力
単行本 216ページ
出版社 河出書房新社(2014/9/17)
ISBN-10 4309023223
ISBN-13 978-4309023229
発売日 2014/9/17
購入 1%の力

題名に魅かれ、著者に引かれて読んだ。
池の平ホテルや白樺湖ファミリーランドランドをつくった矢島ミツトさんの話が出てくる。「“運が悪い”人生だったのに “運がいい” と言い続けたことで人生が変わりました。可能性がゼロでも、まず始めてみる。いいコトが一つおきると、いいコトが連鎖し始めるのです。」著者は、1%は無限の力をひめている、と言われます。そして、人生には悲しみや、苦しみや、辛さが溢れています。自分のなかにある強い自分に早く気がついてくださいと言われます。

「まず自分が人の味方になってみる」というところがあります。
今まで一人の患者として入退院を繰り返したディナーブさんが、先生の助手になって現れたら、病棟の空気が変わったそうです。新米先生も変わったそうです。誰かに与える1%、誰かからもらう1%、たった1%がいったりきたりだけで血が通いだし、新しい物語が始まったのです。イラクでは30日間学校を休むと進級できないという制度を見直そうという著者たちの声がイラク政府に届いたそうです。院内学級での勉強もカウントしてよいことになったそうです。

「やりたいことをやったほうがいい」
好きになることがスタートなのだ。好きになったら夢中に、ひたむきに、難しいことを考えずに、がむしゃらにやればいいと著者は語られます。
瀬戸雄三さんというアサヒビールの元社長さんの話を書かれます。社長就任を目前控えた1992年8月23日急性膵炎で絶対安静と言われ集中治療室にいた。それなのに「東京に帰らせてください」と主治医に懇願していた。「あの時、瀬戸さんにできるだけの準備をし、東京に転院させ、社長就任の挨拶をさせてあげてよかったと思います。」鎌田さんは言われます。「失敗の後、そこから必ず成功の方法を見つけられる。だから僕は、アンゼンではないリスクの多い道を生きてきました。」

「あの世からの手紙」
後で丁寧な手紙をもらったそうです。「みんなの優しさがこもった空気が手紙からあふれ出て、柔らかな空気が僕を包み込んでくれている気がしました。まるで僕の後ろにヤヤコさんがいるような気がしました。」ご主人からの手紙に筆で返事を書いたのです。

「天国のヤヤコさんへ。
お手紙、たしかに受け取りました。
悲しいです。悲しいです。悲しいです。
お心遣いに心から感謝です。
ありがとう。
がんとの闘い、本当にお疲れ様でした。
病気から逃げない立派な戦いでした。
ゆっくりお休みください。」

「心をまあるくしてごらん」
人生は悲しみの連続だから、人間は、優しくなくちゃ、生きていけません。
絶望の中にいる時は、丸ごと自分を抱きしめて、自分を慈しみながら、生きてみてください。自分にも優しくしてあげていいのです、と書かれます。そして人の口や人の目に関係するプライドという自尊心は少し小さくして、自己肯定感に関係する自慈心を大きくしたいと思ってきたそうです。そしたら溢れるほどの自慈心をもった少年にであったのです。「1%だけでいいから、慈しみに沈んでいる人に寄り添ってあげてください。人と自分を大切にすることで、救われることがあるのです。」そしていくつもの難病と懸命に闘い、12歳で旅だったよっくんの夢だった詩集「いつか僕もビーズになる!」(東方出版)を応援しているそうです。

「走りたかったのに、学校にいきたかったのに、どこへでも行きたかったのに、いろんなことしたかったのに、でけへんことばっかりやった。
 神様はなんでぼくに病気をさずけたんだろう。なんで病気やねん。」

「こころがスポンジなら
どんなに辛いことも吸収できる。
どんなうれしいことでも吸収できる。
心がこわれることなく
たくさんのことを吸収したい。
スポンジのような心の持ち主になりたい。」

まず1%、相手の心と自分の心を開いてみましょう、と鎌田さんは言われます。
「大切なことを12歳の少年からおそわりました。ありがとう。」と書かれます。

あとがきで語られます。「1%は誰かのために生きてみてください。幸せにする。幸せになる。負けない人生が始まります。人生がおもしろくなる。生きるのがラクになります。1%は小さいけれど、とてつもない力を持っている。みんなが1%生き方を変えるだけで、個人も社会も幸福に近づく。かけがえのないすべての人に、この本をおくります。」

(文:横須賀 健治)

 

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